ライブパフォーマンス

2025年6月12日 (木)

芝居小屋の雰囲気がよく伝わってくる――仲野マリ『地方の芝居小屋を巡る』

仲野マリ『地方の芝居小屋を巡る』を読む。地芝居(農村歌舞伎)の舞台を取り上げた電子書籍。写真はカラーで芝居小屋の雰囲気がよく伝わってくる。岐阜県に地歌舞伎の芝居小屋が多く現存しているそうだが、最寄り駅から車で数十分といった具合で交通の便はよくないのだとか。

地芝居はテレビに押された等の理由で昭和40年代には衰退してしまったとのことだが、地方自治体の無形文化財保護行政が本格化したのはおそらく1970年代以降なので、タイミングが合わなかった側面もあるかもしれない。

歌舞伎も人気低迷していた時期があったとは知らなかった。

首都圏の神楽師は面芝居という芸能も演じていたと聞く。今はやらなくなっているようである。厚木市の垣澤社中の台本を収録した本を参照したが、タイトルから判断するに農村歌舞伎に近いものが多いと思われる。収録はされていなかったが「魚屋宗五郎」もやっていたらしい。酒癖の悪い宗五郎がとある事情でちょっとだけと飲み始めたら止まらなくなる様が面白い演目。映像が記録されているかは知らない。台本があるので復活上演は可能なはずだが、当時を知る人が少なくなって復活させるには相当なエネルギーが必要かもしれない。

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2025年6月 8日 (日)

芸能には批判的――鈴木忠志『ショベルカーとギリシア――鈴木忠志対話集』

鈴木忠志『ショベルカーとギリシア――鈴木忠志対話集』(ゲンロンセレクト003)を読む。

利賀村(南砺市)へ西日本から行くには名古屋駅で高山本線に乗り換えて向かうのが最短ルートのようだ。そうすると、アニメ「氷菓」の舞台のモデルである高山市でも観光したいし……となってしまうが。

インテリで世界的な名声も獲得した演出家。幼少期から芸能の世界に触れていて芸の何たるかを知悉しているようだが、なぜか批判的である。芸能は祝福する側面が強いし批評性ということで言うなら、芝居もワイドショーの再現ドラマのようなところからスタートしているだろうし。

芸能だと「ここから先はやらない」的な線引きをすることがあって、それはそれで守りの姿勢としては一つの見識なのだけど、そういう性向を拒否しているのかもしれない。

一方で、若い頃にコマ劇場に通いつめたりと俗なものにも理解ある人のようでもある。

早い時期に合掌造りの家屋に着目し、舞台として改装するといった環境づくりを進めていったようだ。そういう点では商才も感じられる。

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2025年6月 6日 (金)

熱量は感じるもののミクロ的な視点にやや偏っているか――おーちようこ『2・5次元舞台へようこそ ミュージカル『テニスの王子様』から『刀剣乱舞』へ』

おーちようこ『2・5次元舞台へようこそ ミュージカル『テニスの王子様』から『刀剣乱舞』へ』を読む。漫画・アニメを題材とした舞台劇は宝塚歌劇団の「ベルサイユのばら」を嚆矢として90年代には既に活発に上演されていたようだ。近年、演出技法がアップデートされミュージカル「テニスの王子様」辺りから2.5次元という風に表現されるようになっていったようだ。

取り上げられているタイトルから推察するに、女性の観客をターゲットとした舞台が多いようだ。僕自身は少年漫画の世界から離れて久しいけど、女性の読者も多いらしい。

かつて小劇場演劇ブームは若い女性層が支えたそうだが、小劇場をはるかに上回る動員力を誇るものと思われる。オリジナル台本の小劇場演劇と違い既に知名度の高いコンテンツの舞台化であり、若手俳優にとっては特定のキャラのイメージがつくリスクはあるものの、知名度を飛躍的に向上させるまたとないチャンスのはずだ。今の60代以下は漫画・アニメで育った世代で昔みたく「ジャリ番」といった偏見もないだろう。

僕自身の観劇経験はアリバイ程度にしかないけど、「リコリス・リコイル」後編を東京ドームシティで観劇したことならある。普段は戦隊ショーが催される会場だけど、立体的なステージングで目まぐるしく登場人物が出入りして楽しい舞台だった。

残念なのはIHIステージアラウンド東京という劇場。おそらく背景が全面的にデジタルサイネージ的な仕組みで構成されていたのではないか。「推しの子」で登場した会場のモデルらしいのだけど既に取り壊されてしまったのだとか。

