関東

2024年6月14日 (金)

下北沢の小劇場で演劇を鑑賞 2024.06

下北沢の駅前劇場に行き、劇団チョコレートケーキの「白き山」を観劇する。

脚本:古川健
演出:日澤雄介
舞台美術:長田佳代子
照明:和田東史子
音響:佐藤こうじ

斎藤茂吉:緒方晋
斎藤茂太:浅井伸治
斎藤宗吉:西尾友樹
高弟:山口茂吉
賄い婦:守谷みや

駅前劇場は高架をくぐってすぐガストが入居したビルがあるが、その三階にある。昼の回だったがほぼ満席だった。当日券があるだろうと軽く考えていたのだが、遅れていたら入場できなかったかもしれない。観客層は中年から老年層。男女比は半々くらいか。キャパは180人ほど。小劇場のカテゴリー。席は折り畳み椅子だがクッションは敷かれている。僕の席は一番奥だった。二時間の劇なので二幕構成かなと思ってトイレ休憩のとき出入りが大変だなと思っていたのだが、二時間通して演じられた。このところ頻尿の度合いが増したのだが、何とか耐えられた。

下北沢・駅前劇場
駅前劇場・ポスター

ストーリーは歌人の斎藤茂吉が疎開した山形の山荘が舞台となる。下手奥が茂吉の書斎となっている。終戦直後、息子二人と門人(出版社の編集か)が訪ねてくる。他、茂吉の身の回りを世話する中年女性がいる。敗戦によって価値観が180度転換、戦争を賛美する歌を詠んでいた歌人たちは非難に晒されることになる。劇中ではそうなるだろうと息子から指摘されるのみ。息子は二人とも医師である。弟は後の北杜夫と思われるが文学を志している。「戦争詠みはつまらない」と断言する。これは茂吉だけの問題ではなく劇中では高村光太郎の名も言及される。最終的に茂吉は東京へ戻るのを延期し、生まれ育った故郷の風景を詠む方向性が示される……というような内容。

小劇場なので実験的な作風の劇も上演されると思うのだけど、今回は本格的な劇だった。下北沢では小学生のときに姉に連れられて小劇場に行ったことがあるが、そのときは劇ではなくて舞踏だった。僕は首都圏の神楽はちょこちょこ見ているのだが、神楽は基本的に黙劇で、セリフのある近代演劇をライブで鑑賞するのは実質的に初めて。これまで行こう行こうと思っていて、いざとなるとどこで何を見ればいいのか分からなくて手をこまねいていた。ようやく願いが叶った次第。

演者は5名。僕は演技の良しあしは分からない口なのだけど、皆、上手いなと感じた。アンケートに「冗長性が削ぎ落された2時間をどう考えるべきか? 今の自分にはまだ分からない」と記入した。これは別に不満があった訳ではなく、一幕で2時間という長丁場で無駄のない緊密な劇が展開されているということである。裏を返すと、お遊びの要素はないなと感じたということである。観客を笑わせる場面ももちろんあるが、それも計算されたものである。

……残るは歌舞伎だが、そろそろ梅雨入りだしどうしよう。

<追記>
門人役の人が茂吉が云々と言っていたのは役者さんの実名が茂吉だったことに由来すると後でリストを書き写していて知る。鑑賞時は事前情報なしで見たので気づかなかった。

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2024年6月 9日 (日)

橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 二日目

橘樹神社の例大祭、加藤社中の奉納神楽二日目を見学に行く。番組表を送ってもらっていたのだが、巫女舞はうっかり見落としていた。

まず「天浮橋」を見る。まず天御中主神が登場する。翁面。僕は天御中主神は人格のない神、もっと言えば宇宙の究極原理的な神と考えていたので意外で面白かった(※なんでこんなことを考えているのかというと、過去に読了はしていないが、青土社の『シク教』という本を読んだことがあるため)。後で家元に尋ねたところ、思金神とする解釈もあるとのことだった。後はイザナギ命とイザナミ命の国生みの演目。途中、子役の蛭子神や加具土命が登場する。この際、後ろで見学していた若い子連れの夫婦がまだ園児にもなっていなさそうなお子さんに「あれは火の神さまで」と説明していた。日本神話の知識のある人だった。お子さんはまだ理解できる年齢ではなさそうだが、幼少時に郷土芸能に触れることは非常に大切なことだと思うので、一人でもそういう人がいればいいのかもしれない。

