昔話の計量テキスト分析――サヒメ
◆はじめに
以下はKH Coder(無償版:version 3.Beta.08e)を用いた昔話の計量テキスト分析である。昔話の類話の比較にツールを利用できないか試行してみた。
手持ちの資料が限られるため、分析の対象となる元データの文字数が少ないものの(※本来であれば5000字以上は欲しい)、分析自体は正常に処理されていると判断した。
KH Coderの操作に慣れる目的も兼ねて行った作業で、コーディングルールの記述の事例集、あるいは速習用のチュートリアルとしてでも読んで頂ければ……といったところである。
なお、KH Coderでよく用いられるのは共起ネットワークと対応分析とのことで、それ以外はおまけパートと思って頂いて構わない。操作に習熟するにはコーディングルールの記述に慣れるのが第一である。
◆ファイル
各ファイルをダウンロードしてKH Coderに読み込ませれば同様の分析が再現可能である。
ダウンロード - ca_pb_047_sahime.xlsx
ダウンロード - ca_pb_047_codingrules.txt
ダウンロード - kh_coder_startingedition_sagyotejunsho.txt (※作業手順書)
※「H5」とはHTMLでいうところのヘッダー(見出し)・レベル5で本文に相当すると考えればよい。
※[コーディング単位]は「文/段落/H5」から選べるが、状況に応じて適切と思われるものを選択する必要がある。処理が上手くいかないと感じた場合、コーディング単位を切り替えると上手く処理されるケースがままある。
※公式マニュアルでは「集計単位」という用語が使われている。共起関係について、
・「文」では一文単位での分析
・「段落」では段落単位の分析
・「H5」では表計算ソフトのセル単位とされ、改行を含めた一セルの中身全体が分析単位となる
※レファレンスでも索引で「コーディング単位」の項目は設けられていない。操作性に関わる重要項目であるものの、その仕様について不明瞭な感はある。
※当ブログの場合、表計算ソフトのフォーマットで読み込ませているからH5固定でいいだろうと思い込んでいたら、さにあらずだった。
◆あらすじ
・「種姫」(未来社『石見の民話』)
昔、朝鮮のソシモリに大宜都比売命という五穀を司る神さまがいた。目や鼻、お尻などから色々な穀物を出して農作物を豊かにしていた。ある日この神さまのところへ訪れた旅の神が大宜都比売が身体のあちこちから色々な穀物を出すのをみて不思議に思い、身体の中には素晴らしい宝物が隠してあるのに違いないと思って斬り殺してしまった。大宜都比売が一番可愛がっていた末の子に乙子狭姫という可愛い姫がいた。身体が小さいのでちび姫と呼ばれていたが、息も絶え絶えになった大宜都比売は自分はとんだ災難にあって今死のうとしている。可愛いお前と別れてあの世へ行くのは悲しいが、自分の身体から出た作物の種を持って、海の向こうの東の国へ行って安らかに暮らせ。その国は平和な所だと聞いているからと言って目を閉じた。母神にとりすがって泣いていた狭姫は気がつくと、母神の頭から土地を耕す馬、目からは蚕、鼻からは大豆、腹からは稲、お尻から小豆、女陰からは麦が生まれていた。姫がぼんやりと見ていると、大切に飼っていた赤い雁が飛んできた。雁は母神さまの言われた東の国へ今すぐ参りましょうと言って羽を広げた。狭姫は母神の身体から生まれた物を持って雁の背に乗った。こうして狭姫を乗せた雁は青い海の上を日本へ向かって飛び続けた。やがて遙かに石見の海岸が見えてきた。赤雁は波にもまれる島を見つけて舞い降りた。すると地の下から自分の背中に降りたのは誰だと咎めた。びっくりした赤雁は自分はソシモリから狭姫のお供をして五穀の種を日本の土に植えようと思ってやって来た者だと言った。するとその声は、ここは国つ神、大山祇足長土に仕える鷹の住む島だ。自分は肉は食べるが五穀に用はない。早く立ち去れと言った。赤雁は空に舞い上がって、どこか休む所はないかと海原を見渡すと、また一つの島が見つかった。そこへ降りると、また自分の背におりた奴は誰だと叱られた。訳を言うと、ここは国つ神大山祇の大人のみ使いの鷲の住処だ。自分は肉食だから五穀には用なない。早く立ち去れと言った。赤雁は仕方がないのでまた大空に舞い上がり、益田市大浜の亀島に辿りついてしばらく休み、ここから本土の形のよい丘を選んで舞い降りた。この丘が天道山で、丘から降りたところを後に赤雁と言うようになった。狭姫はそれから更に住みよい土地を探し、そこに住居を定めた。ここを狭姫の名をとって狭姫山と名づけた。比礼振山と呼ばれているのがこれで、益田市北仙道にあり、佐比売山神社が祀られている。狭姫は山を下りて母神から貰った稲や麦、豆などの種を播いた。種はやがて豊かに実って一族は栄えた。赤雁が始めに降りた島は益田市の高島で、次に降りたのは那賀郡須津の大島だという。
・「ちび姫さん」(日本標準『島根の伝説』)