発行年月日は2020年12月でタイミング的にコロナ禍には触れられていない。コロナ禍で首都圏のとある神楽社中は三年間神楽が奉納できなかったそうである。楽屋は密な環境となるそうで、観劇している観客だけでなく演者にも多大な影響を及ぼした。

本書の他『大衆演劇へようこそ』を読んだ。いずれも初心者向けの構成となっている。初心者向けだから「こんなのでいいんだよ」なのだけど、強いて言えば、ミクロ的な視点で書かれており、その熱量はともかくとして、記述がマクロ的な観点からは整理されていないのでは……といったところ。おそらくジャンルとしての統計がないのだろうけど、たとえば「テニスの王子様」の年ごとの上演回数や動員数、何代目の主役かといったことをグラフ化して図示すれば、2.5次元舞台の躍進ぶりが一目瞭然なのではないか。

時代を先取りした舞台は女性が支えてきたと言っても過言ではないかもしれない。

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2025年5月22日 (木)

初心者向けの構成――おーちようこ『大衆演劇へようこそ』

おーちようこ『大衆演劇へようこそ 美しくっておもしろい、庶民の娯楽、ここにあり!』を読む。

インタビューや座談会形式の記事が多く初心者向けの構成となっている。大衆演劇の世界も世代交代が進んでいるのだなと感じる。人材育成面では内製化の能力を維持することは大事だと思う。

広島県の芸北神楽を見ていて、どうもお芝居的なニーズが地域的(中国自動車道沿線)に根強く残っているのではないか、大衆演劇的な世界も押さえておかないと何か見落としてしまうのではないかとの思いに至り、泥縄式で購入したもの。

学生の頃、新宿で飲み会があった際、暗くなった道を酔った頭でふらふら歩きながら「ああ、ここがコマ劇場かあ」と思ったことが何度かある。思えば一度行っておけばよかった。コマ劇場は取り壊され、現在は近くに歌舞伎町劇場があるそうだ。

僕の場合、中国地方の田舎にUターンしたため、大衆演劇を観劇しようとすると広島市内のスーパー銭湯が最寄りの常設劇場となる。カレンダーの見方がよく分かっていないが、お芝居をやるのは基本的に土日祝日のようだ。

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2025年5月11日 (日)

映画の上映会に行く 2025.05

午前中、家族と石央文化ホールに行き、映画「侍タイムスリッパ―」を見る。タイムスリップ×メタフィクション的な構成の作品だった。脚本がよく練られていて、単館上映から日本アカデミー賞まで一気に昇りつめたのも理解できる。

劇中でフィーチャーフォンが使われていて、まだテレビで時代劇が放送されていた少し前頃の舞台設定らしい。……助監督から監督に昇格するには分厚い壁があるらしく、何かの映画のDVDの特典映像で老年の助監督が自分より若い監督をアシストする様子が映されていたのを見たことがある。

スクリーンの映像がシネコンのよりも鮮明だったように感じた。プロジェクターとかは十年単位での更新となるそうで、更新が遅れ気味のシネコンだったのかもしれないが。

上映終了後、特別企画として橋元屋幸守さんによる上方落語が上演された。奈良からIターンして普段は林業に従事しているとのこと。最近、自分の事務所を立ち上げたらしい。泥棒にちなんだ演目だった。

その後、ホテル松尾のレストランで昼食をとる。7階で眺めがよかった。僕が注文したのは海鮮うずめ飯。旧那賀郡には津和野藩領だった土地もあって、それに由来するらしい。うずめ飯と海鮮丼をかけ合わせた新作メニュー。途中まで食べ進んだら出汁をかけて食す。

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2025年5月 7日 (水)

半地下の円形劇場

もうピークは過ぎたようだけど、「ウィキッド ふたりの魔女」という映画が公開中である。おそらく「オズの魔法使い」を元にした作品で、西だか東だか忘れたが、魔女がなぜ魔女となったか……みたいな話だったように記憶している。

だいぶ前になるが、大阪のUSJに行った際に観劇したのである。その劇場は地面を掘って円形劇場風の空間を作って屋根を設けて雨風はしのげる造りだった。見たのは夏だったか、密封はしていなかったので冬場は寒風が吹きこんで来るはずで、どう運営しているのかは分からない。

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2025年4月24日 (木)