天浮橋:天御中主神
天浮橋:イザナギ命とイザナミ命
天浮橋:蛭子神
天浮橋:加具土命

次は「黄泉醜女」。初見の演目。坂戸市の大宮住吉神楽では「黄泉醜女」があるそうだが、たとえば石見神楽には存在しない。鬼女が登場する演目だからあってもよさそうなものだけど、ないのである。黄泉醜女自身の登場場面は意外と短く、むしろ桃の精、大神実命が大活躍する。

黄泉醜女:黄泉国で再会したイザナギ命とイザナミ命
黄泉醜女:鬼女の姿を露わにしたイザナミ命
黄泉醜女:鬼女となったイザナミ命が再登場
黄泉醜女:桃の精と争う鬼女イザナミ命

「禊三筒男」「式三番叟」。これは「黄泉醜女」の展開を受けた内容で、黄泉国から帰還したイザナギ命が川で身を清めて住吉三神が誕生するという筋立て。そこから連続して二人三番叟となった。三番叟が出るとは聞いていたのだが、続けて出るとは思っていなかった。

禊三筒男:黄泉国から帰還したイザナギ命
禊三筒男:イザナギ命の禊によって誕生した住吉三神
禊三筒男:黒尉(底筒男命)の扇の舞
式三番叟:二人三番叟

黒尉が扇二枚をひらひらと扇ぐのが魅力的に映る。

「熊襲征伐」、言いつけの場では小碓命、後のヤマトタケル命のみ登場する。萩原社中で見た際は大碓命も登場し、父の景行天皇の怒りを買い追放されるという内容だった。社中によっても内容が若干異なっている。

熊襲征伐:景行天皇
熊襲征伐:衣を被いた小碓命(ヤマトタケル)

本編はユーモラスな内容。父に疎まれたヤマトタケル命の神話は悲劇的な色合いが濃いのだが、「熊襲征伐」は熊襲建が主役と言ってもよく、この演目だけ別人によって創作されたものと考えられる。

熊襲征伐:もどきと酒盛りをする熊襲建
熊襲征伐:もどきに身だしなみを整えてもらう熊襲建
熊襲征伐:衣を被いた小碓命を少女と勘違いして招き入れる熊襲建
熊襲征伐:小碓命に倒され身動きできなくなった熊襲建、もどきに引かれて退場

ヤマトタケル命を演じたのはまだ小学生の男の子。将来、社中のエース的存在となるかもしれない有望株。

本編は雨除けで神社の軒下から撮ったのだけど、気が付くと、シャッターをバシャバシャ切っていた。思ったより没入していたのかもしれない。

最後は「大室屋土蜘蛛退治」。イワレ彦(神武天皇)とその従者(高倉下)とが一夜の宿を求めたところ、宿の主の姫の正体は土蜘蛛だったという内容。クモを投げて妖術を表現している。土蜘蛛は斬られてしまうのだけど、最後に再びクモを投げて退場する。死んではおらず逃げただけなのかもしれない。一応、日本書紀(現代語訳)は読んでいるのだけど、このエピソードは憶えていなかった。確認すると新作とのことであった。

大室屋土蜘蛛退治:酔って眠ってしまったイワレ彦と従者
大室屋土蜘蛛退治:土蜘蛛の姫が妖術を使う
大室屋土蜘蛛退治:従者を踏みつけにする土蜘蛛
大室屋土蜘蛛退治:イワレ彦に斬られた土蜘蛛

八雲神詠と土蜘蛛では立ち回りの場面で大蛇や土蜘蛛が身をくるりと翻すというか旋回するような派手な所作が見られた。裾を翻して旋回するイメージである。以前はそういうのあったかな? とも思ったりした。

