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2025年11月

2025年11月30日 (日)

今回はビッグバンドジャズ――ハイブリッドウインドオーケストラ 2025.11

島根県立大学・浜田キャンパス講堂で催されたハイブリッドウインドオーケストラの第七回公演を鑑賞する。一度キャンパスの敷地内に入ってみたかったのと、講堂がどんなものか知りたかったのもある。建物は円形で、ホール内は扇状に客席が広がっていた。ステージは若干狭いように感じられる。調べてみると600人収容とのことだった。

島根県立大学浜田キャンパス講堂
島根県立大学浜田キャンパス講堂・ホール内部

14時から16時半まで二時間半ほどのコンサートだった。ハイブリッドとは様々なコラボを行う志向性というニュアンスで、今回はビッグバンドジャズといった趣向だった。結成から5年で、今回登壇した団員の平均年齢は25歳くらい。多くが県外からUIターンした人だった。那須塩原から浜田に来た方がいた。海がきれいとのこと。ピアノ奏者の方は祖父母が松江の人で島根に所縁があったとのこと。指揮とMCはおそらく智翠館・吹奏楽部の顧問の先生。

ドラマーの方はノリノリだった。

コンサートには浜田高校吹奏楽部や石見ユースウインドオーケストラ(※小学生の吹奏楽団)も協力した。

……600人収容なので大きめの中ホールといったところか。市内にも中ホールがあるのだなと思う。大ホールだと小回りが利かないし、でもここは大学の施設だしというところか。

駐車場に車を停めたところ、三階山のパラボラアンテナが大きく見えた。その昔、韓国とマイクロウェーブで通信していた施設。思ったより標高が高いのだなと思う。

三階山・浜田市
三階山・浜田市

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ドキュメントスキャナを買った方が却って安上がり

国会図書館の遠隔複写サービスでPDFダウンロードの料金シミュレーションをしたら、紙のコピーの5倍以上の値段となった。これならドキュメントスキャナを購入した方が遥かに安上がりだとなる。

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2025年11月29日 (土)

前後関係と因果関係――千野帽子『人はなぜ物語を求めるのか』

千野帽子『人はなぜ物語を求めるのか』を読む。人間は得てして前後関係に因果関係を見出してしまいがちだというところから話を起こす。

黒子のバスケ事件で、犯人は彼が幼児期に虐待を受けていたため鬱状態にあったことを知る前後で供述内容がガラッと変わったことが記されている。そういったライフヒストリーにまつわる先入観的な認知にまつわる話である。

実際、物語というか繋がりをつけないと大量の記憶は困難である。高校世界史や日本史などは大量の暗記を強いられるけど、あれは相互の関連を学ぶことで理解していく形となる。

ちなみに、航空・観光アナリストの鳥海高太朗氏いわく、観光にはストーリー性が必要で「小さいストーリーを大きくしていけばいい」とのことだった。

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2025年11月27日 (木)

グラントワに行く 2025.11――萩石見空港活性化講演会

グラントワに行く。美術館ではコレクション展「雲谷派」と「アールデコ博覧会100年」を鑑賞する。雲谷派は雪舟の系譜に連なる日本画。アールデコはおよそ100年の歴史を有するが、画風的にイラストや漫画のルーツとも言えるのだろうか。それは知らない。

ドレスが二着展示されていて、片方は派手なもので、もう片方はシンプルな現代でも通用しそうなものだった。派手な方はきんきらきんなのだけど、あれは金糸で刺繍しているのだと知る。

グラントワ・小ホール

その後、小ホールで開催された「第3回 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏講演会」を聴講する。演題は「新たな地方活性化の核となる萩・石見空港の必要性とは」。

まず吉賀町長の挨拶から始まる。講演会は空港開港30周年を記念して始まったもので、鳥海氏とは事務局のスガ氏との繋がりで招聘したとのこと。山陰道全通後の話は前回あったらしい。

