書籍・雑誌

2024年10月15日 (火)

ようやく読了する――野口悠紀雄『ブロックチェーン革命』

野口悠紀雄『ブロックチェーン革命 分散自立型社会の出現』を読む。この本は読了まで時間がかかった。馴染みのないジャンルだったのと、断捨離で疲弊してしまったため、夏の間は読書が困難となっていた。

ブロックチェーンはP2P技術を用いた分散型電子台帳で改ざんが困難とされる(※改ざん自体は可能だが非常に手間がかかり割に合わないので改ざんしようとする者が出ないとされる)。また、仮想通貨、DAOなどについて語られる。引用される資料が2010年代のものなので、現在では更に技術が進歩してベネフィット/デメリットの解像度が上がっているのではないか。

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2024年10月 9日 (水)

創造も守破離――佐宗邦威『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』

佐宗邦威『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』を読む。創造も守破離のプロセスを踏むことが必要で、守の段階としてまずは模倣から入ることが説かれている。

著者は広告代理店の提示するCM案に対する審美眼を持ち合わせておらず苦労されたとのこと。出世していざ企画をたてる段になってある種の審美眼を積極的に培ってこなかったという課題に直面したことになる。

本書ではセンスという言葉で語られているが、審美眼をいかに培ってきたか、著者の成育歴がよく見えてこない。あとがきでわずかに触れられているが、中学受験して東大に入学したようなので、都市部出身で中高一貫校卒と想像される。

都市部の中高一貫校からと地方の公立校から進学したのでは同じ大学でも中身の成分がかなり違うだろう。もちろん人によって穴となる欠如があることは避けられないのだが、著者の場合、受験勉強や専門分野の学習で忙しかったのかも知れない。人間、割けるリソースには限界がある。

審美眼にも先天的なものと後天的なものとがあるという。後天的な審美眼を培っていく上で、幼少期から思春期に触れたものがどれくらい影響してくるのか興味深いところである。

その後、デザインを学んだり、ファッションに気を配ったり、旅をすることでリカバリーを図っているように見受けられる。実は意外と後天的にリカバリーできるのかもしれない。

文化資本という概念があって、むしろ都市部の富裕層の方が有利にみえるのだが、必ずしもハイカルチャーの摂取だけで決まるものでもないのだろう。

映像に対する審美眼であれば、それまでに例えば映画を何本くらい鑑賞したかがある程度目安となるかもしれない。また、ライブパフォーマンスを生でどれだけ鑑賞しているかも大きいはず。他、絵は描かずとも写真を撮る人は多い。どんなカメラ、レンズを所有しているかの情報も欲しかったところだ(※機材自慢になりかねないが)。

デフォルトモードネットワークに対置される用語はセントラルエグゼクティブネットワークだそうだ。

……久しぶりに本を読了することができた。だいぶ脳の疲労が抜けてきたようだ。書籍・雑誌カテゴリの記事は6月以来である。

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2024年6月24日 (月)

初心者向け公式マニュアル――樋口耕一、中村康則、周景龍『動かして学ぶ! はじめてのテキストマイニング フリー・ソフトウェアを用いた自由記述の計量テキスト分析』

樋口耕一、中村康則、周景龍『動かして学ぶ! はじめてのテキストマイニング フリー・ソフトウェアを用いた自由記述の計量テキスト分析』を読む。KH Corderの公式マニュアル。初心者向けに分かりやすく書かれていたので助かった。

気づいたのは無償版だと共起ネットワークと対応分析機能を使用する際にはコーディング・ルールを記述したファイルを読み込ませることが必須であること。このマニュアルの画面ではファイル指定する箇所が見当たらないので無償版と有償版とで若干仕様が異なるのかもしれない。

テキストマイニングを上手く実施するにはコーディング・ルールの設定が重要になってくるが、これといった解決法はない。抽出語リストをじっくり観察して設定する他なさそうである。

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2024年6月22日 (土)

浜田駅裏のジャストも閉店に

浜田駅裏のジャスト(ジュンテンドー系列)も閉店になるとの報が。僕自身、電子書籍にシフトしてから書店の前を通りかかってもスルーすることが増えた。困るのはネット通販を使えなさそうな中高生か。浜田では唯一の書店とは書いてなかったのでゆめタウン辺りにまだあるのかもしれないが。

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2024年6月 2日 (日)

概要を把握する――川上成年『テキストマイニングでできる特許データ分析入門 図で解説! KH CoderとJ-PlatPatで特許データを分析してみよう。』

川上成年『テキストマイニングでできる特許データ分析入門 図で解説! KH CoderとJ-PlatPatで特許データを分析してみよう。』をKindle Unlimitedで読む。これでKH Coderの大まかなイメージは掴めた。KH Coderでは対応分析と共起ネットワークがよく利用されるようだが、ある程度解像度を高めることができた。最後の応用編では共起ネットワーク図をベースにPower Pointなどのツールで描画した独自の概念図が提示される。僕はこういう概念図を作成するのが不得手なので、上手く取り入れられないか。

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2024年5月31日 (金)