八雲神詠:くるりと旋回するオロチ

カメラのバッテリーはイワレ彦が退場したところで切れた。SDカードの残量も残り70枚ほどで何とか持ちこたえた。後で確認すると、二日間で約1800枚撮影していた。

帰り際、楽屋に挨拶して帰る。家元曰く、神楽も変わっていかなければならないとのこと。どこまでが神楽なのか。あれも神楽、これも神楽かもしれない。誰が何をしようがその人の勝手ではあるのだけど、一定の節度は求められるというところか。といっても関東の神楽師がやろうとしていることなら全然無問題だろうけど。関東の場合は家元、元締めといった存在がいて家業で価値観を継承しているので、一定の線引きはしている。広島の芸北神楽になると、そういった線引きをする人はいないので良くも悪くもフリーダムになってしまっている。

関東の神代神楽の奏楽の魅力は軽快なリズムと笛の技術の高さ。

以前、横浜市歴史博物館で神楽を講演を聞きにいって、別の日に神楽の上演会があったのだけど、寝過ごして行けなかったという話をしたら、それには参加していたとのこと。横浜の面は横浜市歴史博物館に所蔵されているとのこと。

橘樹神社はかつての保土ヶ谷宿に近いそうだ。そういった伝統も残していきたいとのこと。

「天浮橋」「黄泉醜女」「大室屋土蜘蛛退治」は初見の演目。神楽鑑賞歴そのものは長くないので未見の演目だと「やった、ラッキー」という気分になる。

これまでは神楽を鑑賞した当日中に写真をピックアップしてSNSに掲示したりしていたのだけど、今回は疲労感が強く、さすがに後日に回した。実年齢より10歳くらい老化しているかもしれない。

今回、「お話がよく分からない」という声を聞いた。基本、黙劇なので日本神話の知識があることが前提になっている。僕も「稲荷山」を見たときはストーリーが把握できなかった。まあ「自分に合った古事記の本を読んだらいいですよ」と言う他ないのではあるが。

多分、僕は「神楽の写真を撮っている人」と認識されているだろう。実際カメラは好きなのだけど、撮影していると肉眼で見なくなってしまう。言うほどちゃんと見ていないのが実態なのである。一眼レフだとレンズを通した素通しの光なのでまだいいのだけど、ミラーレスだとセンサーを通した映像を見ている形となる。とはいえ、写真に撮っておかないと記憶はすぐに薄れてしまう(※決定的な場面は撮りたいという欲もある)ということで中々に悩ましい問題だったりするのである。

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2024年6月 8日 (土)

橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 一日目

土日が横浜市保土ヶ谷区天王町の橘樹神社の例大祭で、加藤社中の奉納神楽を見学に行く。途中、横浜駅のホームを撮影しようと思って寄り道する。電子書籍の表紙に使えないかと思って。神社に到着したのは11時20分過ぎで最初の演目は終わっていた。「面を新調したのに」と家元に言われる。

合間に南京玉すだれや忍者ショーが催された。ただのすだれにしか見えないのに、あんなに変化するのが面白い。忍者ショーは園児くらいの年齢の子が男女問わず参加していた。

今日の演目は「神逐蓑笠(かみやらいみのかさ)」という演目で、天照大神に保食神(うけもちのかみ)から五穀の種を受け取ってくるよう命じられたスサノオ命だったが、保食神の差しだした種が臭いと怒りだし、保食神を斬ってしまう。保食神はスサノオ命の暴虐を天照大神に訴える(※なので死んでいない)。天照大神とスサノオ命は互いに武器を向け合う一触即発の事態となる。正気を取り戻したかに見えるスサノオ命だが、姉には敵わず、蓑笠を着せられて追放されてしまう……という筋立て。

神逐蓑笠:翁面の保食神
神逐蓑笠:保食神を斬るスサノオ命
神逐蓑笠:天照大神にスサノオ命の暴虐を訴える保食神
神逐蓑笠:天照大神と対峙するスサノオ命

スサノオ命と保食神との組み合わせなので、記紀神話とは微妙に異なったストーリーとなっている。違っていた方が解釈の余地が広がって面白かったりもする。他所の社中がビデオ撮影して自身の演目として取り入れることもあるのだとか。今回は「言いたての場」から見ることができた。