萩石見空港は現在羽田便が一日二便就航しているが、二便目の発着枠について政策上競合している空港があり、今年度149000人の目標必達とのことだが、達成は厳しい状況にあるらしい。ちなみに、夏は伊丹便も就航しているとのこと。

それから鳥海氏が登壇する。帝京大学の非常勤講師を務めており、今日もリモートで講義をしてから来場したとのこと。

今年は万博で多忙だったとのこと。大阪万博は前売り券が不調だったものの、開幕後にSNS、メディア双方が機能しチケットが売れ始めたとのこと。ただ、日本人比率が94%で、外国人比率は当初15%を見込んでいたのが下回ってしまったらしい。

逆に沖縄のジャングリアはリピーターが生まれず厳しい状況にあるとのこと。

現在は(価値観が多様化し)興味がある人とない人との温度差がある。趣味じゃないものにはお金をかけない。「払う価値があるか?」と(厳しい目で見られている)とのこと。

インバウンド(訪日外国人客)は2024年、3687万人。アウトバウンド(出国する日本人客)は1300万人の水準だったとのこと。日本は桜・紅葉・雪といった季節に応じた強みがある。一方、日本人のパスポート保有率は17.5%ほど。韓国が40%、米国が50%といった水準に比べて低い。今は東アジアならLCCで安く行ける時代でもある。インバウンドの消費単価は2024年が22万7242円だが、ドル換算だと以前と変わらないと指摘。平均泊数は6.9日。大都市中心の滞在スタイルとなっており、特に三大都市圏に集中する傾向にある。72%もの水準。大都市から地方へ日帰りするスタイルとなっているらしい。クルーズ船で周遊する外国人観光客も多い。近場だと境港に寄港しているとのこと(※浜田港に寄港する船もあり)。地方空港のアジア路線が苦戦しているとのこと。インバウンド消費額は2024年、8兆円。円安も追い風で中国人観光客の減少は欧米他でカバーできそうとのこと。12月以降、首都圏のホテルの価格は下がる見通しで旅行のチャンスとのこと。

益田については宿、飲食店などでルーティンができたとのこと。萩石見空港はコンパクトで市街地に近く、また駐車場やレンタカーもすぐで疲れない空港なのがメリットとのこと。

「自分の町に空港があることを誇りに思って欲しい」とのこと。羽田便があるだけで空港としての価値が向上、飛行機での旅先を選ぶ上で候補となる。

「旅は究極の非日常」。2025年は第二次トランプ政権の関税政策で混乱したが夏以降の株高が追い風となった。含み益がマイナスになると旅行に出かけにくい心理が働くとのことで、国内旅行も好調とのことだった。

最重要課題は「いかにリピーターを取り込むか」。沢山の魅力的なコンテンツが必要とのこと。ここで言うコンテンツとは宿そのものや食事(グルメ)も含めている。

年1~3回訪れたい場所になることが望ましい。「地元のものが食べたい」、これもコンテンツであるとのこと。ファンになるお店はリピーターに繋がる。益田は一軒一軒は美味しいけれど、ベンチマーク的なライバル関係にある競合相手が不在との指摘があった。例として函館の朝食ホテル戦争が挙げられる。食によるリピーターの強化が必要とのこと。「美味しければ遠くても行く。近ければ尚いい」。

たとえば青森の大間はマグロの水揚げ港だが、青森市からは三時間ほどかかり、函館から船で行った方が早い。「つゆやきそば」なるものもあるとのこと。益田で食べられるものは? 「何々があるから益田へ行こう」といった誘い文句が有効。

外国人観光客はGoogleマップのお店情報を参照して行動しているとのこと。

とんがったものが観光客誘致には必要で、突出したものがあればもっと面白くなる。宿・グルメ目的で旅行する流れが出来上がっている。益田はその点で決定打が見いだせていない。情報化時代に埋もれてしまっている。発信・PRは重要。