文化資本の実践例――広島の文化的催しをしゃぶり尽くす

今頃になって「文化資本」という言葉があることを知る。本来は個人の学歴や教養を指すようだが、Xでは美術館や博物館といった文化的インフラというニュアンスで語られているようだ。

酒井小言「音楽、映画、美術、舞台、食事、文学、観光についての体験感想文集」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888469610

僕が知っている実践例として上記のエッセイがある。広島市在住の著者(※元は都民らしい)が主に広島市の文化について克明に綴ったもの。「広島は実はこんな文化的な街だったのか」と思うほど、広島市の文化的施設、催しをしゃぶり尽くしている。

かなり幅広い教養の持ち主で、執筆にはかなり手間がかかるはずだが、ほぼ毎日更新している驚異的な人。著者さんのバックボーンについては僕が読んだ範囲では文中で明らかにされていないので、どのようにして身につけたかは不明。

既に3000話近くある。ガラホで読んでいたのだけど、あるとき履歴が消えてどこまで読んだか分からなくなってしまった。幸い、システムには履歴が残っていたので再読は可能だが、もう追いつけないくらいに進んでいる。

……と書いていて、ふと第一話を読んでみたら、履歴が上書きされてしまった。本当にどこまで読んだか分からなくなってしまった。こういう失敗をときどきやらかす。

 

これだけのインプットとアウトプットを日々継続しているのだから、他に割ける時間は限られてくると思う。たとえば、気づいた限りではテレビドラマに関する記述はない。また、他の作品を読んだところ、純文学というか文芸志向が強くサブカル的なジャンルには興味がないようだ。

純文学に関しては大手出版社は小説投稿サイトから作品を発掘することをしていない。僕は純文学系のコンクールに投稿したことがないので実情はよく知らないが、今でも編集者の目利きによって作品を選んでいるはずである。

カクヨムのような小説投稿サイトは基本的には娯楽小説を投稿するためのサイトなのである。なぜ発表媒体として小説投稿サイトを選んだのかという問題もある。別にブログでもよかったはずなのである。

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2024年5月16日 (木)

シンギュラリティは既に来ている? 野口悠紀雄『生成AI革命 社会は根底から変わる』

野口悠紀雄『生成AI革命 社会は根底から変わる』を読む。ホワイトカラーとブルーカラーとを合わせた数字だが、生成AIによって平均して約25%の業務が代替されるとのこと。知的労働の方が影響が大きく技能労働に関しては影響度は低くなる。

まあ、紙の伝票がいきなり消える訳ではないので、今すぐ全ての事務処理がAIに代替されてしまうとまではならないだろう。

本書では考察の対象とされていないが、クリエイティブな職種でもイラストレーターが無断学習され被害に遭っていると話題になっている。創造性が発揮される分野でも安泰という訳でもないのだ。

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2024年5月14日 (火)

本紀だけでも読破したい

ちくま学芸文庫の史記、電子書籍版を買う。史記については司馬遼太郎の『項羽と劉邦』や横山光輝の漫画で全く知らないでもなかったのだが、これまで中々購入に踏み切れなかった。電子書籍だとかなりハードルが下がる。まあ、全巻読破できるとは思っていないのだが、第一巻の本紀だけでも読みたいとは思っている。

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2024年3月31日 (日)

理解できないのは書いてあることが間違っているからという可能性もある

「神楽と文芸(総論)」だと思うが、八藤後先生曰く分からないとのこと。専門が違うと書き手が当然のごとくに使用している用語が伝わらないということだと思う。だが、分からないにはもう一つの可能性があって、それは書いてあることが間違っているから分からないということもあり得る。

僕は高校生のときに強いストレスがかかったことがあり、それ以降、脳内のロジック回路に変調をきたしたと感じている。僕の書くものに癖があるのはそのためである。自分でも変だなと思うけど自分では直せないのだ。

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2024年3月29日 (金)

ようやく純文学に手を出す

村上春樹『ノルウェイの森』を買う。この期に及んでようやく純文学に手を出す。他、菊池良『芥川賞ぜんぶ読む』小谷野敦『芥川賞の偏差値』を買う。これらは通読するつもりはなくて単に受賞作のリストとして買ったもの。Amazonで「芥川賞」と検索してもまともにヒットしないから。

若い頃から芥川賞くらいは読んでおかねばとは思っていたのだが、読まないまま年を取ってしまった。とにかく知識が足りないと思っていたのでフィクションよりノンフィクションを優先していたから。それと、他人の不幸にまで興味はないというのも本音である。

小谷野敦『芥川賞の偏差値』、田辺聖子の項を読んだら評価が低かった。自分には理解できないと。僕自身、受賞作は読んでいないが、確か直木賞の話もあったとかで芥川賞的作品ではなかったのかもしれない。おせいさんの面白さは関西人特有のユーモアだと思う。短編だが「ジョゼと虎と魚たち」は実写およびアニメ映画化されそれぞれにファンがついている。

『ノルウェイの森』をちょっと読んでみるが、感傷的な描写には特に感情移入できない。やはり自分はフィクションには向いていないのかもしれない。

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