神楽

2024年6月 9日 (日)

橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 二日目

橘樹神社の例大祭、加藤社中の奉納神楽二日目を見学に行く。番組表を送ってもらっていたのだが、巫女舞はうっかり見落としていた。

まず「天浮橋」を見る。まず天御中主神が登場する。翁面。僕は天御中主神は人格のない神、もっと言えば宇宙の究極原理的な神と考えていたので意外で面白かった(※なんでこんなことを考えているのかというと、過去に読了はしていないが、青土社の『シク教』という本を読んだことがあるため)。後で家元に尋ねたところ、思金神とする解釈もあるとのことだった。後はイザナギ命とイザナミ命の国生みの演目。途中、子役の蛭子神や加具土命が登場する。この際、後ろで見学していた若い子連れの夫婦がまだ園児にもなっていなさそうなお子さんに「あれは火の神さまで」と説明していた。日本神話の知識のある人だった。お子さんはまだ理解できる年齢ではなさそうだが、幼少時に郷土芸能に触れることは非常に大切なことだと思うので、一人でもそういう人がいればいいのかもしれない。

天浮橋:天御中主神
天浮橋:イザナギ命とイザナミ命
天浮橋:蛭子神
天浮橋:加具土命

次は「黄泉醜女」。初見の演目。坂戸市の大宮住吉神楽では「黄泉醜女」があるそうだが、たとえば石見神楽には存在しない。鬼女が登場する演目だからあってもよさそうなものだけど、ないのである。黄泉醜女自身の登場場面は意外と短く、むしろ桃の精、大神実命が大活躍する。

黄泉醜女:黄泉国で再会したイザナギ命とイザナミ命
黄泉醜女:鬼女の姿を露わにしたイザナミ命
黄泉醜女:鬼女となったイザナミ命が再登場
黄泉醜女:桃の精と争う鬼女イザナミ命

「禊三筒男」「式三番叟」。これは「黄泉醜女」の展開を受けた内容で、黄泉国から帰還したイザナギ命が川で身を清めて住吉三神が誕生するという筋立て。そこから連続して二人三番叟となった。三番叟が出るとは聞いていたのだが、続けて出るとは思っていなかった。

禊三筒男:黄泉国から帰還したイザナギ命
禊三筒男:イザナギ命の禊によって誕生した住吉三神
禊三筒男:黒尉(底筒男命)の扇の舞
式三番叟:二人三番叟

黒尉が扇二枚をひらひらと扇ぐのが魅力的に映る。

「熊襲征伐」、言いつけの場では小碓命、後のヤマトタケル命のみ登場する。萩原社中で見た際は大碓命も登場し、父の景行天皇の怒りを買い追放されるという内容だった。社中によっても内容が若干異なっている。

熊襲征伐:景行天皇
熊襲征伐:衣を被いた小碓命(ヤマトタケル)

本編はユーモラスな内容。父に疎まれたヤマトタケル命の神話は悲劇的な色合いが濃いのだが、「熊襲征伐」は熊襲建が主役と言ってもよく、この演目だけ別人によって創作されたものと考えられる。

熊襲征伐:もどきと酒盛りをする熊襲建
熊襲征伐:もどきに身だしなみを整えてもらう熊襲建
熊襲征伐:衣を被いた小碓命を少女と勘違いして招き入れる熊襲建
熊襲征伐:小碓命に倒され身動きできなくなった熊襲建、もどきに引かれて退場

ヤマトタケル命を演じたのはまだ小学生の男の子。将来、社中のエース的存在となるかもしれない有望株。

本編は雨除けで神社の軒下から撮ったのだけど、気が付くと、シャッターをバシャバシャ切っていた。思ったより没入していたのかもしれない。

最後は「大室屋土蜘蛛退治」。イワレ彦(神武天皇)とその従者(高倉下)とが一夜の宿を求めたところ、宿の主の姫の正体は土蜘蛛だったという内容。クモを投げて妖術を表現している。土蜘蛛は斬られてしまうのだけど、最後に再びクモを投げて退場する。死んではおらず逃げただけなのかもしれない。一応、日本書紀(現代語訳)は読んでいるのだけど、このエピソードは憶えていなかった。確認すると新作とのことであった。