例えば、益田市は柴犬の発祥地であり、最近では柴犬が空港でお出迎えする日もあるが、それらもコンテンツとなるとのこと。ストーリー性が必要で「小さいストーリーを大きくしていけばいい」。たとえば金土日で石見神楽が上演できれば……といったことが挙げられた。

地方の課題として、富裕層向けの高級ホテル・旅館が少ないことが挙げられた。宿からスタートして地域を訪れたい観光客を取り込みたい。3~5万円クラスの宿があればとのこと。5万円はちょっと頑張れば払えなくもない金額。

オーバーツーリズムの問題、これは益田もそうなればいいね、くらいで流される。

二次交通、つまり空港や駅からのアクセスが重要で、運転できる人とできない人の二つの戦略を持つ必要性があるとのこと。地域クーポンの仕組みはコロナで整った(GoToトラベル)ので、それで地域経済を回していけばいい。

ANAは11月末までの予約でマイルキャンペーンを実施中。3900マイルとお得とのこと。島根県の空港はレンタカーキャンペーンで24時間1000円とお得。ただ、これには一週間前の予約が必要で県内で宿泊する必要があり、日帰りでは使えない。また、マイルだと使えない。佐賀空港の取り組みが先行している。宿泊証明などの手間があり、ストレスフリーが理想。

「萩までどう行ったらいいのだろう?」、リムジンタクシーは観光客にはハードルが高い。益田~萩石見空港~萩エリアまでのバスを一日二往復出すべきではないか? 益田をこのエリアの拠点にできないか。また、往復にこだわらず周辺空港との連携が必要である。レンタカーの乗り捨て料、自治体の補助が出るケースもある。

カーシェアは萩石見空港にしかない。市内にない。安く上がるので今後は宿泊地にカーシェアを導入すべきだ。沖縄・北海道では車を所有していないリゾートバイトに提供され便宜を図っているとのこと。

ワーケーション(ワーク+バケーション)での活性化も挙げられた。オンライン会議でビジネス出張が減少した。地域での滞在日数が増える可能性あり。観光地こそワーケーション、コワーキングスペースの整備を。たとえばグラントワで高校生が勉強していた。

双方向での利用が望ましく、地元の人もしっかり利用すべき。タイムセール、マイレージ減額キャンペーンがあるときには積極的に旅行を。現在はほぼ毎月セールがあるとのこと。

ネット時代でも旅行はリアルでないと成立しない。どんな時代でも強いコンテンツ。世界平和、健康も大事……と締めくくられた。

最後に質疑応答が。60~70か国訪問しているとのこと。キューバなどはまだ行けてないとのこと。商工会議所の人からは東京線の利活用のツアープランコンテストへの応募を勧められていた。

……アナリストらしく精力的に各地を回っている方だった。僕自身は広島駅まで高速バスで出ることがほとんどで、萩石見空港は20年以上前に一度利用したきり。

航空便も早割やマイレージを活用すれば割安になるけれど、頻繁に利用していることが前提となるか。

……そもそも首都圏から萩に向かう客が萩石見空港を選ぶのだろうか。山口宇部空港を選ぶのではなかろうか。新山口駅まで出れば萩行きのバスがあり、およそ70分ほどで到着とのこと。小郡萩道路が完成すれば更に短縮されるだろう。もちろん、益田を起点に萩方面、津和野方面、浜田方面へと日帰りも可能であるが。ちなみに吉賀町長の挨拶の後で山口県北部の自治体からの祝辞も読み上げられた。

神楽に関してはこれまで合わせ技でアピールしてきたと指摘できるか。「温泉+石見神楽」「アクアス+石見神楽」「神社+石見神楽」。

https://www.youtube.com/watch?v=9yuCFDdES88&t=5s
鳥ちゃんねる:週末1泊2日の旅行におすすめ! 疲れない国内空港ランキング【なんでもランキング】

 

