書籍・雑誌

2022年10月 1日 (土)

研究篇を読み終える

角川書店『日本昔話大成』第12巻 研究篇を読む。これには昔話研究に関する論文が収められている。通読して気づいたのだけど、歴史地理的手法についての解説ではモチーフ分析について触れられていなかった。こちらの思い違いか。昔話の形態論についての論考では現在僕が進めている手法が、まだ生というか発展途上のものであることに気づかされた。これ、どーしよう?

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2022年9月30日 (金)

創造性の神話――読書猿「『独学大全』公式副読本――『鈍器本』の使い方がこの1冊で全部わかる」

読書猿「『独学大全』公式副読本――『鈍器本』の使い方がこの1冊で全部わかる」を読む。



「何も知らないことが自由な発想を生み出す」という創造性の神話は、とうの昔に様々な観察や実験手続きを経て否定されている。



とある。もしかして、ゆとり教育はこの様な認識で実施されたのだろうか。空恐ろしくなる話である。

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2022年9月29日 (木)

真似は難しい――クロード・レヴィ=ストロース『神話論理Ⅰ 生のものと火を通したもの』

クロード・レヴィ=ストロース『神話論理Ⅰ 生のものと火を通したもの』を読む。500ページもある大著。記述自体は平易なので読めたが、神話の分析についてはよく分からなかった。橋爪大三郎氏が書いていて、正確な文言は忘れたが、この神話分析はレヴィ=ストロースの名人芸であって他人が真似するのは難しいというのに賛成である。

現在、昔話のモチーフ分析を行っており、その観点で何か参考になるのではないかと思って読んだもの。親族構造などが絡んでくるので、直接参考になる内容ではなかった。

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2022年9月25日 (日)

観光学必読の書――ジョン・アーリ/ヨーナス・ラースン「観光のまなざし」

ジョン・アーリ/ヨーナス・ラースン「観光のまなざし (増補改訂版)」を読む。初版は1990年に出されたそうで、増補改訂版が出版されたのは2011年とある。なので、Web2.0といった情報通信面での革命的進化についても触れられている。

本書の「まなざし」はフーコーの議論を援用したものとのこと。観光においては見る/見られる関係にある。観る価値があるものなのかの価値判断も伴う。

当ブログ的には第七章の写真論と第八章のパフォーマンス論が参考になるか。例えば島根県浜田市の三宮神社では神社の拝殿を舞台にして観光神楽を上演している。日常と観光との間の分化が溶融しているとも言える。

パッケージ・ツアーの発明とカメラの発明が共に1840年代だったというのも興味深い。

最終章の予測は化石燃料が枯渇して旅行が近代以前に戻ってしまうという最悪のシナリオを想定している。自分が生きている内にはそこまで行かないだろうけど、それ以降の世代だとそうなるかもしれない。

本書は観光学の理論書として必読の本と言えるだろう。

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2022年9月24日 (土)

予見性――オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」

オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」を読む。翻訳ものにしては訳がこなれていて読みやすかった。とはいえ簡単な内容ではなかった。実際に読んでみて感じるのは第一次大戦と第二次大戦との狭間にあって、ヨーロッパの将来をよく予見していることである。透徹した思考の持ち主だったのだろう。

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2022年9月17日 (土)

基本、フェミニズムの本――フェラン「アンマークド」

ペギー・フェラン「アンマークド」を読む。マウスオーバー辞書を引きながら字面を追っただけなので理解はしていない。ラカンの精神分析もしばしば引用されるので難解な本かもしれない。基本的にはフェミニズムの本である。第7章がパフォーマンスの存在論となっている。

Kindle for PCの表示だと208ページほどだったが実際には600ページ近くあったのではないか。

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2022年9月15日 (木)

既得権益は手放さない――マーコスキー『本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」』

ジェイソン・マーコスキー『本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」』を読む。著者はハード/ソフト双方に通じた人物で第一世代キンドルの開発に携わった人物。電子書籍と紙の本の将来について語られている。

例えば米国では本の編集段階で読者を介在させその意見を取り入れるといったことも行われているそうだ。日本だと小説投稿サイトで作者が読者のコメントを読みながら方向性を修正するといった形でみられる。で、いずれ原作者という考え方も消失していくのではないかと考察している。だが、原作者が著作権という既得権益を手放すとは思えない。

Amazonはレビュー欄をSNS化するつもりは無いようだ。確か発信者情報開示請求訴訟で多いのはAmazonレビューと聞いたことがある。

この本、金曜に発送されて水曜に届いた。長野―横浜間なのだが、どうして時間がかかったのか不可解。

キンドルに関する本なのに電子書籍版が出ていないのは不可解だ。

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2022年9月11日 (日)

何かを捨てる覚悟――佐々木敦『「批評」とは何か? 批評家養成ギブス』

佐々木敦『「批評」とは何か? 批評家養成ギブス』を読む。著者による批評家養成講座の模様を収録したもの。「ギブス」とあるのは「巨人の星」の大リーグボール養成ギブスからだろう。今の若い人には既に理解不能であろう。

批評家を志すためには膨大なインプットが必要であることが語られる。例えば著者は若い頃一年に六百本の映画を見ていたという。一日ニ作品くらいのペースで消化しないと達成できない数字であり、一日の内四時間ほどを割かなければならない。著者はこの他に音楽や文芸も鑑賞していたのであり、普通の勤め人には到底無理となる。何かを犠牲にしてでもという覚悟がなければ批評家にはなれないということだろう。

僕自身、批評家になりたいのではない。ああいった文体の文章は書けない。読書の対象として批評が視界に入ってきたというところである。

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2022年9月 5日 (月)

理論的支柱はフランクフルト学派――福田ますみ「ポリコレの正体」

福田ますみ『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』を読む。LBGTやBLMの理論的支柱はフランクフルト学派の文化マルクス主義だとのこと。冷戦が終わってもまだ終わってないのだ。敵に不寛容であれというテーゼに反論する術を見つけることだろうかか。

……ところで世界日報って某カルト系団体の関連企業では……

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2022年9月 2日 (金)

自分で絵を売り歩いている――林武「美に生きる」

林武「美に生きる」(講談社現代新書)を読む。前半、子供時代に家が貧しくて苦労したことが綴られている。父は国学者で出自自体は悪くない。現代だと一度コースを外れると復帰できないみたいな風潮だが、戦前は著者の様な経歴でも独り立ちしている。それは才能があったからではあるが。審美眼についてはわずかしか触れられていなかった。

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