ホリエモンが未だに分かっていないこと
ライブドア株主被害弁護団『粉飾の「ヒーロー」、堀江貴文 彼がいまだにわかっていないこと』を読む。ホリエモンこと堀江貴文が経営するIT系企業ライブドアの株価が粉飾決算の発覚とそれに伴う東京地検の強制捜査で暴落し、多額の損害を負った株主たちが提起した損害賠償請求の顛末を記したものである。
株価がストップ安になると売買が成立せず売れなくなってしまうことは知らなかった。一応、株の口座は持っているのだが、持ち株会の株式を預けていただけなので。
株は自己責任とする風潮が強い中で、粉飾決算は株主にとって想定外の出来事であり、責任を追求できるというロジックで訴訟は進められていく。
読んでいると、株式を買った人たちは会社四季報を読み込んで、更にあらゆる手段を使って情報収集していることが分かる。それでも不測の損害を被ってしまったのである。
僕は財務諸表を読む能力がないし、経済や相場の動向にも不案内である。そういう訳で株には手を出さなかった。というか、投資に回すような金を持っていなかった。
読んでいて思ったのはホリエモンはライブドアをどういう方向にもっていきたかったのかである。ライブドアというとプロバイダ、ブログくらいのイメージしかない。彼と比較対象されるであろう楽天の三木谷氏はネット通販、銀行、証券、電子決済、モバイル、携帯キャリアと楽天経済圏と称されるビジネスモデルを構築している(携帯キャリアへの参入は悔やんでも悔やみきれないだろうが)。ニッポン放送買収劇当時、「放送と通信の融合」ということを主張していたのは覚えている。今で言うとABEMAみたいなものだろうか。よく分からない。
多くの人はホリエモンを既得権益に切り込むヒーローと見ていたようだ。僕自身はというと、当初の堀江氏は長髪だったと記憶している。チーマーみたいな風貌だなと感じた。要するに第一印象で好ましく思わなかったのである。
今の堀江氏は宇宙開発事業や著述業、飲食店経営、オンラインサロン運営などで活動している。信者を集めて教祖の座に収まるという図式だろうか。子供の頃貧しかった彼は美食にこだわりがあるらしく、それで飲食店を経営しているのだろう。
彼の起こした餃子事件についてネットの記事を読む。それは迷惑をこうむった餃子店の立場から書かれたものだったが、そこから窺えるのは、堀江氏は自分のシンパを動員すれば零細飲食店くらいすぐに潰せるんだという傲慢さだった。
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