神さまがこの世を治めていたと言われる頃のこと。広い海の上を一羽の雁が東の方へゆっくり飛んでいた。羽の一部に赤い色が混じっているのか光の具合で体全体が赤い色に見えることがある。と、その背に小さな女の子がしっかりとしがみついている。腰の辺りには小さな袋を結びつけている。雁は一つの島を目指して大きく羽ばたいて飛んでいる。この小さな女の子は乙子狭姫という名である。母は大宜都比売命といい、姫はその末っ子であった。母の命はもともと五穀(米・麦・黍・粟・豆の五つの作物のこと)を育てる神さまだった。この母神さまは不思議な力を持っていて、体のどこかを撫でると作物の種が自由に出る。このことを知った曽茂利(今の朝鮮)に住んでいる気の荒い神が「大宜都比売の体は一体どんな仕組みになっているのか。ひとつ体の中を調べてみよう」とある日のこと、命を呼び寄せその体を無残にも斬り裂いた。ところが別段変わったこともなく命は哀れな最期を遂げた。命は自分がいつかこのようなことになると知っていたのか、ある日乙子狭姫を呼び、「私に万一のことがあったら、お前は遠い東の国に行くのだよ。そのときには、この袋を必ず持っておいき。この中に色々な作物の種がある。この種を東の国の人に分け与えるがよい。種は千年も万年も生き続けていくだろう。東の国は美しい静かな国だから、そこでお前は暮らすのだよ」と言った矢先の災難であった。乙子狭姫は母神にとりすがって泣いた。が、いつまでも悲しんでばかりおれなかった。母神が言ったように袋を持って海の上を東へ東へと飛んでいるのである。姫が乗っている赤い雁は姫が子供のときから可愛がって育てた鳥である。だから、雁は姫の言葉をよく聞き分け、姫もまた雁の顔を見るとその気持ちが分かった。長い間飛び続けた雁はやがて一つの島に舞い降りた。すると、そのとき我が背に降り立った者は何者だと荒々しい声が地の底から聞こえてきた。私は大宜都比売の子の乙子狭姫です。五穀の種を遥か西の国から持ってきたのですと姫は答えた。声は笑って、五穀の種か。ここは大山祇と足長土族の使いの鷹が住む島である。我らは肉食こそするが五穀などはいらぬ。早々に立ち去れと命じた。姫と雁は仕方なく飛び上がった。この島は今の益田市鎌手町の沖にある高島である。だから、この島では今でも畑の作物はほとんどできない。鷹の勢いに驚いて飛び立った雁は遥か彼方の島めがけて舞い降りた。ところがまた、我が背で休む者は誰かと叫ぶ者がいた。姫は先ほどのように自分の名を名乗った。ここは大山祇の使いの大鷹が住むところである。我らは肉を食べる者ゆえ五穀などに用はない。一日たりともここに留めておくことはできぬ。早く立ち去れと拒絶した。この島は今の那賀郡三隅町の沖にある大島である。こうして雁と姫は住処を求めてあちこち飛び回り、遂に安住の地を見つけた。これが今の狭姫山である。別の名を比礼振山と言う。狭姫とは小さい姫という意味である。のちの世の人はこの姫のことをちび姫と言うようになった。また、雁が降り立った地を赤雁と呼び地名となっている。姫はこの山を住処としてあちこちの里に出ては稲や麦の種を分け与えた。このため、この辺りを種(今の益田市種町)と呼ぶようになった。山に囲まれ海にも近いこの土地はそれから五穀が豊かに実り、里では和やかな暮らしが続いた。人々は乙子狭姫をちび姫さんと呼んで親しんだ。そして、姫の働きを褒めたたえ感謝するために、狭姫山の近くにお宮を建てて祀った。これが乙子の権現さんで、今もなお、この辺りの人は五穀が沢山獲れることを祈ってお参りしている。
・「乙子狭姫」(角川書店『出雲・石見の伝説』)
昔々、大食之姫という穀物の神があって、色々の食物や穀物の種の持ち主であった。姫の身体からどうして食物や種が出るのかと怪しんだ神が無謀にも姫の身体を切ってみた。しかし姫のどこにも何も出なかったから神は無益な殺生を悔いた。息絶えようとした大食之姫は末の子狭姫を呼んでお前は末子で年もゆかず人並み外れて小さい身体だから、お前に宝の種をやる。種は千年万年尽きぬ宝だから、お前はこれを持って安国へ行けと言った。狭姫は母の亡骸にすがって嘆き悲しんだが、不思議にも母の頭から馬が飛び出し、着物から蚕が這い出し、鼻から大豆、口から稲、胸から麦、腹から小豆が出た。狭姫が驚いていると、そこへ日頃から可愛がっていた赤雁が飛んできたので、雁よ、母上はこの有様となって悲しいが、形見に下さった色々の種は三つ一つはお前にやろう。三つ一つは生まれたこの地に置こう。あとの三つ一つは私が持って心安国に行こうと言った。雁はこれを食べて姫を乗せ空高く飛び立った。姫は生まれながら小さく美しい女神であったから狭姫と言われた。狭姫は赤雁に乗ってしばらく飛んでから海中の一つの島(高島)に降りて休もうとすると、一羽の鷹が出てきて、ここは国つ神大山祇足長土の使者鷹の住まいだから誰にも貸さない。ことに穀物の神には用がないと拒否した。そこでまたある島で休もうとすると、今度は鷲が出てきて、ここは国つ神大山祇巨人の使者大鷲の住まい(須津の大島)だから誰にも貸さない。ことに穀物の神は用がないと拒否した。仕方なく空の旅を続けてある山に着いた。その山を狭姫山(美濃郡比礼振山)という。