なお、「勘当の場」の前に大黒舞を挟んで飴を撒いていた。

最後の演目は「八雲神詠」。ヤマタノオロチ退治である。関東の神代神楽では蛇胴は用いず、ヒトの衣装を来たオロチが登場する。そういう観点からすると、蛇胴開発以前の上演形態が残されている貴重な演目と言える。

八雲神詠:ヤマタノオロチ
八雲神詠:眠るオロチとスサノオ命、背後に奇稲田姫
八雲神詠:スサノオ命とオロチとの大立ち回り
八雲神詠:倒したオロチから天村雲剣を取り出すスサノオ命

天王町→牛頭天王→蘇民将来→スサノオ命という流れで、橘樹神社のご祭神がスサノオ命なのだそうだ。それで今日はスサノオ命にちなんだ演目となったようだ。

上演の合間には楽屋に呼んで頂いて、ビールをご馳走してもらったりした。「土蜘蛛」をやるとのことだったので、謡曲の胡蝶さんが頼光さんを毒殺しようとするお話ですか? と訊いたところ、神武天皇の土蜘蛛とのことだった。家元によると、関東では「紅葉狩」など一部の例外を除いて古事記に載っていないお話はやらないとのこと。それで五郎王子もやらないのかと得心がいく。

おそらく、記紀神話以外をやらないというのは明治期の神楽改正の影響の名残ではないかという気がするが、それはそれとして現在までそういう見識で臨んでいるということである。

保食神の面は厳めしい翁面だったので質問してみる。関東では男ですとのこと。前回見たときは媼の面だったと記憶しているが。

家元はサンカ(山の漂泊民)にご興味がおありとのこと。裏日本史とでもいうか、敗者の側からの歴史も研究してみたいそうだ。『童の神』という小説を紹介していただく。とりあえず電子書籍版をAmazonで購入。積読がたまりにたまっているのでいつ消化できるかという状況だが、いつでも読めるようスタンバイ。

サンカについては語れることがないので、出雲の四隅突出型墳丘墓の話をする。大国主命のモデルとなったと思われる古代出雲の首長たちの墓が現存しているという話である。出雲神話には実体がないと考えられていた時期が長いそうで、そういう意味ではよく残っていたなという感じである(※隣の敷地は商業高校の校庭である)。

家元のご母堂と挨拶する。僕と同年齢くらいの女性と思ったので意外だった。非常に若く見える。

広島出身の人は他にもいた。浜田にはよく海水浴に行っていたそうだ。

天気は晴れ。気温はそこまで高くなかったが、日差しは強く。座っていると、ズボンの布が熱くなった。夕暮れを過ぎると気温は下がった。6月初旬だとまだ肌寒いときもある。帰宅して風呂に入ると、見事に日焼けしていた。

座って見ていただけなのだが、かなり疲労した。体力が落ちている。

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2024年4月30日 (火)

民俗芸能大会のはしり

NHK FMで「民謡をたずねて」を聴く。毎年神宮外苑の日本青年館で行われる全国民俗芸能大会特集。大正14年に始まり今年で71回になる。フォークロリズムのはしりである。舞台での芸能の上演を民俗学者は軽視するのだけど、照明で衣装のきらびやかさが映えるという効果もある。

なお、この大会の後で地方での民俗芸能大会が盛んに催されるようになったとのこと。

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2024年4月23日 (火)

「民謡をたずねて」を聴く

NHK FMで「民謡をたずねて Mixed by DJ俚謡山脈 ゲスト:齊藤修平」を聴く。俚謡山脈(佐藤雄彦、斉藤匠)の二人が全国の民謡を紹介する番組。今回のゲストは民俗学者の齊藤修平先生。斎藤先生と俚謡山脈のお二人とは過去に仕事をご一緒にされた経験があってその伝手とのことらしい。