……山陰道、島根県区間は福光浅利道路の進捗率が40%ほどらしいので、開通時期ははっきりしないが2030年くらいか。そこで鳥取~島根まではほぼ自動車専用道路で繋がることになる。が、山陰道の山口県区間の進捗率がはかばかしくない。一つの事業区間で約10年かかるとして、全通するとしたら2050年くらいまでかかるかもしれない。

また、JR山陰本線、益田以西の輸送密度は低く山口線以下である。幹線とは名ばかりで実質的にローカル線と化している。

……浜田市内だと、旧家を改装したコワーキングスペースがあるようだ。海が見えるコワーキングスペースがあればいいのかなと考えたりしたが、食事をどうするかという問題が発生するか。

実はとある商社の中に入ったことがある。神宮の森が近く見晴らしがとてもよかった。そういう見晴らしのいい、高層階にコワーキングスペースを置くという手もあるかもしれない。

グラントワの中庭・日没後

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2025年11月26日 (水)

文芸批評の見通しがよくなる――三田誠広『実存と構造』

三田誠広『実存と構造』を読む。実存/構造という二項対立的な図式を通すと文芸批評の見通しがよくなるのだなと感じる。

僕自身は実存という言葉がピンと来なかったのだけど、これは実際にそういった作品を読むのが手っ取り早いという話であった。『変身』くらいは読んでいるが。本書では孤独な魂くらいのニュアンスだろうか。

構造主義は神話や親族構造の分析を通じて、繰り返しの構図を見出している。個々の苦悩も俯瞰すれば代々繰り返されるものに過ぎないといった見方である。

具体例としては大江健三郎と中上健次が挙げられている。中上作品は家の書棚にあったのだけど、結局手にとらなかった。

……ファンタジーを「子供だまし」として俗なものを拒絶する心理がちらりと見える箇所がある。

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シイラでラーメン

浜田水産高生が「シイラーメン」開発 島根で水揚げのシイラ、あっさり食べやすく 12月~来年1月に販売会
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/902200

シイラは山陰では割と普通に食べる魚で、僕も子供の頃は刺身を食べたりしていた。全国的にはそれほどでもないかもしれない。ハワイではよく食べていて、ステーキにしたりもするんだとか。……僕の食に関する知識はほとんどグルメ漫画由来だけど。

前にのどぐろラーメンもあって出来は悪くなかったけど定着しなかった。食品の難しいところだと思う。浜田ならではのご当地ラーメンを開発したい思惑もあるのかもしれない。

……横浜にいたとき、桜木町の中央図書館に行った帰りに家系フォロワーの店に寄ることがあった。家系の豚骨ベースのスープはかなり味が濃く、ときどき食べればいいかなくらいな感じだった(※なので、ご飯を一緒に注文する人が多いらしい)。あるときメニューに竹岡式ラーメンなるものが追加されていたので、知らずに注文してみたがさっぱりしていてよい対比となっていた。何でも千葉県発祥のラーメンで本来は簡易的な作り方のものだそうだ(※これもグルメ漫画由来)。ちなみに二郎系は食べたことがない。

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2025年11月24日 (月)

浜田藩士と接触があったか――太田南畝

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第45回の本編後の背景紹介のコーナー、今回は太田南畝だった。鏡山事件についてはどこの藩で事件が起きたのか複数の説があるのだけど、南畝は浜田藩での事件としている。何で読んだか忘れたが、浜田藩の藩士と接触があったと考えている記述を読んだ記憶がある。

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さすがに付き合いきれんわ

ホームページにAIクローラー除けのrobots.txtを設置する。ココログは現状それに対応した機能がないので静観する他ないが。

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結局行けず――グラントワ・創作石見神楽公演

圧巻美声に酔う大蛇 小林幸子さん、石見神楽共演 益田で創作舞台
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/901491

グラントワ大ホールで石見神楽の創作舞台が上演された。見に行きたかったのだけど、週に二度益田まで往復するのは今の体力ではしんどいと考えたりして結局行けなかった。

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2025年11月22日 (土)