狭姫は雁と共に里に出て稲・麦・豆などの種を蒔いた。そこを乙子の里という。そして生えてはでき、できては殖える種子(種村)が次々に広まって赤雁の里、種の里を作って楽しく暮らした。それで狭姫は地方の神々から穀物の神、種の神とあがめられた。姫は種の里から千振山を越して矢原を通って河内の里へ出た。ところがそこに巨人の足跡をみて驚いた。里人に尋ねると巨人は弥畝山を跨いで来たもので一晩漁山と足谷山に足をかけて踏ん張って脱糞したのが大糞山(井野村)となり、あそこの大穴がその住処である。しかし今は海辺へ行っただろうと言う。狭姫が驚いている内に地震のような響きがしてきた。里人は踏み殺されると逃げ去った。姫も急いで種の里へ帰ろうとしたが、人並み小さい女神では間に合わず姫は命からがら帰り着いた。狭姫はなおも種を蒔き広めようと赤雁に乗って出立し、とある山に降りた。山の頂は平らでその中程に大きな岩穴があった。すると、穴の中から雷のようないびきがする。狭姫は不思議に思って大声で穴の中で寝ているのは誰かと問うと、人の安眠を妨げる者こそ何者か。自ら名乗らずに人の名を聞くとは無礼であろうと返してきたので、自分は天つ神大食之姫の子で名は狭姫。色々の食物の種を持っている神である。無礼は謝ると答えた。すると、我は国つ神大山祇巨人の子、雲を呼び霧を立て雨を降らせるから諸人は我をおかみと申す。我はここに千代、出雲には八千代住み、万代は海神の国、終わりには天つ国に行く者だ。この山は大山といい我が父大山祇巨人の休み場である。父はこの大山に腰かけてあの須津の海を足をすすいだとき、爪先の土を投げたのがあの大島で、脛についた土を投げたのがあの高島である。父はまたこの山に腰かけながら放屁したからこの大穴を開けた。穴の底の岩根から水を潜って海神の国、地を通っては根の国、底の国に抜けると出雲の国に出る。今見える東の煙立つ山がそれだと言う。聞き終わった狭姫は驚きながら気を取り直し、御父は畏き大神かな、御身はまた不思議な働きを持ち給う。では直接お目にかかりたいと言うと、おかみはなお穴の中から父はただ大きいだけで人並みの姿だが、我は頭だけが人間で体は蛇のようだから人も神も驚いて気を失うことは疑いない。人を驚かすことは悪いことだから見ない方がお互いの為である。それよりも我が兄に会い給え、兄は西の麓の土田という所にいる足長土だと言った。狭姫はそれを機会に大山を去った。狭姫は土田に行ったが足長土はいない。見ると、土田と高島との間の波の穂を踏んで行く者がいる。それが海の中を一歩一歩踏んでいて余程の足長と見える。しかしこう足が長くては物を拾うのにさぞかし不便だろう。そこで姫は考えた。巨人は悪気はないが、うっかりすると踏み殺される。息子のおかみは稲に無くてはならない雨を降らせる良い神である。巨人と足長土を遠くへやらねばならない。それには巨人の為に大平原を見つけ、足長土のために嫁を探そうとすぐさま天駆けり国駆けり西は須佐の高山・青野ヶ嶽、南は弥畝山・冠山と駆け巡って東の煙立つ山(三瓶山)に来た。東を見ると巨人の居るにふさわしい原がある。狭姫は喜んでその山の麓に種を蒔いて里(種村)を開いた。この山を佐比売山と言う。姫は帰途につき大江高山を過ぎ角山(島星山)目当てに飛んでいると、小山の上に座り二本の長い手を伸ばして海の中を漁って魚介を採っている者がいる。狭姫は近づいて女か男かと尋ねると女だと答えたので、夫があるかと問うと、女は恥ずかしそうにかように手長なればと言った。狭姫はいたわって自分も人並み外れたちび姫だけど世になくてはならぬ食物の種を広める務めを持っている。御身の手長もまた務めがある。そこで御身のために足長土という夫を授けよう。助け合って仲良く暮らすがよいと言うと女は喜んで承知した。この女は手長土といい土の里(都治)に住んでいた。狭姫も喜んですぐ帰り、足長土と巨人に勧めて東に向けて出立させた。そして足長土は手長土と夫婦になり、足長土が手長土を背負って歩けば遠い道も近く、深い水も浅い。手長土は取るも拾うも働くにも夫を助けて仲良く暮らした。都治の南隣りの上津井には上畑神社があって大山祇神が祀ってある。また波積の東隣りの井田には大人という所がある。浅利富士は一名どびん山とも言われ、かの巨人がこの山を跨いだとき股間が当たって頂上を削りとったから富士山のように上が平らになった。おかみは後に八幡の神と交替してあちらへ行ったため岡見には居ないけれども、時化の前には今でも大岩を鳴らして予報してくれるのでおかみも故郷を思い出すのであろうと伝えられている。
・「狭姫と巨人」(『江津市の歴史』)