大室屋土蜘蛛退治:酔って眠ってしまったイワレ彦と従者
大室屋土蜘蛛退治:土蜘蛛の姫が妖術を使う
大室屋土蜘蛛退治:従者を踏みつけにする土蜘蛛
大室屋土蜘蛛退治:イワレ彦に斬られた土蜘蛛

八雲神詠と土蜘蛛では立ち回りの場面で大蛇や土蜘蛛が身をくるりと翻すというか旋回するような派手な所作が見られた。裾を翻して旋回するイメージである。以前はそういうのあったかな? とも思ったりした。

八雲神詠:くるりと旋回するオロチ

カメラのバッテリーはイワレ彦が退場したところで切れた。SDカードの残量も残り70枚ほどで何とか持ちこたえた。後で確認すると、二日間で約1800枚撮影していた。

帰り際、楽屋に挨拶して帰る。家元曰く、神楽も変わっていかなければならないとのこと。どこまでが神楽なのか。あれも神楽、これも神楽かもしれない。誰が何をしようがその人の勝手ではあるのだけど、一定の節度は求められるというところか。といっても関東の神楽師がやろうとしていることなら全然無問題だろうけど。関東の場合は家元、元締めといった存在がいて家業で価値観を継承しているので、一定の線引きはしている。広島の芸北神楽になると、そういった線引きをする人はいないので良くも悪くもフリーダムになってしまっている。

関東の神代神楽の奏楽の魅力は軽快なリズムと笛の技術の高さ。

以前、横浜市歴史博物館で神楽を講演を聞きにいって、別の日に神楽の上演会があったのだけど、寝過ごして行けなかったという話をしたら、それには参加していたとのこと。横浜の面は横浜市歴史博物館に所蔵されているとのこと。

橘樹神社はかつての保土ヶ谷宿に近いそうだ。そういった伝統も残していきたいとのこと。

「天浮橋」「黄泉醜女」「大室屋土蜘蛛退治」は初見の演目。神楽鑑賞歴そのものは長くないので未見の演目だと「やった、ラッキー」という気分になる。

これまでは神楽を鑑賞した当日中に写真をピックアップしてSNSに掲示したりしていたのだけど、今回は疲労感が強く、さすがに後日に回した。実年齢より10歳くらい老化しているかもしれない。

今回、「お話がよく分からない」という声を聞いた。基本、黙劇なので日本神話の知識があることが前提になっている。僕も「稲荷山」を見たときはストーリーが把握できなかった。まあ「自分に合った古事記の本を読んだらいいですよ」と言う他ないのではあるが。

多分、僕は「神楽の写真を撮っている人」と認識されているだろう。実際カメラは好きなのだけど、撮影していると肉眼で見なくなってしまう。言うほどちゃんと見ていないのが実態なのである。一眼レフだとレンズを通した素通しの光なのでまだいいのだけど、ミラーレスだとセンサーを通した映像を見ている形となる。とはいえ、写真に撮っておかないと記憶はすぐに薄れてしまう(※決定的な場面は撮りたいという欲もある)ということで中々に悩ましい問題だったりするのである。

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2024年6月 8日 (土)

橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 一日目

土日が横浜市保土ヶ谷区天王町の橘樹神社の例大祭で、加藤社中の奉納神楽を見学に行く。途中、横浜駅のホームを撮影しようと思って寄り道する。電子書籍の表紙に使えないかと思って。神社に到着したのは11時20分過ぎで最初の演目は終わっていた。「面を新調したのに」と家元に言われる。

合間に南京玉すだれや忍者ショーが催された。ただのすだれにしか見えないのに、あんなに変化するのが面白い。忍者ショーは園児くらいの年齢の子が男女問わず参加していた。

今日の演目は「神逐蓑笠(かみやらいみのかさ)」という演目で、天照大神に保食神(うけもちのかみ)から五穀の種を受け取ってくるよう命じられたスサノオ命だったが、保食神の差しだした種が臭いと怒りだし、保食神を斬ってしまう。保食神はスサノオ命の暴虐を天照大神に訴える(※なので死んでいない)。天照大神とスサノオ命は互いに武器を向け合う一触即発の事態となる。正気を取り戻したかに見えるスサノオ命だが、姉には敵わず、蓑笠を着せられて追放されてしまう……という筋立て。