邪馬台国米子説

邪馬台国、淀江にあった!? 根拠解説の冊子が話題に
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/900792

邪馬台国米子説を取り上げた記事。「やりすぎ淀江伝説」というタイトルで、半分ジョーク。米子だと出雲と吉備に挟まれる形となるので、ちと厳しいかもしれない。

米子の弥生遺跡は紀元前一世紀くらいから形成されたのだったか。横浜の大塚歳勝土遺跡は紀元後くらいかららしいけれど、丘陵地を削って集落を形成したとみられるので、その時点で結構な土木技術があったことは窺える。北九州は知らないけれど、どれくらいまで遡れるのだろう。

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2025年11月21日 (金)

いずれ首都圏と地方とで分断が深まるかも――田村秀『自治体と大学―少子化時代の生き残り策』

田村秀『自治体と大学―少子化時代の生き残り策』を読む。国立、公立、私立の各大学と自治体との関わりについて戦前から現在までの沿革が解説されている。詰まるところ誘致と撤退の繰り返しだけど、古くは九州帝国大学をどこに置くかで福岡県と熊本県とで綱引きがあったとのこと。戦前からの慣行として自治体が用地の提供といった便宜を図って誘致を有利に進めようとしていたことが明らかにされている。

地方への大学の誘致には困難さも伴い、たとえば福島県だと郡山市は交通の要衝でありつつも必ずしも上手くいかなかったそう。一方で会津若松市の会津大学は公立大学、また周辺が産業の集積地ということもあって成功事例となっている。

自分は島根在住だけど、学生を極力県外に流出させないような方針が見てとれる。最近だと、益田市にIT技術者養成系の短大を設立する計画が報道されていた。これまで県外の専門学校に流出していた学生を県内に食い止める動きだろう。ちなみに出雲市はIT技術者の集積地となっている。

鳥取県の鳥取公立環境大学は鳥取県と鳥取市とが設立の主体となっているそうだ。

公立大学が地方の学生のセーフティネットとなっている現状にも触れられている。実際、高校の進学実績をみても地元志向が明らかで、いずれ首都圏と地方との分断が深まるかもしれない。

……AIの性能が飛躍的に向上して先行きが不透明な時代なので、地方で手に職をつけた方が堅実な暮らしができるのかもしれないといった感もある。

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2025年11月19日 (水)

今回は様子見だけ――浜田城資料館(御便殿)

通院したついでにゆめタウンに行き、帰りに浜田城資料館(御便殿)の外見だけ写真に撮って帰る。

浜田城資料館(御便殿)
浜田城資料館(御便殿)
御便殿は大正天皇が皇太子時代に行幸した際、宿泊した施設。

Galaxy A23で撮影。

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2025年11月16日 (日)

島根県立大学舞濱社中と比治山大学神楽部の合同公演を鑑賞――いわみ文化振興センター 2025.11

いわみ文化振興センター・抱月会館で開催された島根県立大学・石見神楽舞濱社中と比治山大学・神楽部の合同神楽公演を鑑賞する。

いわみ文化振興センター:浜田市下府町

早めに会場入りする。入場料無料ということで深く考えてなかったのだけど、受付でお花を募っていて慌てて「裸のお札ですみません」と使用感ありありのお札でお花を打つ。同じ時刻に来場していた男性が受付の女学生さんと話すのが聞こえる。一人は大阪出身、もう一人は松江出身とのこと。松江では神楽はみたことがなかったらしい。その神楽が石見神楽を指すのか出雲神楽も含むのかは分からない。

いわみ文化振興センター・抱月会館
抱月会館・ステージ

パンフレットによると、舞濱社中は平成25年設立とのこと。比較的新しいサークルだが、それでも10年以上の活動実績があることになる。部員は県外出身者が多いそうで、19名いる部員は女子の方が人数が多いとのこと。宇野社中に指導を仰いでいるそうで、たまたま僕が座った席の近くに関係者らしき人がいた。「上手くなったら卒業していく」と惜しむ声が聞こえた。