昔々、大食之姫という穀物の神があって、色々の食物や穀物の種の持ち主であった。姫の身体からどうして食物や種が出るのかと怪しんだ神が無謀にも姫の身体を切ってみた。しかし姫のどこにも何も出なかったから神は無益な殺生を悔いた。息絶えようとした大食之姫は末の子狭姫を呼んでお前は末子で年もゆかず人並み外れて小さい身体だから、お前に宝の種をやる。種は千年万年尽きぬ宝だから、お前はこれを持って安国へ行けと言った。狭姫は母の亡骸にすがって嘆き悲しんだが、不思議にも母の頭から馬が飛び出し、着物から蚕が這い出し、鼻から大豆、口から稲、胸から麦、腹から小豆が出た。狭姫が驚いていると、そこへ日頃から可愛がっていた赤雁が飛んできたので、雁よ、母上はこの有様となって悲しいが、形見に下さった色々の種は三つ一つはお前にやろう。三つ一つは生まれたこの地に置こう。あとの三つ一つは私が持って心安国に行こうと言った。雁はこれを食べて姫を乗せ空高く飛び立った。姫は生まれながら小さく美しい女神であったから狭姫と言われた。狭姫は赤雁に乗ってしばらく飛んでから海中の一つの島(高島)に降りて休もうとすると、一羽の鷹が出てきて、ここは国つ神大山祇足長土の使者鷹の住まいだから誰にも貸さない。ことに穀物の神には用がないと拒否した。そこでまたある島で休もうとすると、今度は鷲が出てきて、ここは国つ神大山祇巨人の使者大鷲の住まい(須津の大島)だから誰にも貸さない。ことに穀物の神は用がないと拒否した。仕方なく空の旅を続けてある山に着いた。その山を狭姫山(美濃郡比礼振山)という。狭姫は雁と共に里に出て稲・麦・豆などの種を蒔いた。そこを乙子の里という。そして生えてはでき、できては殖える種子(種村)が次々に広まって赤雁の里、種の里を作って楽しく暮らした。それで狭姫は地方の神々から穀物の神、種の神とあがめられた。姫は種の里から千振山を越して矢原を通って河内の里へ出た。ところがそこに巨人の足跡をみて驚いた。里人に尋ねると巨人は弥畝山を跨いで来たもので一晩漁山と足谷山に足をかけて踏ん張って脱糞したのが大糞山(井野村)となり、あそこの大穴がその住処である。しかし今は海辺へ行っただろうと言う。狭姫が驚いている内に地震のような響きがしてきた。里人は踏み殺されると逃げ去った。姫も急いで種の里へ帰ろうとしたが、人並み小さい女神では間に合わず姫は命からがら帰り着いた。狭姫はなおも種を蒔き広めようと赤雁に乗って出立し、とある山に降りた。山の頂は平らでその中程に大きな岩穴があった。すると、穴の中から雷のようないびきがする。狭姫は不思議に思って大声で穴の中で寝ているのは誰かと問うと、人の安眠を妨げる者こそ何者か。自ら名乗らずに人の名を聞くとは無礼であろうと返してきたので、自分は天つ神大食之姫の子で名は狭姫。色々の食物の種を持っている神である。無礼は謝ると答えた。すると、我は国つ神大山祇巨人の子、雲を呼び霧を立て雨を降らせるから諸人は我をおかみと申す。我はここに千代、出雲には八千代住み、万代は海神の国、終わりには天つ国に行く者だ。この山は大山といい我が父大山祇巨人の休み場である。父はこの大山に腰かけてあの須津の海を足をすすいだとき、爪先の土を投げたのがあの大島で、脛についた土を投げたのがあの高島である。父はまたこの山に腰かけながら放屁したからこの大穴を開けた。穴の底の岩根から水を潜って海神の国、地を通っては根の国、底の国に抜けると出雲の国に出る。今見える東の煙立つ山がそれだと言う。聞き終わった狭姫は驚きながら気を取り直し、御父は畏き大神かな、御身はまた不思議な働きを持ち給う。では直接お目にかかりたいと言うと、おかみはなお穴の中から父はただ大きいだけで人並みの姿だが、我は頭だけが人間で体は蛇のようだから人も神も驚いて気を失うことは疑いない。人を驚かすことは悪いことだから見ない方がお互いの為である。それよりも我が兄に会い給え、兄は西の麓の土田という所にいる足長土だと言った。狭姫はそれを機会に大山を去った。狭姫は土田に行ったが足長土はいない。見ると、土田と高島との間の波の穂を踏んで行く者がいる。それが海の中を一歩一歩踏んでいて余程の足長と見える。しかしこう足が長くては物を拾うのにさぞかし不便だろう。そこで姫は考えた。巨人は悪気はないが、うっかりすると踏み殺される。息子のおかみは稲に無くてはならない雨を降らせる良い神である。巨人と足長土を遠くへやらねばならない。それには巨人の為に大平原を見つけ、足長土のために嫁を探そうとすぐさま天駆けり国駆けり西は須佐の高山・青野ヶ嶽、南は弥畝山・冠山と駆け巡って東の煙立つ山(三瓶山)に来た。東を見ると巨人の居るにふさわしい原がある。狭姫は喜んでその山の麓に種を蒔いて里(種村)を開いた。この山を佐比売山と言う。姫は帰途につき大江高山を過ぎ角山(島星山)目当てに飛んでいると、小山の上に座り二本の長い手を伸ばして海の中を漁って魚介を採っている者がいる。狭姫は近づいて女か男かと尋ねると女だと答えたので、夫があるかと問うと、女は恥ずかしそうにかように手長なればと言った。狭姫はいたわって自分も人並み外れたちび姫だけど世になくてはならぬ食物の種を広める務めを持っている。御身の手長もまた務めがある。そこで御身のために足長土という夫を授けよう。助け合って仲良く暮らすがよいと言うと女は喜んで承知した。この女は手長土といい土の里(都治)に住んでいた。狭姫も喜んですぐ帰り、足長土と巨人に勧めて東に向けて出立させた。そして足長土は手長土と夫婦になり、足長土が手長土を背負って歩けば遠い道も近く、深い水も浅い。手長土は取るも拾うも働くにも夫を助けて仲良く暮らした。都治の南隣りの上津井には上畑神社があって大山祇神が祀ってある。また波積の東隣りの井田には大人という所がある。浅利富士は一名どびん山とも言われ、かの巨人がこの山を跨いだとき股間が当たって頂上を削りとったから富士山のように上が平らになった。おかみは後に八幡の神と交替してあちらへ行ったため岡見には居ないけれども、時化の前には今でも大岩を鳴らして予報してくれるのでおかみも故郷を思い出すのであろうと伝えられている。