番組ではまず埼玉県の盆踊り歌や民謡が流される。30枚ほどのLPレコード、CDとしてパッケージ化、アーカイブ化されているとのこと。関東地方は人口が多いので様々な民俗が残されている。それらが良い状態で録音されている。音質がいいのでスタジオ録音かと思いきや一発録りだという。ミキサーはクラシック音楽畑の人だったとのこと。千葉県の民謡も紹介される。

ラジオ番組なので固有名詞にどういう漢字を当てるかは分からなかった。

また、斎藤先生が現在フィールドワークを行っている新島の民謡も流される。初めて新島を訪れたのは25歳だったがそのときは島言葉が分からなかったとのこと。現在でも80代、90代の世代の人たちには島言葉が残されているため、そういった人たちとの会話を録音して残しているとのこと。

90代の人というと相当高齢だが、戦中は小学生くらいの年齢だった世代である。

先日、斎藤先生とお話する機会があったのだが、現在では録音するだけでなくビデオに録画して完全な形で後世に残せるようにしているとのこと。録画されていれば万が一失伝しても復活は可能だ。

他、齊藤先生がストーンズがお好きなことが分かる。ポール・マッカートニーの東京ドーム公演の話をされていたのは聞いたことがある。ロックのレジェンドたちと同世代なのである。

斎藤先生には長年のフィールドワークで培った膨大なノウハウがあるはずなのだが、それらを文章化されることにはあまりご興味がないようだ。むしろフィールドワークした結果を冊子として印刷、インフォーマントの方たちに配って喜んでもらうのを悦びとしているように見える。

実際の収録は3時間ほどかかったとのこと。それが25分に編集された訳だが、どう編集されたかはご本人も知らされていないとのこと。

今回の内容は4月30日午前11時25分まで一週間NHKらじるらじるで聴き逃し配信されている。

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2024年3月31日 (日)

下北沢を偵察

午前中、南浦和の会合に出席、その帰りに下北沢に寄ってみる。下北沢は学生のとき以来。あのときは広島風お好み焼きを食べたのだったか。駅から出て商店街を適当に歩いてみたが小劇場が集まっている一画らしきものは見つからなかった。本多劇場は分かったが。覗いてみようとしたら次の公演を待っているらしき人たちが並んでいて係員の人も傍で待機していたのでチケット売り場を覗いてみようとはできなかった。日曜の昼にも公演していることは分かった。駅前劇場も同様。交番で訊いてみればよかったか。駅前にも案内所はあったのだが。日曜の都内は横浜市内よりも混雑していた。

下北沢・本多劇場
下北沢・商店街

帰ってネットで検索する。駅前劇場なら当日券もあって価格もそこまで高くない。平日は夜7時、日曜は昼14時の上演開始となるようだ。

パナソニックTX1で撮影。

<追記>
島村抱月は旧那賀郡の出身で、小山内薫は県外の人だが森鴎外と関係があったので近代演劇に貢献した人たちには石見人の関与があったと言えなくもない

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2024年3月17日 (日)

江戸里神楽を観る会を鑑賞 2024.03

新馬場の六行会ホールにて間宮社中の第二十一回江戸里神楽を観る会を鑑賞。六行会ホールで鑑賞するのは数年ぶりとなる。
「高天原神集評定(たかまがはらかみつどいひょうじょう)の場」
品川太太神楽「翁の舞」
「兄弟探湯(けいていたんとう)」
の三演目が上演された。

「高天原神集評定の場」は出雲に国譲りさせようとなって誰を使者に選ぶかくじ引きで選ぶという内容。高木神が天菩比命(天穂日命)、天若日子命、経津主神、建御雷之男神を集め(従者のもどきもいる)、もどきが四神に矢と思われるものを配り、それがくじとなって天菩比命が第一の使者として選ばれる。

高天原神集評定の場・五神そろい踏み
高天原神集評定の場・天若日子

この演目は続く「天菩比之上使」「天之返矢」「幽顕分界」の国譲り三部作の序段となる演目。通常の上演時は天菩比命のみの登場となるが、今回の上演では四神とも登場しくじ引きで選ぶ展開としているとのこと。「幽顕分界」は未見である。