神逐蓑笠:翁面の保食神
神逐蓑笠:保食神を斬るスサノオ命
神逐蓑笠:天照大神にスサノオ命の暴虐を訴える保食神
神逐蓑笠:天照大神と対峙するスサノオ命

スサノオ命と保食神との組み合わせなので、記紀神話とは微妙に異なったストーリーとなっている。違っていた方が解釈の余地が広がって面白かったりもする。他所の社中がビデオ撮影して自身の演目として取り入れることもあるのだとか。今回は「言いたての場」から見ることができた。

なお、「勘当の場」の前に大黒舞を挟んで飴を撒いていた。

最後の演目は「八雲神詠」。ヤマタノオロチ退治である。関東の神代神楽では蛇胴は用いず、ヒトの衣装を来たオロチが登場する。そういう観点からすると、蛇胴開発以前の上演形態が残されている貴重な演目と言える。

八雲神詠:ヤマタノオロチ
八雲神詠:眠るオロチとスサノオ命、背後に奇稲田姫
八雲神詠:スサノオ命とオロチとの大立ち回り
八雲神詠:倒したオロチから天村雲剣を取り出すスサノオ命

天王町→牛頭天王→蘇民将来→スサノオ命という流れで、橘樹神社のご祭神がスサノオ命なのだそうだ。それで今日はスサノオ命にちなんだ演目となったようだ。

上演の合間には楽屋に呼んで頂いて、ビールをご馳走してもらったりした。「土蜘蛛」をやるとのことだったので、謡曲の胡蝶さんが頼光さんを毒殺しようとするお話ですか? と訊いたところ、神武天皇の土蜘蛛とのことだった。家元によると、関東では「紅葉狩」など一部の例外を除いて古事記に載っていないお話はやらないとのこと。それで五郎王子もやらないのかと得心がいく。

おそらく、記紀神話以外をやらないというのは明治期の神楽改正の影響の名残ではないかという気がするが、それはそれとして現在までそういう見識で臨んでいるということである。

保食神の面は厳めしい翁面だったので質問してみる。関東では男ですとのこと。前回見たときは媼の面だったと記憶しているが。

家元はサンカ(山の漂泊民)にご興味がおありとのこと。裏日本史とでもいうか、敗者の側からの歴史も研究してみたいそうだ。『童の神』という小説を紹介していただく。とりあえず電子書籍版をAmazonで購入。積読がたまりにたまっているのでいつ消化できるかという状況だが、いつでも読めるようスタンバイ。

サンカについては語れることがないので、出雲の四隅突出型墳丘墓の話をする。大国主命のモデルとなったと思われる古代出雲の首長たちの墓が現存しているという話である。出雲神話には実体がないと考えられていた時期が長いそうで、そういう意味ではよく残っていたなという感じである(※隣の敷地は商業高校の校庭である)。

家元のご母堂と挨拶する。僕と同年齢くらいの女性と思ったので意外だった。非常に若く見える。

広島出身の人は他にもいた。浜田にはよく海水浴に行っていたそうだ。

天気は晴れ。気温はそこまで高くなかったが、日差しは強く。座っていると、ズボンの布が熱くなった。夕暮れを過ぎると気温は下がった。6月初旬だとまだ肌寒いときもある。帰宅して風呂に入ると、見事に日焼けしていた。

座って見ていただけなのだが、かなり疲労した。体力が落ちている。

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2024年3月31日 (日)

理解できないのは書いてあることが間違っているからという可能性もある

「神楽と文芸(総論)」だと思うが、八藤後先生曰く分からないとのこと。専門が違うと書き手が当然のごとくに使用している用語が伝わらないということだと思う。だが、分からないにはもう一つの可能性があって、それは書いてあることが間違っているから分からないということもあり得る。

僕は高校生のときに強いストレスがかかったことがあり、それ以降、脳内のロジック回路に変調をきたしたと感じている。僕の書くものに癖があるのはそのためである。自分でも変だなと思うけど自分では直せないのだ。

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2024年3月17日 (日)

江戸里神楽を観る会を鑑賞 2024.03

新馬場の六行会ホールにて間宮社中の第二十一回江戸里神楽を観る会を鑑賞。六行会ホールで鑑賞するのは数年ぶりとなる。
「高天原神集評定(たかまがはらかみつどいひょうじょう)の場」
品川太太神楽「翁の舞」
「兄弟探湯(けいていたんとう)」
の三演目が上演された。