・「穀物の神・矮姫」(みずうみ書房『日本伝説大系』第十一巻)
赤雁に乗って、色々の種を持ってきた姫神がいた。名を矮姫(サヒメ)という。矮姫は体が非常に小さかった。矮姫の母神は大食之姫(オオゲツヒメ)という穀物の神さまで、常に口や目鼻、尻などをこすって色々の物を出して人々にご馳走した。ところがある神さまに口から米を出してご馳走しようとしたのを見られた。その神さまは汚いと怒って斬りつけた。大食之姫は斬られたまま息絶え絶えに我が子矮姫を呼んで、人並みならぬ小さい体でお前はこれから苦労するだろう。お前が気にかかってならぬ。しかし、自分はもうこの世を去る。自分が死んだら、体に種が生える。その種を持って安国へ行け。安国へはお前が可愛がっている雁が案内すると言い残して息を引き取った。と、不思議や母の屍から稲が生え、麦が実り、小豆が出来、種という種が母の死体に生えて実った。矮姫は嘆き悲しみながらもその不思議に驚いた。まごまごしていると赤雁が来てどうしたのか訊いた。矮姫が一部始終を語ると、姫さま、諦めて行きましょう。安国へ案内申しますと言った。矮姫は母の死体を弔うと母の体に実った種をもって赤雁の背に乗った。赤雁は空に高々と舞い上がり、ただ一筋に飛んでいった。行く程に一つの島が見えた。疲れた雁は一時休みたいと思って舞い降りた。ところが、そこは大山祇の子足長土の土地、降りることはならぬと高島の守備をしている鷹が制止した。赤雁は止むことなく飛行を続けた。とまた一つの島――大島が目についた。赤雁はそこへ降りようとした。と、ここへ来ることはまかりならぬ。大山祇の御子オカミ神の使者、大鷲の住処だと拒否された。赤雁は疲れ果ててようやくほど近い本州の山へと辿り着いた。赤雁はぐったりしていたが、矮姫は降り立つとすぐ里に出た。稲麦豆など種物を次々に蒔いて歩いた。それでこの土地を種の里と人々は言った。実った種を採りながら姫は種を広めた。ある日、矮姫は種の里から千振山を越え矢原を通り河内に出た。するとそこに恐ろしい人の跡を見つけた。普通の人を見ても気のひける矮姫は驚かずにいられない。矮姫は人々に足跡について尋ねた。人々は、大山祇の神ほどではないがオカミ神も大変大きな人で、この辺の一番高い山でさえオカミ神の胸に届く者はないと答えた。矮姫はびっくり仰天した。その内に地響きがしてきた。人々は慌てふためいて安全な場所へ散っていった。矮姫があっけにとられていると、大男はもう間近に迫ってくる。大男の足に踏みつぶされまいと逃げまどい逃げ延びてようやく種の里へ帰りつくことができた。こうしたことがあってからも矮姫は種を蒔き広めることを止めなかった。矮姫は今度は土田へ出かけた。そして、ふと海の方へ目をやると、水の中をひと足ひと足歩いて高島の方へ行く男を見た。村人に尋ねると、あの神が足長土と分かった。なるほど足の長い男だった。矮姫は案じた。オカミ神や足長土がいてはこの土地に種を広めて安国にすることはとてもできない。なんとか他所へ追い出すことはできないかと。矮姫はすぐ赤雁の背に乗って空を西から東、北から南へと飛び回った。すると三瓶山の麓の原が目に留まった。この原だと大男の遊び場にちょうどよい広さだ、そう思って矮姫が喜んで帰途につくと、そこから海岸に出たところでこれまた不思議な人影が目に留まった。両手がものすごく長い人が海に手をひたして魚や貝を面白いほど採るのである。矮姫は近づいて、あなたは男か女か名前はと尋ねた。相手は女で名は手長土と答えた。夫はあるかと矮姫が問うと、こんな者だからと女は長い両手を示しながら悲しそうに言う。矮姫はいたわる様に自分もこんな者だが、種を広める役目がある。あなたには足長土という良い人をお世話しよう。二人で助け合えばきっと素晴らしい仕事ができるだろう、そう言って矮姫は急いで帰ると、大男と足長土を急かして東に出立させた。こうして矮姫はこの地方を安国に作り上げることができた。今の岡見という地名はオカミ神からきたのだと言う。
◆コーディングルール
※コーディングルールのキーワードは重要と判断したものを人力でピックアップしている。そのため、恣意性を伴う分析となる。
※活用形でなく基本形で入力する。
※[前処理]→[語の抽出結果を確認]でキーワードがどのように分節されているか検索すると結果の一覧[語の抽出結果]が表示される。
※[Result]から確認したい行をクリックして選択、画面下の[詳細表示]ボタンをクリックするとサブ画面が表示され、活用形や基本形が確認できる。
※昔話では「否定/肯定」「肯定/否定」と属性が変化することが多いと考え、否定詞「ない」「まい」「ぬ」「ん」、また禁止を意味する「な」を共通のコードとして設定している。
