横浜市元町中華街のシルクロード舞踏館で催された早池峰神楽(岳神楽)の公演を鑑賞に行く。500年の歴史がある神楽と紹介される。変遷はあるだろうが、室町時代から続いていることになる。
・鶏舞
・松迎之舞
・三番叟の舞
・八幡舞
・岩戸開きの舞
・天王舞
・諷踊の舞
・五穀の舞
・権現舞
が上演された。演目は正月にちなんだものが選ばれたとのこと。
鶏舞から権現舞まで早池峰神楽の基本的な演目が上演されたことになる。撮影は禁止。ポメラを持参したのだけど、バッテリー切れ寸前で演目しか付けられなかった。
YouTubeで動画を見てはいたのだけど、上品な舞という印象だった。実際には力強い太鼓で激しく舞う舞もあった。やはり実際にライブで鑑賞しないと本当のところは伝わらないと痛感した。
鶏舞で鶏の冠を被った演者が舞う。三番叟の舞では黒尉だろうか、黒色の面を付けた三番叟だった。八幡の舞では小さな弓が採り物となる。矢を射る所作があるが、矢はその場にばたりと落下する感じ。品川神社の太々神楽を思い出した。岩戸開きの舞は劇ではなかったが、演劇性の萌芽が感じられた。天王舞は牛頭天王の舞。神楽で牛頭天王の舞を見るのは初めて。東北という周縁なので残っていた演目だろう。途中、滑稽な場面もあった。蘇民将来や頗梨采女(はりさいじょ)も登場する。諷踊の舞は激しい舞。若い人が舞っていた。五穀の舞は月読命と保食神(ウケモチノカミ)に言及される。最後の権現舞は黒い獅子。抽選で当たった人は権現様に頭を噛んでもらっていた。
代表が飴を巻く演目があったのだが、どの演目か失念してしまった。
早池峰神楽の奏楽は笛、太鼓、鉦の三名からなる。太鼓は激しく叩く。その点では関東の里神楽とイメージが異なる。激しい鼓動に魅力を感じる人が多いのかもしれない。やはりライブで見ないとこの迫力は動画では伝わらない。
舞は石見のものとも関東のものとも異なる印象。演目によっては激しく舞う。上手く形容できないが、無駄な動きのない熟練の舞。足さばきは基本的にはすり足ではないかと思うがよく分からない。鬼剣舞のように脚を上げる動作はない。
会場にはしめ縄が四方に張られそこが結界となっている。結界内には入らないようにアナウンスされる。舞は結界内で舞われる。二~三畳少々くらいの面積だろうか(二間)。その中で舞うのである。
地下鉄で移動中に印刷した地図の最寄り駅が市営地下鉄の関内駅でないことに気づく。どうしようか迷ったが、そのまま関内駅で降りる。関内駅から横浜スタジアムはすぐ近くでスタジアムの脇を抜けていくと中華街の入り口があった。中華街を進むがどちらに進めばよいのか分からず、傍で掃除をしていた店員さんに道を訊く。チャイハネという雑貨店の地下がホールだと教えてもらう。ここで聴いてなければ多分気づかなかっただろう。尿意を催して困っていたので雑貨店でトイレを借りる。それでソフトクリームを買って食べる。
シルクロード舞踏館は小ホールを想像していたが、実際には三十畳くらいだろうか、フローリングの地下室というイメージだった。天井は木の枠で装飾されている。土足禁止で靴を脱いで入る。座席は座布団と壁際の折り畳み椅子とがあった。部屋の隅の椅子に陣取る。一段高い位置から見られるのでよく見えた。
休憩時間に外出して近くのインフォメーションセンターに行く。公衆トイレがありそこで用を足す。帰ると日本酒がふるまわれていた。味のいい酒だった。
観客のほとんどは老人層だった。一人小学生の女の子がいた。神楽を見るのは初めてという人も結構いた。見せ場では的確に拍手していたので早池峰神楽を見慣れている人が多いのではないかという印象。
最後に代表の方が挨拶。上品な感じの人。早池峰神楽の奉納神楽は七月末とのこと。気候がいい時期なのでぜひ来て欲しいとのことだった。過疎化で人より鹿の方が多いといった冗談も出た。少子化による後継者不足には悩まされているようだ。メイショウ寺というお寺が廃仏毀釈で廃寺になったと語っておられたように記録していたが、関連サイトを確認すると岳妙泉寺とあった。聞き間違いか。
帰り道は途中までは分かったが途中から分からなくなり、若い女性に道を訊いた。怪訝な顔をされたが答えてくれた。JR関内駅までたどり着き、そこから市営地下鉄の関内駅に進む。
記事を書き終えて、ポメラのバッテリーをチェックしていなかったのが悔やまれる。二日目も基本的には同じ演目が舞われたのだけど、一部違う演目があった。そこでの記述不足を感じるのである。