品川太太神楽「翁の舞」は神前舞。神に向けて舞うので観客席からは後ろ向きで鑑賞することになると説明された。社伝によると元亀年間(1570~73)の発祥と伝えられているとのことだが、都心に古い神楽があまり変化せず残されていることが驚きである。

品川神社太々神楽・翁の舞

「兄弟探湯」は武内宿禰(たけのうちすくね)が異母弟の甘美内宿禰(うましのうちのすくね)から謀反の企てがあると讒訴されてしまう。それで応神天皇は盟神探湯(くがたち)という占いで真偽を決することにする。熱湯に手を入れ、火傷をしなかった方が正しいとするものである。武内宿禰は邪心がないので素直に熱湯に手を入れ何事もない。一方、甘美内宿禰は躊躇した挙句、剣を抜いて武内宿禰を襲うが反撃され、武内宿禰と随臣に取り押さえられてしまう。そして強制的に熱湯に手を突っ込まれ火傷をしてしまう。武内宿禰の潔白が証明された……という内容である。

兄弟探湯・もどき
兄弟探湯・武内宿禰が熱湯に手を入れる
兄弟探湯・武内宿禰と随臣に押さえつけられ熱湯に手を入れさせられる甘美内宿禰

こう書くとシリアスな展開に思えるが、実際には従者役のもどきの滑稽な演技もあったりで楽しい演目となっている。「兄弟探湯」は第七回で上演されたもののリメイクとのことである。

「兄弟探湯」においても剣劇はあるのだが、それで決着をつけるのではなく、あくまで盟神探湯(くがたち)で決着をつけるのである。そういう作劇の妙が感じられる。石見神楽や芸北神楽の神楽人たちに比較対象として見てもらいたい演目である。

ステージ上での上演なので民俗学者はフォークロリズムと呼んで軽視する。だが、ステージならではのメリットもある。照明できらびやかな衣装が映えるのである。神楽殿だと日中は自然光になるからそこまで映えないのである。

横浜駅で京急に乗り換える。新馬場駅が品川駅の先と勘違いしてしまい、品川駅で降りてしまう。そのまま日比谷線に乗り換えてしまい、途中で気づき引き返す。京急蒲田駅まで引き返す。各駅停車に乗るが、新馬場駅に着いたのは12時半頃になってしまった。それでもホールでは左端だが前の席に座ることはできた。

新馬場・六行会ホール
六行会ホール入口
上演終了後のホール

受付で住所氏名を書く。写真撮影はOKとのこと。フラッシュは禁止。客席は8~9割は埋まっていた。マスクは着用を推奨というスタンス。無料の催しなのだが、本来は3000円~4000円くらいの鑑賞料が必要な内容。

観客層については観察していない。若い人は見かけたが、多くは老人層だろう。子連れの若いカップルが来場するという姿はない。黙劇ということもあって観客に日本神話の知識を要求する。戦前の人なら普通に知っていた話も今の若い人たちが知っているとは限らない時代である。

パナソニックGX7mk2+35-100mmF2.8で撮影。望遠端でもF2.8なので失敗写真はあまりなかった。それでもExif情報を確認するとシャッタースピードは1/30秒ほどである。1/20秒になると手振れしていた。

35-100mmF2.8は360gと小型軽量なのが特徴。フォーサーズは高感度には強くないのでこういった明るいレンズでカバーする必要がある。ある意味マイクロフォーサーズらしい望遠ズームレンズである。舞台撮影にはぴったり。

最後にバッテリーが切れたのでパナソニックTX1ででも撮影してみたが、望遠にすると見事に手振れしていた。F値は5.1くらいまで上がってしまう。ISO800~1600まで上げてシャッタースピードは1/80秒くらいを確保しているのだが、手ぶれ補正能力に差があるのか手振れしてしまっている。

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2024年2月 5日 (月)