一度くらい行っておけばよかった――歌舞伎町の大衆演劇

大学は東京の私立だったのだけど、地方からの上京組は京王線沿線に下宿する人が多かった。要するに一般教養と専門課程とで校舎が分かれていて、京王線―都営新宿線だと乗り換えなしで通えるから。で、同好会のシーズン終わりの飲み会は新宿に行くことが通例だったのだけど、酔った頭で暗くなった歌舞伎町内をふらふらしていて「ああ、ここがコマ劇場かあ」と思うことがあった。大衆演劇のメッカだったのだけど、既に取り壊されて新しいビルが建てられたとのことである。今は歌舞伎町劇場があるらしい。

今思うと、一度くらい行っておけばよかった。「大衆」とつくくらいだからチケット代も高くなかっただろうし。大衆演劇はテレビで放送されることもあったので全く知らない訳でもないけれど、実見するのとでは全然違うので。おばちゃんの見るものという偏見もあったかもしれない。

……調べてみると、温泉施設で大衆演劇が上演されることが多いようだ。島根県ではヒットしなかったが、広島県では二か所ヒットした。世羅温泉は尾道よりでちと遠いかなと思うが、もう一か所は広島駅から芸備線で三駅ほどの距離らしい。とはいえ、広島まで出るのがまた面倒なのだが。

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2025年4月 6日 (日)

物流団地に立ち寄ってみる

気分転換に下府へ行った。帰りに物流団地のいわみ文化振興センターに立ち寄ってみる。中には入らなかったが、立地は把握できた。国道9号線と山陰道(浜田三隅道路)とが交差する付近に立地していて9号線からも建物が見える。ガソリンスタンドの奥に位置する建物がそう。

浜田市・いわみ文化振興センター
浜田市・いわみ文化振興センター

後でサイトを閲覧する。壁面に抱月会館とあったが、これは一階に演劇や音楽などの上演向けのホールがあるようだ。写真を確認すると、床はフラットで机と椅子が並べられていた。食事を摂りながら観劇することも想定されているようだ。最大で200人くらい収容可能とのこと。ステージには大型のフラットパネルディスプレイも設置可能で、背景の見立てとして活用することができるようだ。

以前、ここで石見神楽の夜神楽定期公演をするという話があって、結局流れてしまったらしい。理由は知らない。駐車場は第二駐車場を開放すればかなりの台数が収容でき、ドライバーにとっては立地は悪くないのだけど、車を所有していない人、たとえば島根県立大生にとってはアクセスの悪い場所となってしまう。

浜田市・いわみ文化振興センター
浜田市・いわみ文化振興センター・第二駐車場

むしろ二階の展示室の方が利用率が高いのかもしれない、写真展などが催されているようだ。他、畳が浦の常設展示場もある。

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2025年3月20日 (木)

リソースは限られているので

駅前の三桜酒造跡地に石見神楽の伝承施設と郷土資料館をという構想は市議会の反対で暗礁に乗り上げたとの報道が。郷土資料館については手狭で老朽化しているのと、市内に幾つかあるのを統合するという構想だったか。ヤフー記事のコメント欄を読むと、

・インフラが老朽化しているので、そちらを優先すべき
・箱もの行政批判
・神楽では観光客は誘致できない
・社中の人たちはガラが悪くて好きでない

といったものだった。インフラの老朽化は八潮の件のようにここ数年目立ってきた。表面化したということは既に危険な領域に入りつつあるということだ。箱もの行政への批判もある。浜田市を訪れる観光客、数字的には海水浴客が圧倒的に多い。神楽で動員できるのは数千人くらいだろう。社中の人たち云々に関しては僕は交流がないので実態を知らない。

……僕自身は、Uターン前にアリバイ程度にだけど、下北沢の小劇場演劇の世界に触れた。駅前劇場が収容人数200人ほどの小ホール、本多劇場が400人ほどの中ホールといった規模であった。それくらいが観劇には向いていると感じた。

演劇の常設劇場は首都圏でないと成立しないだろうけど、石央文化ホールのような大ホールだけでは……という気もする。ちなみに益田市のグラントワには大ホールの他、小ホールもあって、収容人数は400人を超えていたので実質的には中ホールも有していることになる。

広島市には劇団数が意外とあるそうだ。読んだ論文によると30くらいあり、アンケートに回答した団体数は10を超えた。高速道路で繋がっているから巡業してもらうこと自体は難しくないはずだ。

浜田市内の劇団の現在の活動状況は知らない。指導者の先生がお亡くなりになったとは聞いた。

島村抱月は旧那賀郡出身で旧制浜田中学を卒業しているし、抱月と並び称される小山内薫は森鴎外と親交があったとのことである。近代演劇の黎明期には石見人が意外と関与しているのだ。

