グラントワに行く。美術館ではコレクション展「雲谷派」と「アールデコ博覧会100年」を鑑賞する。雲谷派は雪舟の系譜に連なる日本画。アールデコはおよそ100年の歴史を有するが、画風的にイラストや漫画のルーツとも言えるのだろうか。それは知らない。
ドレスが二着展示されていて、片方は派手なもので、もう片方はシンプルな現代でも通用しそうなものだった。派手な方はきんきらきんなのだけど、あれは金糸で刺繍しているのだと知る。

その後、小ホールで開催された「第3回 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏講演会」を聴講する。演題は「新たな地方活性化の核となる萩・石見空港の必要性とは」。
まず吉賀町長の挨拶から始まる。講演会は空港開港30周年を記念して始まったもので、鳥海氏とは事務局のスガ氏との繋がりで招聘したとのこと。山陰道全通後の話は前回あったらしい。
萩石見空港は現在羽田便が一日二便就航しているが、二便目の発着枠について政策上競合している空港があり、今年度149000人の目標必達とのことだが、達成は厳しい状況にあるらしい。ちなみに、夏は伊丹便も就航しているとのこと。
それから鳥海氏が登壇する。帝京大学の非常勤講師を務めており、今日もリモートで講義をしてから来場したとのこと。
今年は万博で多忙だったとのこと。大阪万博は前売り券が不調だったものの、開幕後にSNS、メディア双方が機能しチケットが売れ始めたとのこと。ただ、日本人比率が94%で、外国人比率は当初15%を見込んでいたのが下回ってしまったらしい。
逆に沖縄のジャングリアはリピーターが生まれず厳しい状況にあるとのこと。
現在は(価値観が多様化し)興味がある人とない人との温度差がある。趣味じゃないものにはお金をかけない。「払う価値があるか?」と(厳しい目で見られている)とのこと。
インバウンド(訪日外国人客)は2024年、3687万人。アウトバウンド(出国する日本人客)は1300万人の水準だったとのこと。日本は桜・紅葉・雪といった季節に応じた強みがある。一方、日本人のパスポート保有率は17.5%ほど。韓国が40%、米国が50%といった水準に比べて低い。今は東アジアならLCCで安く行ける時代でもある。インバウンドの消費単価は2024年が22万7242円だが、ドル換算だと以前と変わらないと指摘。平均泊数は6.9日。大都市中心の滞在スタイルとなっており、特に三大都市圏に集中する傾向にある。72%もの水準。大都市から地方へ日帰りするスタイルとなっているらしい。クルーズ船で周遊する外国人観光客も多い。近場だと境港に寄港しているとのこと(※浜田港に寄港する船もあり)。地方空港のアジア路線が苦戦しているとのこと。インバウンド消費額は2024年、8兆円。円安も追い風で中国人観光客の減少は欧米他でカバーできそうとのこと。12月以降、首都圏のホテルの価格は下がる見通しで旅行のチャンスとのこと。
益田については宿、飲食店などでルーティンができたとのこと。萩石見空港はコンパクトで市街地に近く、また駐車場やレンタカーもすぐで疲れない空港なのがメリットとのこと。
「自分の町に空港があることを誇りに思って欲しい」とのこと。羽田便があるだけで空港としての価値が向上、飛行機での旅先を選ぶ上で候補となる。
「旅は究極の非日常」。2025年は第二次トランプ政権の関税政策で混乱したが夏以降の株高が追い風となった。含み益がマイナスになると旅行に出かけにくい心理が働くとのことで、国内旅行も好調とのことだった。
最重要課題は「いかにリピーターを取り込むか」。沢山の魅力的なコンテンツが必要とのこと。ここで言うコンテンツとは宿そのものや食事(グルメ)も含めている。
年1~3回訪れたい場所になることが望ましい。「地元のものが食べたい」、これもコンテンツであるとのこと。ファンになるお店はリピーターに繋がる。益田は一軒一軒は美味しいけれど、ベンチマーク的なライバル関係にある競合相手が不在との指摘があった。例として函館の朝食ホテル戦争が挙げられる。食によるリピーターの強化が必要とのこと。「美味しければ遠くても行く。近ければ尚いい」。
たとえば青森の大間はマグロの水揚げ港だが、青森市からは三時間ほどかかり、函館から船で行った方が早い。「つゆやきそば」なるものもあるとのこと。益田で食べられるものは? 「何々があるから益田へ行こう」といった誘い文句が有効。
外国人観光客はGoogleマップのお店情報を参照して行動しているとのこと。
とんがったものが観光客誘致には必要で、突出したものがあればもっと面白くなる。宿・グルメ目的で旅行する流れが出来上がっている。益田はその点で決定打が見いだせていない。情報化時代に埋もれてしまっている。発信・PRは重要。