江戸里神楽を観る会が復活する

江戸里神楽を観る会の案内が届いていた。数年ぶりに復活するとのことである。

第21回江戸里神楽を観る会

3月17日(日)12:00開場 13:00開演
六行会ホール(京浜急行・新馬場駅下車、品川区立品川図書館の地下)

第一座:高天原神集・評定の場
特別公演 品川神社太太神楽
第二座:兄弟探湯

入場無料・全席自由席

……コロナは五類になっただけで感染が収束した訳ではない。オープンエアのときはマスクを外しているが、まだまだマスクは手放せない。

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2024年1月14日 (日)

どんど焼きに参加 2024.01

近所の公園で催されたどんど焼きに今年も参加する。渋沢村時代から今まで続いているとのこと。甘酒を頂く。風下にいるので煙たかった。餅を食べ終わった後で竹串を焼いてしまう人が多かったが、あれを持って帰ると魔除けになるのだが。

横浜市都筑区・どんど焼き
焼けて崩れたどんど
炎
熾火で餅を焼く

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2024年1月 2日 (火)

橘樹神社で新春神楽を鑑賞 二日目

横浜市天王町の橘神社に行く。加藤社中の新春神楽二日目を鑑賞する。元日比べて今日は境内は割と空いていた。

11時前に入って今日は時間通り来られたと思ったら、巫女舞を見逃した。

境内で獅子舞が舞われる。頭を噛んでもらう。
橘樹神社・獅子舞

「底筒式三番」が上演される。黒尉が登場し、扇二枚による華麗な舞を披露する。それから三番叟と芸者さんが登場し新年を寿ぐ。神楽は仮面劇なので肖像権的には特に問題ないはずだが、芸者さんは肖像権に引っかかるかもしれないのでほとんど撮影しなかった。目に焼きつけるだけとする。
「底筒式三番」黒尉
「底筒式三番」三番叟

それから昼の休憩となる。食事に行けばよかったのだが、商店街は今日も閉まっているかなと思っていかなかった。天王町には家系ラーメンの店があって、家系ラーメンも次郎系ラーメンも食べたことがないので一度行ってみたいと思っていたのだが、帰り際に確認したところ、今日は開いてなかった。駅前の松屋は開いていた。

空いた時間で拝殿の軒下に座り電子書籍を読む。小雨がポツポツとする天気だったのだが、昼頃から降り始めた。折畳み傘は携行しているのだけど、軒下で雨宿りする。

読書自体は進んだのだが、寒さはいかんともし難かった。昨日は日の差す場所だと暖かったのだが、今日は風こそないものの冷えた。気づいた家元が楽屋に入れてくださった。楽屋の中に入るのは初めて。ストーブに当たる。トイレにも行けた。

ちなみに芸者さんの写真を撮ってもよいか確認すると「いいですよ」とのこと。ただ、ブログやSNSにはアップロードしないでおく。

午後からは「三崎遊漁」が上演された。「敬国愛国」以前はこの演目が上演されていたとのこと。恵比寿さまが登場し、鯛を釣る。それからモドキが釣りをして様々なものを釣った後、芸者さんが演じる凧が釣れる。本来は両面(※両面舞)が釣れるのだそうだが、正月にちなんだのだろう。凧が床に膝をついて背をのけ反らせる所作が魅力的に感じる。
「三崎遊漁」恵比寿さま
「三崎遊漁」もどき
「三崎遊漁」凧

この後、再び楽屋に入れてもらう。

最後の演目はたぬき。漢字で表記するのかしないのかは分からない。芸者さんの芸だろう。家元の奥様扮する登場人物が狸退治をするという内容。タヌキは化かす動物だが、そこから「化ける」となって縁起のいい出し物となっている。

ライブパフォーマンスは見終わった後に見に来て良かったとなるのがいい。

<追記>

「底筒式三番」の黒尉の二枚扇舞は「神楽×芸者」と今回の神楽殿でのものと二度見たが印象が違った。港北公会堂の舞台だと照明で衣装や扇が映えるというメリットはある。神楽殿だと蛍光灯だけなので、素の状態で見ているのに近い。

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