学生も住んでいる町なので、彼らへ文化的な何かを提供することも必要だろう。アウトドアだと事欠かないけど、文化面では松江市とは比較にならないだろう。ライブパフォーマンスを実施しやすい施設があれば……とは漠然と夢想している。

一時、夜神楽公演を物流団地内の施設でという話があったのは記憶していて、建物は確認できたので、その内覗いてみようかとは考えている。

ちなみに、下北沢でメインとなる本多劇場は演劇専用の施設だったが、駅前劇場は雑居ビルのフロアを観劇用に改装したものと思われる。椅子はパイプ椅子だった。クッションは敷いていたが。

他、渋谷のミニシアターも記憶にある。シネコンではかからないけど面白そうなマイナーな映画を上演していた。これも専用の劇場ではなくパイプ椅子が並ぶフロアだった。カフェかレストランが併設されていて、それも経営の柱なのだろう。……ただ、周辺が某有名カルト教団の施設だったので警戒心を抱いたが。

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2025年3月15日 (土)

初めて石央文化ホールに行く――第46回 吹奏楽の集い

石央文化ホールで開催された「第46回 吹奏楽の集い」を鑑賞する。市内の中高大社会人とゲストとして江津市の石見智翠館高校が集ったもの。

・金城中学校:3名
 ・星にまつわる3つの小品~きらきら星変奏曲、星の世界、木星~
 ・千の風になって
・浜田東中学校:10名
 ・鬼姫-ある美しき幻影
 ・ケセラセラ
・第三中学校:10名
 ・ミッキーマウス・マーチ
 ・世界に一つだけの花
・旭中学校:12名
 ・ふるさと
 ・お散歩街道
 ・愛唄
・島根県立大学:20名
 ・Romanesque
 ・さくらのうた
 ・September
・三隅中学校:15名
 ・小さな祝典音楽
 ・正解
・第一中学校:18名
 ・インヴィクタ
 ・台所用品による変奏曲
・第二中学校:20名
 ・吹奏楽のための民話
 ・マリーゴールド
・浜田高等学校&浜田商業高等学校:23名+2名
 ・ジェネシス
 ・故郷の空 in Swing
・ハマディアン・ウインド・アンサンブル:31名
 ・さくらのうた
 ・YOASOBIメドレー
・石見智翠館高等学校:40名
 ・ホープタウンの休日
 ・CHISUIスペシャル2024
・フィナーレ 出演団体による合同演奏:約210名

石央文化ホールに入るのは初めて。というか、市内のホールに入ったのは数十年ぶり。ステージの下手には神楽の上演を想定してか、花道が設けられていた。花道から退場する生徒も多かった。ステージの奥行はかなりあり、オーケストラの演奏にも耐えうる設計なのかもしれない。

島根県浜田市・石央文化ホール
石央文化ホール・大ホール
石央文化ホール・大ホール・撮影機材

司会は浜田高校・放送部の男女二名が務めた。

吹奏楽に関しては、アニメとその原作小説を鑑賞した程度の知識しかない。コロナ禍前に近所の小学校で盆踊り大会が催されたとき、近隣の中学校の吹奏楽部のミニコンサートが開かれてそれを何度か見物したくらいである。

僕は現代なら運動音痴系の発達障害と診断される可能性が高そうだ。そういう人は楽器の演奏もダメダメらしい。という訳で吹奏楽部は無縁の存在だった訳だけど、音楽を聴くこと自体は嫌いではないのと、石央文化ホールに足を運ぶちょうどいい機会なので今回行ってみた次第(※引っ越し完了後、神楽のイベントも何回かあったりしたのだけど、疲弊していたり日程が合わなかったりした)。

三月中旬の開催なので三年生は既に卒業してしまっていて、一年生と二年生での編成となった。一部の学校では三年生が参加したとアナウンスしていた。

市街地にある中学校でも演者20名前後であった。春~夏シーズンにかけては増えるはずだが、吹奏楽部というと大所帯というイメージがあった。最盛期に比べたら生徒数は半減しているはずだから、小~中規模の編成になってしまうのはやむを得ない。