※[関連語検索]で否定詞の共起語の一覧を表示させたところ、日本の昔話のように掌編レベルのボリュームだと、物語の動因となる箇所に関する語句が上位に表示される傾向が強いのではないか……といった印象があり、検証作業中である。
※無償版では強制抽出語の指定が機能制限で事実上使用できないため以下のような手法をとっている。
*朝鮮
朝鮮 or ( 西 and 国 )
*ソシモリ
'ソシモリ' or '曽茂利'
*オオゲツヒメ
'大宜都比売命' or '大宜都比売' or '大食之姫' or 'オオゲツヒメ' or '母神' or 命
*五穀
五穀 or 穀物 or 作物 or 大豆 or 稲 or 小豆 or 麦 or 豆 or 黍 or 粟 or 米
*神さま
神さま or 神
*身体
身体 or 体 or 目 or 鼻 or 尻 or 頭 or 腹 or 女陰 or 胸
*宝物
宝物 or 宝
*斬る
斬る or 切る
*殺す
殺す or 殺生
*狭姫
'乙子狭姫' or '狭姫' or '矮姫' or 'サヒメ'
*ちび姫
'ちび姫'
*死ぬ
死ぬ or ( 最期 and 遂げる ) or 亡くなる or ( 息 and 絶える )
*安国
( 東 and 国 ) or '安国' or '心安国' or 日本
*海
海 or 海原 or 日本海
*飛ぶ
飛ぶ or 飛行
*下りる
下りる or 降りる
*足長土
'足長土'
*肉
肉 or 肉食
*不用
( 用 and ない ) or 不用
*亀島
'亀島'
*天道山
'天道山' or 丘
*比礼振山
'比礼振山' or '狭姫山'
*高島
'高島'
*大島
'大島'
*撫でる
撫でる or こする
*粗暴
気 and 荒い
*神代
神 and 代
*赤雁
'赤雁' or 雁
*拒む
拒む or 拒否
*亡骸
亡骸 or 屍 or 死体
*三つ一つ
'三つ一つ'
*千振山
'千振山'
*巨人
巨人 or 大男
*弥畝山
'弥畝山'
*大糞山
'大糞山'
*穴
穴 or 大穴 or '岩穴'
*里人
里人 or 村人
*オカミ
'おかみ'
*足長
足長 or ( 足 and 長い )
*三瓶山
三瓶山 or '佐比売山'
*手長
手 and 長い
*手長土
'手長土'
*務め
務め or 役目
*浅利富士
'浅利富士' or 'どびん山'
*ない
ない
*ぬ
ぬ
*ん
ん
*るな
'るな'
*るまい
'るまい'
*旅
旅
*姫
姫
*種
種
*馬
馬
*蚕
蚕
*背
背
*島
島
*山祇
山祇
*鷹
鷹
*休む
休む
*鷲
鷲
*小さい
小さい
*女の子
女の子
*袋
袋
*末っ子
末っ子
*仕組み
仕組み
*裂く
裂く
*千年
千年
*万年
万年
*お宮
お宮
*益田市
益田市
*土地
土地
*遺志
遺志
*育つ
育つ
*育てる
育てる
*秘密
秘密
*陸
陸
*山
山
*食べる
食べる
*女神
女神
*里
里
*蒔く
蒔く
*踏む
踏む
*土田
土田
*不便
不便
*雨
雨
*原
原
*女
女
*夫
夫
*背負う
背負う
*八幡
八幡
*岡見
岡見
*ご馳走
ご馳走
*怒る
怒る
*ぐったり
ぐったり
*足跡
足跡
*逃げる
逃げる
*まどう
まどう
*麓
麓
*お世話
お世話
*出立
出立
◆共起ネットワーク
・[コーディング単位]を[H5]に設定する。
※[描画する共起関係(edge)の選択]で「係数」を「0.2」から「0.3」に修正する。
※[強い共起関係ほど濃い線に]にチェックを入れる。
Jaccard係数が0.3以上はかなり強い共起関係にあることを示しているが、分析対象となる元データの文字数が少ないため係数が高めに出てしまう傾向にあるため、こうしている。
※Jaccard係数は共起関係(※ある言葉に続いて出てくる関係)の強さを表し 0≦係数≦1 の範囲の値をとる。
【Jaccard係数】
・0.1 →関連あり
・0.2 →強い関連あり
・0.3以上 →とても強い関連あり
※ただし、あくまで目安であって絶対ではない。
ざっと確認したところ、共通するキーワードが中央のサブグラフ(バブルが島状に集まった一塊)に表示され、類話によって異なるキーワードがそれぞれのサブグラフとして周辺に表示される形となっている。
狭姫伝説の場合、固有名詞の異同はほとんどないため、中央のサブグラフが大きくなっている。
※なお、各バブル間の距離や配置に意味はない。
◆対応分析
・[コーディング単位]を[H5]に設定する。
※[外部変数]は[タイトル]のまま続行。
※[差異が顕著なコードを分析に使用]で上位「40」とした。また[バブルプロット]にチェックを入れている。これらは文字の重なりを極力避けるためである。
※文字が重なって読みづらい場合、オプション画面の[コード選択]で不要なコードのチェックを外してもよい。
x、y軸上の原点(0.0)から点線が伸び交差した箇所が原点となる。原点から離れるほど特徴的なキーワードだと分析される。