例えば、益田市は柴犬の発祥地であり、最近では柴犬が空港でお出迎えする日もあるが、それらもコンテンツとなるとのこと。ストーリー性が必要で「小さいストーリーを大きくしていけばいい」。たとえば金土日で石見神楽が上演できれば……といったことが挙げられた。
地方の課題として、富裕層向けの高級ホテル・旅館が少ないことが挙げられた。宿からスタートして地域を訪れたい観光客を取り込みたい。3~5万円クラスの宿があればとのこと。5万円はちょっと頑張れば払えなくもない金額。
オーバーツーリズムの問題、これは益田もそうなればいいね、くらいで流される。
二次交通、つまり空港や駅からのアクセスが重要で、運転できる人とできない人の二つの戦略を持つ必要性があるとのこと。地域クーポンの仕組みはコロナで整った(GoToトラベル)ので、それで地域経済を回していけばいい。
ANAは11月末までの予約でマイルキャンペーンを実施中。3900マイルとお得とのこと。島根県の空港はレンタカーキャンペーンで24時間1000円とお得。ただ、これには一週間前の予約が必要で県内で宿泊する必要があり、日帰りでは使えない。また、マイルだと使えない。佐賀空港の取り組みが先行している。宿泊証明などの手間があり、ストレスフリーが理想。
「萩までどう行ったらいいのだろう?」、リムジンタクシーは観光客にはハードルが高い。益田~萩石見空港~萩エリアまでのバスを一日二往復出すべきではないか? 益田をこのエリアの拠点にできないか。また、往復にこだわらず周辺空港との連携が必要である。レンタカーの乗り捨て料、自治体の補助が出るケースもある。
カーシェアは萩石見空港にしかない。市内にない。安く上がるので今後は宿泊地にカーシェアを導入すべきだ。沖縄・北海道では車を所有していないリゾートバイトに提供され便宜を図っているとのこと。
ワーケーション(ワーク+バケーション)での活性化も挙げられた。オンライン会議でビジネス出張が減少した。地域での滞在日数が増える可能性あり。観光地こそワーケーション、コワーキングスペースの整備を。たとえばグラントワで高校生が勉強していた。
双方向での利用が望ましく、地元の人もしっかり利用すべき。タイムセール、マイレージ減額キャンペーンがあるときには積極的に旅行を。現在はほぼ毎月セールがあるとのこと。
ネット時代でも旅行はリアルでないと成立しない。どんな時代でも強いコンテンツ。世界平和、健康も大事……と締めくくられた。
最後に質疑応答が。60~70か国訪問しているとのこと。キューバなどはまだ行けてないとのこと。商工会議所の人からは東京線の利活用のツアープランコンテストへの応募を勧められていた。
……アナリストらしく精力的に各地を回っている方だった。僕自身は広島駅まで高速バスで出ることがほとんどで、萩石見空港は20年以上前に一度利用したきり。
航空便も早割やマイレージを活用すれば割安になるけれど、頻繁に利用していることが前提となるか。
……そもそも首都圏から萩に向かう客が萩石見空港を選ぶのだろうか。山口宇部空港を選ぶのではなかろうか。新山口駅まで出れば萩行きのバスがあり、およそ70分ほどで到着とのこと。小郡萩道路が完成すれば更に短縮されるだろう。もちろん、益田を起点に萩方面、津和野方面、浜田方面へと日帰りも可能であるが。ちなみに吉賀町長の挨拶の後で山口県北部の自治体からの祝辞も読み上げられた。
神楽に関してはこれまで合わせ技でアピールしてきたと指摘できるか。「温泉+石見神楽」「アクアス+石見神楽」「神社+石見神楽」。
https://www.youtube.com/watch?v=9yuCFDdES88&t=5s
鳥ちゃんねる:週末1泊2日の旅行におすすめ! 疲れない国内空港ランキング【なんでもランキング】
……山陰道、島根県区間は福光浅利道路の進捗率が40%ほどらしいので、開通時期ははっきりしないが2030年くらいか。そこで鳥取~島根まではほぼ自動車専用道路で繋がることになる。が、山陰道の山口県区間の進捗率がはかばかしくない。一つの事業区間で約10年かかるとして、全通するとしたら2050年くらいまでかかるかもしれない。
また、JR山陰本線、益田以西の輸送密度は低く山口線以下である。幹線とは名ばかりで実質的にローカル線と化している。
……浜田市内だと、旧家を改装したコワーキングスペースがあるようだ。海が見えるコワーキングスペースがあればいいのかなと考えたりしたが、食事をどうするかという問題が発生するか。
実はとある商社の中に入ったことがある。神宮の森が近く見晴らしがとてもよかった。そういう見晴らしのいい、高層階にコワーキングスペースを置くという手もあるかもしれない。