一校あたりの持ち時間は15分ほど。

今回気づかされたのは、音響に配慮した空間で演奏されると印象が全く異なるということ。これまではオープンエアか音響に配慮していない空間でしか聴いたことがなかった。音楽関係者がホールにおける音響設備の重要性を口を酸っぱくして繰り返していた理由がこの歳になってようやく理解できた。吹奏楽だったから気づけた訳だけど、比較して違いに気づくという当たり前のプロセスを今回も経ることとなった。

ただ、真価は発揮していないにしても、オープンエアで聴く吹奏楽の響きも吹奏楽らしいと思う。

比較という意味では、最小編成は金城中学の3名だった。アンサンブルに近いのかもしれないけれど、音響に配慮された空間なので不利は感じさせなかった。

30名を超えたくらいから音の厚みを感じるようになった。そういう意味では大編成の方が有利とは言えるけれど、数年前に小編成の学校が全国大会で好成績を収めたそうで、絶対とは言えないようだ。

最後は参加した全員による演奏でステージと花道に210名ほどの奏者が上がって演奏することになった。小編成の演奏から210名という例外的な大編成の演奏まで聴くことができた。

旭中学の部員数が案外多かったように思う。市街地からはかなり離れた地区なのだけど、公共施設関連の職員の子女がいるのだろうか、生徒数は多いのかもしれない。

東中と三隅中は沿岸部だけど市街地からは離れた立地。部員数はそこそこといったところだろうか。

浜田一中は一曲目で生徒の多くが退場したので「あれ?」と思ったが、二曲目は食器を使った演奏だった。ハレの舞台ではあるけれど、勝敗を競う性格のイベントではないので、こういった挑戦もできたのだろう。

県立大のサックスソロの人は上手いなと思った。大学生になっても続けている人がそろっている訳だから基本的には皆上手いのだろう。もちろん僕は何の審美眼もないのでどれくらいなのかは分からない。

智翠館は40名ほどの編成だった。中国大会も狙える、あるいは全国大会も視野に入ったレベル。あの楽器は何だったか、あれもサックスの一種だったか、ジャズで見たような記憶があるが、ソロの生徒は上手かった。合唱も上手かった。島根県では過去に出雲市の中学校が二校同時に全国大会で金賞を受賞するという信じられないような記録があるので県全体でのレベルは人口の割にむしろ高い方かもしれない。

なお、多くの学校はコンクール向けの楽曲を演奏した訳ではない。ポピュラーな曲も今回多く演奏されている。

ハマディアン・ウインド・アンサンブルは三十年ぶりで復活した市民団体とのこと。市外から通っている人もいるそうだ。中学生から入団可能だそうで、詰襟の学生服やセーラー服を着た奏者もいた。普段は毎週水曜日に三階小学校の音楽室で練習しているとのこと。練習時間は限られるが、大人になっても好きで続けている訳だから、きっちりと仕上げてきていた。

浜田高校と浜田商業は合同演奏となった。商業の部員数が少ない理由は分からない。浜高はマーチングもやっているそうだ。

石央文化ホール・終演後の大ホール

客席は三階席は見えなかったが、一階から二階までは8~9割がたは埋まっていた。多くは友達や家族といった関係者だろう、男女年齢の層別は判別できなかった。横浜の都筑区民ホールで催されたジャズコンサートだとほとんどが老人層だったので(※理由は分からない)、それに比べれば健全な構成比だろう。

余談。

女子の容姿に時代の変遷を感じた。昭和の時代は女子も髪の長さは肩にかかるくらいまでという校則があって、皆ショートカットかよくてセミロングくらいだった。後ろでまとめているものの、中学生でもロングの子が結構いたので、そういう校則は撤廃されたらしい。

学校によってはブレザーとスラックスというステージ用の衣装でコーディネイトしている団体もあった。

休憩時間には盲導犬の紹介が行われた。センター南駅で盲導犬の訓練をしている姿を何度か目撃したことならある。レトリバーだろう、大人しい犬種。とはいえ大型犬なので怖いことは怖いが。

最後は主催の浜田亀山ライオンズクラブからの挨拶で締めくくられた。今回の演奏は5月3日(土)17時から石見ケーブルビジョンで放送されるそうだ。

会場を出てホールの周囲をぐるっと回ってみた。物資の搬入口は思いの外狭かった。中型トラックが一台入るのがやっとくらいか。大勢の生徒と楽器が出入りする訳だけど、案外そんなものかと思った。裏通りは割と幅広くてスクールバスはそこに停まって送迎しているらしかった。

家に帰るとドッと疲れが出た。駅前までは歩いて20分ほどの距離で大したことないのだけど、未だ完全には疲労が抜けていないようだ。

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