原点付近には「末っ子」「比礼振山」「天道山」といったキーワードがプロットされている。未来社版と日本標準版のキャプションが原点近くにプロットされているので、元データの並び順も影響しているかもしれない。角川書店版では「秘密」「粗暴」「遺志」といったキーワードが原点から離れてプロットされている。みずうみ書房版では「ぐったり」「怒る」「ご馳走」といったキーワードが特徴的とされている。『江津市の歴史』では「オカミ」「穴」「浅利富士」といったキーワードが特徴的とされている。これは狭姫伝説の後段が詳細に記述されているためと考えられる。
◆解釈
狭姫伝説は狭姫が益田にやって来るまでの話と益田を出て三瓶山に到達する話と前段と後段とに分かれている。未来社、日本標準、角川書店に収録されたものは前段のみとなっているため、対応分析で『江津市の歴史』の記述が特徴的とされたと考えられる。
◆階層的クラスター分析
・[コーディング単位]を[文]に変更、実行するとデンドログラム(樹状図)で可視化される。
※キーワード指定しても可。
概ねストーリーに沿った内容でクラスター化されている。
※当ブログの場合、[コーディング単位]が[段落][H5]だと、コードを全て選択するとエラーが返される結果となった。
◆クロス集計
・[コーディング単位]を[文]に変更、[集計]する。
※「タイトル」で集計をかけた。
クロス集計をかけたところ、「ソシモリ」「オオゲツヒメ」「五穀」といったキーワードでカイ(χ)2乗値で相関関係を示す結果(※マーク)が得られた。
マップとして描画したところ、「ソシモリ」「オオゲツヒメ」「育つ」といったキーワードの残差が大きく(濃く)表示される結果となった。バブルとしては「狭姫」「五穀」「姫」などが大きく描画された。
◆KWICコンコーダンス
現状ではテキストマイニングのツールに文脈を読む性能はないため実際に該当箇所を読んで人力で判断する他ない。KWICコンコーダンスでキーワード指定すれば指定したキーワードがどのような文脈で用いられているか一覧で抽出される。
◆関連語検索
・[集計単位]を[文]に変更、[集計]する。
・[Search Entry:]の一覧からキーワードを選択してダブルクリックすると[Result]に指定したキーワードの品詞や共起関係が表示される。
※[Result:]から行指定してダブルクリックするとKWICコンコーダンスに遷移する。
※[Result:]の一覧から範囲指定して[コピー]したものを表計算ソフトやテキストファイルにペーストすることも可能である。
[#直接入力]を指定して「放屁」といったキーワードで検索すると関連語が一覧で表示される。
◆属性の転倒
・「ない」の結果上位一覧
| N | 抽出語 | 品詞 | 全体 | 共起 | Jaccard |
| 1 | 神 | 名詞C | 21 (0.083) | 8 (0.250) | 0.1778 |
| 2 | 用 | 名詞C | 5 (0.020) | 4 (0.125) | 0.1212 |
| 3 | 休む | 動詞 | 6 (0.024) | 4 (0.125) | 0.1176 |
| 4 | 島 | 名詞C | 23 (0.091) | 5 (0.156) | 0.1 |
| 5 | 人 | 名詞C | 12 (0.047) | 4 (0.125) | 0.1 |
| 6 | 仕方 | ナイ形容 | 3 (0.012) | 3 (0.094) | 0.0938 |
| 7 | 広める | 動詞 | 6 (0.024) | 3 (0.094) | 0.0857 |
| 8 | 赤雁 | 地名 | 21 (0.083) | 4 (0.125) | 0.0816 |
| 9 | 土 | 名詞C | 21 (0.083) | 4 (0.125) | 0.0816 |
| 10 | 足 | 名詞C | 22 (0.087) | 4 (0.125) | 0.08 |
・「ぬ」の結果上位一覧
| N | 抽出語 | 品詞 | 全体 | 共起 | Jaccard |
| 1 | 人並み | 名詞 | 5 (0.020) | 4 (0.308) | 0.2857 |
| 2 | 小さい | 形容詞 | 8 (0.032) | 3 (0.231) | 0.1667 |
| 3 | 子 | 名詞C | 17 (0.067) | 4 (0.308) | 0.1538 |
| 4 | 外れる | 動詞 | 2 (0.008) | 2 (0.154) | 0.1538 |
| 5 | 宝 | 名詞C | 2 (0.008) | 2 (0.154) | 0.1538 |
| 6 | 息 | サ変名詞 | 4 (0.016) | 2 (0.154) | 0.1333 |
| 7 | 大食 | サ変名詞 | 4 (0.016) | 2 (0.154) | 0.1333 |
| 8 | 気 | 名詞C | 5 (0.020) | 2 (0.154) | 0.125 |