「高天原神集評定の場」は出雲に国譲りさせようとなって誰を使者に選ぶかくじ引きで選ぶという内容。高木神が天菩比命(天穂日命)、天若日子命、経津主神、建御雷之男神を集め(従者のもどきもいる)、もどきが四神に矢と思われるものを配り、それがくじとなって天菩比命が第一の使者として選ばれる。

高天原神集評定の場・五神そろい踏み
高天原神集評定の場・天若日子

この演目は続く「天菩比之上使」「天之返矢」「幽顕分界」の国譲り三部作の序段となる演目。通常の上演時は天菩比命のみの登場となるが、今回の上演では四神とも登場しくじ引きで選ぶ展開としているとのこと。「幽顕分界」は未見である。

品川太太神楽「翁の舞」は神前舞。神に向けて舞うので観客席からは後ろ向きで鑑賞することになると説明された。社伝によると元亀年間(1570~73)の発祥と伝えられているとのことだが、都心に古い神楽があまり変化せず残されていることが驚きである。

品川神社太々神楽・翁の舞

「兄弟探湯」は武内宿禰(たけのうちすくね)が異母弟の甘美内宿禰(うましのうちのすくね)から謀反の企てがあると讒訴されてしまう。それで応神天皇は盟神探湯(くがたち)という占いで真偽を決することにする。熱湯に手を入れ、火傷をしなかった方が正しいとするものである。武内宿禰は邪心がないので素直に熱湯に手を入れ何事もない。一方、甘美内宿禰は躊躇した挙句、剣を抜いて武内宿禰を襲うが反撃され、武内宿禰と随臣に取り押さえられてしまう。そして強制的に熱湯に手を突っ込まれ火傷をしてしまう。武内宿禰の潔白が証明された……という内容である。

兄弟探湯・もどき
兄弟探湯・武内宿禰が熱湯に手を入れる
兄弟探湯・武内宿禰と随臣に押さえつけられ熱湯に手を入れさせられる甘美内宿禰

こう書くとシリアスな展開に思えるが、実際には従者役のもどきの滑稽な演技もあったりで楽しい演目となっている。「兄弟探湯」は第七回で上演されたもののリメイクとのことである。

「兄弟探湯」においても剣劇はあるのだが、それで決着をつけるのではなく、あくまで盟神探湯(くがたち)で決着をつけるのである。そういう作劇の妙が感じられる。石見神楽や芸北神楽の神楽人たちに比較対象として見てもらいたい演目である。

ステージ上での上演なので民俗学者はフォークロリズムと呼んで軽視する。だが、ステージならではのメリットもある。照明できらびやかな衣装が映えるのである。神楽殿だと日中は自然光になるからそこまで映えないのである。

横浜駅で京急に乗り換える。新馬場駅が品川駅の先と勘違いしてしまい、品川駅で降りてしまう。そのまま日比谷線に乗り換えてしまい、途中で気づき引き返す。京急蒲田駅まで引き返す。各駅停車に乗るが、新馬場駅に着いたのは12時半頃になってしまった。それでもホールでは左端だが前の席に座ることはできた。

新馬場・六行会ホール
六行会ホール入口
上演終了後のホール

受付で住所氏名を書く。写真撮影はOKとのこと。フラッシュは禁止。客席は8~9割は埋まっていた。マスクは着用を推奨というスタンス。無料の催しなのだが、本来は3000円~4000円くらいの鑑賞料が必要な内容。

観客層については観察していない。若い人は見かけたが、多くは老人層だろう。子連れの若いカップルが来場するという姿はない。黙劇ということもあって観客に日本神話の知識を要求する。戦前の人なら普通に知っていた話も今の若い人たちが知っているとは限らない時代である。

パナソニックGX7mk2+35-100mmF2.8で撮影。望遠端でもF2.8なので失敗写真はあまりなかった。それでもExif情報を確認するとシャッタースピードは1/30秒ほどである。1/20秒になると手振れしていた。

35-100mmF2.8は360gと小型軽量なのが特徴。フォーサーズは高感度には強くないのでこういった明るいレンズでカバーする必要がある。ある意味マイクロフォーサーズらしい望遠ズームレンズである。舞台撮影にはぴったり。

最後にバッテリーが切れたのでパナソニックTX1ででも撮影してみたが、望遠にすると見事に手振れしていた。F値は5.1くらいまで上がってしまう。ISO800~1600まで上げてシャッタースピードは1/80秒くらいを確保しているのだが、手ぶれ補正能力に差があるのか手振れしてしまっている。

