テキストを読み込む――高橋哲哉「デリダ 脱構築と正義」
高橋哲哉「デリダ 脱構築と正義」を読む。脱構築とは、二項対立的な思考の枠組みに疑義を差し挟む読み方というところだろうか。本書では脱構築はアナーキズムやニヒリズムではないことが強調される。原典に当たったことがないのでアレだが、こういったテキストの読み込みは自分にはできない。
| 固定リンク
高橋哲哉「デリダ 脱構築と正義」を読む。脱構築とは、二項対立的な思考の枠組みに疑義を差し挟む読み方というところだろうか。本書では脱構築はアナーキズムやニヒリズムではないことが強調される。原典に当たったことがないのでアレだが、こういったテキストの読み込みは自分にはできない。
| 固定リンク
坂本尚志『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』を読む。バカロレアはフランスの高校卒業資格認定試験とすればよいか。そのバカロレアでの哲学試験に焦点を当てた本。実際に問題を見ると、これはとても手が出ないと感じる。平均点は20点満点中7点ほどなので、フランス人であっても難しい試験となっている。模範解答が示されているが、少なくとも自分にとっては、たったの一年でマスターすることは非常に困難に思われる。思うに、高得点をマークできるのはIQの高い層だろう。よくないと感じたのは、出典からの引用。哲学者の名前だけでなくどの書物の第何章かまで暗記しなければならない。参考書に載っているそうだが、引用というものは書籍を手元に置きつつ引くものであって、それは違うんじゃないかと感じる。
高校時代、小論文を書かされることはあったが、その構成法について教えられることはなかった。なぜ教えなかったのだろうか。
| 固定リンク
東浩紀「忘却にあらがう 平成から令和へ」を読む。朝日新聞系の雑誌AERAに連載されたコラムをまとめたもの。抽象的な思考をよくする著者が時事問題にとり組んでいる。著者の政治的なスタンスがよく現れていると思う。非自民非共産でリベラルな中道。連載時期的にSNSの社会的影響力が示されている。当初は期待をもって受け止められたSNSだが、実際にはポピュリズムとの相性がよかったことが明らかとされる。最後は「平成という病」という論考で締め括られている。平成とは祭りの時代であり、残されたものは空虚であった。平成の三十年と共に歩んだ思想家・批評家としての徒労感が率直に告白されている。まあ、東氏が世界を変えられると思ったのは氏が知的エリートであるからであるが。
| 固定リンク
向井雅明「ラカン入門」を読む。ラカンは難解だと定評があり、本書でも晦渋であると記されている。その難解な理論だが、この本を読む限り、意外と読めるではないかという印象。もちろん、理解している訳ではないのだが、他の晦渋とされる学者の本を読んだときの全く受けつけない感覚はないのである。
| 固定リンク
櫻井歓「今を生きる思想 西田幾多郎 分断された世界を乗り越える」を読む。一人の哲学者を取り上げ、100ページ程度にまとめた新書。西田の生涯とその思想が簡潔にまとめられている。西洋のみならず東洋哲学をも取り込んだ哲学者としてその独自性が窺われる。「善の研究」くらいは読まねばと思うが、西田本人の文体は晦渋とあり読みこなす自信がない。
| 固定リンク
小松和彦「神隠しと日本人」を読む。人が行方不明になったとき、現代なら誘拐か家出か迷子かと考えるが、近代以前の人々は神隠しに遭うということで自他を納得させていた……というところだろうか。神隠しから帰還した場合、当人の口から異郷訪問譚が話されることがあるが、そのほとんどのイメージが貧困なのであるとのことである。読んでいて思ったが、天狗≒山伏ではないのだろうか。
僕自身、歳の離れた兄にからかわれて家を出たことがあった。国道9号線の陸橋の下まで行って、そこから先へは行けず、結局兄が見つけたという流れだった。
| 固定リンク
門林岳史・増田展大/編「クリティカル・ワード メディア論 理論と歴史から<いま>が学べる」を読む。マス・コミュニケーション論的な内容を期待して読んだが、メディアに関する幅広い裾野を取り上げた本だった。事典的ともいえるか。その分、概括的なのだが、そこは参考文献で補って欲しいというところだろうか。新しい本なので、近年に出版された本も参考文献として取り上げられている。
| 固定リンク
小松和彦「異界と日本人」を読む。小松氏の著作を読むのは久しぶり。日本の色々な説話を題材に異界の存在について考察する。僕自身、電子書籍をセルフ出版しているのだけど、以前よりは書けるようになっているのではと感じる。無論、レベルには差があるが。
小松氏の本は面白い。一般向けの本ばかり書いて専門書を書かないという批判はあるかもしれない。
| 固定リンク
国会図書館から電話が掛かってくる。献本した書物はページ数が異なると違う本と見なされるそうである。同じ本が二冊あると一冊は関西館に振り分けられるのだけど、異なる版と見なされてしまう。つまり、関西館に寄贈したければ、もう一冊送れとのことである。
| 固定リンク
大学病院に三泊四日で入院した。二日ほど24時間安静となった。そこで役だったのがKindleつまり、電子書籍端末であった。PaperWhiteとFire HD8の二台を持ちこんだのだけど、使用頻度が高かったのはPaperWhiteだった。普段はレスポンス重視でFireを使うことが多いのだけど、ベッドに仰向けになった状態で読書するにはタブレット端末のFireは重たかった。電子ペーパー式のPaperWhiteの方が軽くて持ちやすかったのである。
入院時、病床ではWi-Fiも使えず、起きている間は読書くらいしかやることがない。テレビは見なくなっているので借りなかった。起きている十数時間のほとんどを読書に充てるというのも中々に大変だった。普段は多分読んで一日三時間くらいだと思う。読んだ本は結果的に新規の本よりも過去に読んだ本を読み返す方が多かった。
入院中はWi-Fi環境がないので本を新たにダウンロードすることはできない。その点では事前に準備しておくことが必要である。
| 固定リンク