| 9 | 姫 | 名詞C | 52 (0.206) | 6 (0.462) | 0.1017 |
| 10 | 呼ぶ | 動詞 | 10 (0.040) | 2 (0.154) | 0.0952 |
斬り殺された母神の死体から五穀が芽生え、それを持って狭姫は旅立つ……といった粗筋となっている。
短いお話の中で属性の転倒を多用するのが昔話の特徴の一つと考えられる。
ここで「/」(スラッシュ)を「転倒」を意味する記号として用いる。スラッシュは様々な場面で用いられていて文脈依存的な記号という欠点もあるが、視覚的にはイメージしやすいと判断した。
・[旅の神|母神:生/死]
・[狭姫|母神:死体/五穀]
・[高島|五穀:拒絶/不毛]
こういった風にお話を転がしていると分析できる。
殺された母神が「死体/五穀」と転倒することで日本に五穀がもたらされるといった筋立てとなっている。
◆類似度行列
・[コーディング単位]を[文]に変更して[集計]。Jaccard係数がマトリクス形式で確認できる。
・ある列を選択して画面右下の[コピー(選択列)]をクリックすると、当該のキーワードに関するJaccard係数がコピーされるので、それを表計算ソフトにペーストするといった利用が可能となる。
※当ブログでは[コーディング単位]が[段落][H5]の場合、Jacccard係数が1.0~0.5といった結果がほとんどで、意味のない結果となった。
◆多次元尺度構成法
・[コーディング単位]を[文]に変更して実行。
・共起関係を確認したいキーワードを指定。
・次元を「2」から「3」に変更して実行、三次元のマップとした。
狭姫が五穀の種をもって旅立つくだりに関連したキーワードを指定したところ、「亡骸」が離れた位置にプロットされた。
※選択するキーワードによって相対的な位置関係は変わり得る。
※実行すると指定したキーワードの幾つかが除外されるとメッセージが表示される。テキストのボリューム不足のためか無償版の仕様によるものか判断がつかない。
※当ブログの事例では「文」以外、「段落」と「H5」では除外されるキーワードが増える傾向となった。
◆自己組織化マップ
[コーディング単位]を[文]に変更して実行。
記述内容が視覚的に整理され、類似性の高い内容が近くに配置される。概ねストーリーに沿った形で各クラスターが表示される。
※当ブログの事例では「文」以外、「段落」と「H5」ではエラーが返される結果となった。
※クラスター化の計算を繰り返すため処理に時間がかかるので要注意。
※クラスターの配置、距離に意味はない。
◆トピックの推定
・[ツール]→[文書]→[トピックモデル]→[トピックの推定]を選択。
・[集計単位]を[文]に変更。
・[OK]ボタンをクリックすると、[トピックの推定結果]画面が表示される。
・各トピックで高い確率で出現する語句がリストアップされる。
・[#1]といった欄をクリックすると、文書検索画面が表示される。
◆ベイズ学習による分類
・[ツール]→[文書]→[ベイズ学習による分類]→[外部変数から学習]を選択。
・[分類の単位]を[文]に変更。
・[学習する外部変数]は[書名]に変更する。
※「タイトル」のままでもよし。
・[OK]ボタンをクリックすると、ファイルの保存画面が表示されるので、任意のファイル名を記述して保存する。
・[ツール]→[文書]→[ベイズ学習による分類]→[学習結果ファイルの内容を確認]を選択。ファイル選択画面が開くので、先ほど保存したファイルを指定して開く。すると[学習結果ファイル]画面が開くので内容の確認を行う。
※[学習結果を用いた自動分類]については割愛する。
※[トピックの推定]と[ベイズ学習による分類]は固有名詞などを強制抽出語としてあらかじめ指定しておかないと正確に分析されないケースが生じる。正式に利用したい際は有償版の購入をお勧めする。当ブログのはあくまでテストケースとしてのものである。
※[トピックの推定]と[ベイズ学習による分類]はコーディング・ルールに依らない分析手法となるが、筆者の能力的に追及はしない。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.335-337.
・『島根の伝説』(島根県小・中学校国語教育研究会/編, 日本標準, 1978)pp.234-238.
・『出雲・石見の伝説 日本の伝説48』(酒井董美, 萩坂昇, 角川書店, 1980)pp.246-248.
・「江津市の歴史」(山本熊太郎/編著, 1970)pp.3-6.
・『日本伝説大系 第11巻 山陰(鳥取・島根)』(野村純一他, みずうみ書房, 1984)pp.17-21.
・『動かして学ぶ!はじめてのテキストマイニング』(樋口耕一, ナカニシヤ出版, 2022)
・『社会調査のための計量テキスト分析 【第2版】 内容分析の継承と発展を目指して』(樋口耕一, ナカニシヤ出版, 2020)
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