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2024年2月25日 (日)

2024年の目標

このところネタ切れだと書いてきた。で、昔話の行為項分析に手をつけはじめた。あと、未到着だがスーリオの古本を注文した。
・昔話の行為項分析+α
・美学関連で購入した書籍の読破
辺りを今年の目標としたい。

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2024年2月12日 (月)

三櫻酒造なら駅から近い

黒川町の浜田市浜田郷土資料館は建て替えが予定されていて石見神楽の伝承施設と併せた複合施設となる計画と報道された。候補地は三か所あるらしいが、一つは三櫻酒造跡地だという。廃業したんだと思う。「ちょこ一つ、思わず二つ、三つ桜」というCMは過去のものとなった。まあ、あそこならJR浜田駅からも近いし立地的にはいいのではないか。……あそこの郷土資料館には未だ入ったことがない。

三櫻酒造
三櫻酒造・レンガ製の煙突
浜田市浜田郷土資料館
浜田市浜田郷土資料館

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2024年2月 7日 (水)

早池峰神楽のパンフレットを読む

早池峰神楽のパンフレットを読む。花巻市観光課が発行したもの。岳神楽は「勇壮」、大償神楽は「優雅」と評されるとある。すると僕が動画で見たのは大償神楽の方だったのだろうか。それは分からない。

演目の解説が掲載されている。40演目ほどあるそうだ。今回の公演で見たのが11演目なので約四分の一といった程度になる。内容的にはいつの時代に改訂されたのか分からないが神道流に改訂されたと思われる演目が多い。その中で今回上演された中に「天王の舞」牛頭天王の演目があったことは幸運だったかもしれない。他、狂言も演じられるようだ。

式舞の他に神舞、女舞、荒舞、番楽舞などに分類されるようだ。

笛と舎文(言い立て)の人は神楽幕の裏にいて観客からは見えないとある。上演時、右側の鉦の人を笛と勘違いしていた。

演目にはバックグラウンドとなるストーリーがある。が、おそらくストーリーを再現する劇的な構成とはなっていないのではないかと思われる。演劇化していなくとも庶民の娯楽たり得ると知れたことは今回の収穫。

岳神楽だけでなく大償神楽も見ないと早池峰神楽を理解したことにはならないだろう。

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2024年2月 5日 (月)

みさきとはここでは藁蛇か

Xで伊賀和志神楽団の「みさき舞」の動画が流れてきたので視聴する。
https://youtu.be/Gvu8NMJbIq8?t=1003

伊賀和志はJR三江線の駅があったので安芸高田市でも三次市に近い地域だろう。ステージに藁蛇が置かれ、八名ほどの人が持ってうねらせる。その間にお花を納めた人だろうか、個人名、会社名が読み上げられる。最後は藁蛇をとぐろを巻いた状態にしてお終いだった。伊賀和志にはこういう古い信仰が残っている側面と新舞をやる側面と両側面があるようだ。

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江戸里神楽を観る会が復活する

江戸里神楽を観る会の案内が届いていた。数年ぶりに復活するとのことである。

第21回江戸里神楽を観る会

3月17日(日)12:00開場 13:00開演
六行会ホール(京浜急行・新馬場駅下車、品川区立品川図書館の地下)

第一座:高天原神集・評定の場
特別公演 品川神社太太神楽
第二座:兄弟探湯

入場無料・全席自由席

……コロナは五類になっただけで感染が収束した訳ではない。オープンエアのときはマスクを外しているが、まだまだマスクは手放せない。

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2024年2月 4日 (日)

元町中華街にて早池峰神楽(岳神楽)を鑑賞する 二日目

横浜市元町中華街のシルクロード舞踏館で催された早池峰神楽(岳神楽)の公演二日目を鑑賞に行く。今度は迷わずに行き帰りできた。今回も部屋の隅の椅子に陣取る。二日目だと椅子では尻が痛くなってしまった。余っていた座布団を借りる。

・鶏舞
・松迎え舞
・三番叟の舞
・岩戸開きの舞
・天女の舞
・天降りの舞
・諷踊の舞
・権現舞

が上演された。二日目も鶏舞から権現舞まで早池峰神楽の基本的な演目が上演された。演目は「天女の舞」と「天降りの舞」が前日とは異なる演目だった。幾つか演目が重なったが、小寺融吉は一つの神楽を最低二回は鑑賞するように言っていたのでよしとする。

