「ピアノ・レッスン」監督、アメコミ映画を批判「どこが魅力的なのか理解できない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/921a866021da2b13055406bab9a0620fb5ad38ac
スコセッシ監督、マーベル作品を再度批判「あれは映画ではない」「侵略されている」
https://eiga.com/news/20191015/18/?cid=news_20211207_6_1
映画監督の名匠がアメコミ映画を批判したというニュースを読む。僕も10年以上前に「スパイダーマン」や「デアデビル」といったアメコミ原作映画を見た。その頃からアメコミの映画化が盛んになり、今では映画館の常連と化している。トレイラー映像で見ないことはないくらいの勢いだ。
ところで「映画ではない」というこのアメコミ映画批判、石見系神楽の批判と似ていないだろうか。石見系神楽に関しては「ショーである」という批判がつきまとう。
石見神楽ショー化批判は文献では牛尾三千夫「神楽と神がかり」に見ることができる。他、岩田勝「神楽新考」のあとがきで、岩田は牛尾に同調している。文献で確認できるのは、これが代表といっていいだろうか。
アメコミ映画批判の場合は論争となっているらしい。
著名な映画監督たちが相次いでマーベル映画を批判してるけど、どうなのよ?
https://www.gizmodo.jp/2019/10/anti-marvel.html
石見系神楽批判に関しては論争が起こった形跡は見られない。当時の民俗学者たちは本質主義に立脚していて真正性(オーセンティシティ)重視だったので、反論する人がいなかったのだろう。二十一世紀に入って若手学者で八調子石見神楽や芸北神楽を研究の対象とする人が出てきたのであるが、明確に論じたものは少ない。
・川野祐一朗「民俗芸能を取り巻く視線―広島県の観光神楽をいかに理解すべきなのか」『森羅万象のささやき 民俗宗教研究の諸相』(鈴木正崇/編、風響社、2015)711―728頁。
・諏訪淳一郎「『石見神楽』―民俗芸能の現在進行形として―」『総合政策論叢』第三号(島根県立大学研究活動・総合政策学会/編、2002)pp.47-60
くらいか。川野論文は書籍に掲載されたものなので、国会図書館の遠隔複写サービスでコピーしてもらう際、著作権の関係で半分までしかコピーできない制約がある。
老いた人が新しいものを受け入れられなくなることはよくあることだし、評論家によって酷評された作品がその後大衆的な人気を得ることも珍しくない。
ここで宣伝。
神楽と文芸(総論)
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石見系神楽のショー化批判を考察した電子書籍です。