ホール内・開演前
終演後のホール
シルクロード舞踏館のあるビル

上演前に演舞で用いられる剣は真剣とアナウンスがあった。真剣と知ると見方が変わってくる。一つ間違えば大怪我するのだ。たとえば島根県益田市の久城社中の「四剣」は今は真剣を使っていないそうだ。

衣装は新しく清潔であるが華美ではない。むしろ冠と側頭部の垂れというのか(しころ板)、そちらの方がきらびやかな印象がある。

しめ縄で囲われた結界の中で舞うのだが、舞台を東南西北と巡る足取りは見られない。基本的にはすり足だと思う。

扇を差して優雅に旋回するといった所作は見られない。神楽は旋回だと説明されるが、旋回する所作自体が少ないか。踊りではないので跳躍する所作もわずかであった。

「鶏舞」は直面の若い人が二人舞う。はじまりの演目である。鶏の冠が特徴的。「松迎え舞」は着面の二人舞。扇をもって舞う。舞手の一人はお年寄りだった。松の枝を腰に指して舞う。途中から採り物となった。「三番叟の舞」は片足で舞う場面がある。結構激しく舞っていてよく倒れないものだと感心する。身体能力が高いのだろう。「岩戸開きの舞」まず天児屋根命と思われる演者が舞う。袖をくるくるとめくる所作があった。関東の里神楽で三番叟がそうすると舞台を清める意味があるそうなのだが、早池峰神楽ではどうだろう。手力男命が登場する。鈿女命は長髪ではない。演者の後ろ髪が見えている。幕をめくって天照大神が登場する。鶏冠の舞手も舞台に登場する。

ここで休憩。トイレに行ったので振る舞い酒はもらわなかった。代表から挨拶があった。早池峰神楽は日本書記を題材としているとのこと。鶏舞から権現舞まで六曲を舞うと厄を払うことになる。子供は三番叟から習いはじめる。冠が軽いためである。昔は口でリズムをとって稽古していた。日本のチベットと自虐し、なまった芸能であると言う。本来は農家や商家でやる芸能である。式舞は必ず二時間かかる。最近は観客が飽きてしまうため四時間やる機会が少なくなってしまった……など。

「天女の舞」では女面で鶏冠を被った演者が舞う。鈿女と神楽歌にある。扇二枚の舞。「天降りの舞」は天孫降臨。鶏冠を被った赤い天狗面の演者が登場する。猿田彦命だろう。弓を腰に指している。また、剣を採り物としている。それから扇の舞。くるくると旋回する所作があった。弓矢をもった女神(鈿女)と男神二人と計三名が登場、四人舞になる。猿田彦役の演者は最後に面を外し、真剣を抜いて激しく舞う。「諷踊の舞」では演者が鈴を二つ持つ。鈴は小さい。跳躍する所作も見られた。最後に二本の真剣で激しく舞う。「権現舞」では舞の後、代表が歌いながら権現さまに酒や野菜を捧げる。それからくじで当たった人が結界内に入り権現さまの衣装の裾をくくったものの中をくぐる。それから頭を噛んでもらう。終わると座席に戻る。代表は桶を持って酒か、少し撒く。終わると代表は幕に下がる。

僕は石見神楽を見て育ったので生得的に神楽を田舎のエンタメとして見ている。そういう意味では早池峰神楽に霊的、スピリチュアルな印象は受けなかった。神社でなくホールで見たという点も考慮しなければならないが。むしろ太鼓や舞の力強さが印象に残った。激しい太鼓の鼓動、激しいビートとリズムに触れることで精神を年に一度リフレッシュさせるのではないかと思った。そう考えると鎮魂論からもそう外れていないはずである。

僕が辿ったルートは関内駅から横浜スタジアムの脇を抜けて中華街の門をくぐる。それから道なりに進み、関帝廟通りに入る。突き当り(横浜大世界がある)で左に曲がり、チャイハネという雑貨店を探すというもの。中華街の通りでも行けるとは思うが試していない。シルクロード舞踏館はインフォメーションセンターから角を左に曲がった通りにあるので、みなとみらい線方面から中華街に入った方が分かりやすいかもしれない。

横浜中華街・関帝廟
関帝廟。きらびやかさに日本と感覚が違うのだなと思わされる。

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