公演活動はコロナで一時中断していたが今年再開したとのこと。今後は高校の神楽部とのコラボ等で規模を拡大していきたいとのこと。

比治山大学は今回が初参加とのこと。広島県内で唯一神楽部がある大学とのこと。比治山は「ひじやま」と読むと知る。

芸北神楽の演目はこれまで生でみたことがなく、大朝辺りなら行けなくもないなと考えていたのだけど、Uターン後はどうも体調が思わしくなかったり車も老朽化したりで遠出していないのが現状だった。今回、広島の団体が出張公演してくれたお陰でライブで鑑賞する機会に恵まれた。

演目は、

・神迎え(県立大)
・八岐大蛇(比治山大学)
・八幡(県立大)
・土蜘蛛(比治山大学)
・恵比寿(県立大・比治山大学合同)
・頼政(県立大)
・滝夜叉姫(比治山大学)
・塵輪(県立大)

神迎え・はじまりの儀式舞
八岐大蛇・オロチのフォーメーション
八岐大蛇・スサノオがオロチの首を斬る
八幡・魔王を射る八幡麻呂
土蜘蛛・正体を現した胡蝶
恵比寿・退場する二人恵比寿
頼政・猿に包囲される長吉
頼政・鵺を斬る猪早太
滝夜叉姫・姫と手下二人、片足を軸にその場で回転
塵輪:帯中津日子と高麻呂
塵輪・鬼と対峙する帯中津日子

11時から17時前(※若干時間が押した)と約6時間の公演時間。屋内だったから何とかなったが、オープンエアだと厳しかったかもしれない。コロナ前に比べて耐久力が完全に落ちている。

観客は40~50人といったところか。もっと入るかと思っていたので意外だった。

神迎えはククノチの神と口上が聞こえたので、それら四神が舞うということだろう。本来の神楽らしい演目とも言える。照明はLEDを何色かで切り替えていた(※ほんのりとした程度だけど)。色によっては衣装がくすんで見えたので、使いどころは試行錯誤の段階なのかもしれない。

※なお、演出は時代によって変わるのだから効果的に使えればそれでいいのであって、LED照明を使うなといった話ではない。

大蛇はクシナダ姫や爺婆は登場しなかった。蛇胴も石見のよりきらびやかな感じだった。大蛇が桶を落としてしまう小さなハプニングがあったが、却ってあの場面は思っているより難しいのだなとの気づきが得られた。

八幡は八幡麻呂役の女学生さんは一年生で神楽をはじめてまだ半年とのことだった。石見神楽で女性が舞手を務めるのをみること自体、今回初めてだった。鬼役の男子は福岡出身で別系統の神楽をやっていたとのこと。

土蜘蛛は謡曲由来の演目。好きなお話なので今回鑑賞できてよかった。

恵比寿は合同公演ということで恵比寿さんが二人登場した。関東だと恵比寿さんと大黒さまの組み合わせになるか。飴をもらう。

頼政はお猿さんが観客席に乱入する恒例の展開。長吉(お百姓さん)が飴を配っていた。

滝夜叉姫は胴取りの学生さんがノリノリだった。滝夜叉姫は平将門の娘という設定である。将門公は朝敵だけど現在では関東平野の守護霊と転化したとも解釈可能である。

塵輪は神役が二人とも女性だった。仲哀天皇役の人は頼政で猪早太も演じていて、二演目めでは主役だった訳だけど、さすがに疲れているようだった。

これは無理もないことで、たとえば格闘技や武道の試合だと一瞬も気の抜けない状態で全力で動けるのは数分が限界だろう。勝ち進めばインターバルを挟んで何試合かすることになるが、トータルでは30分くらいだろうか。

公演終了後、ステージに寄って両大学の部長に今回撮影した写真のネットへのアップロードの許可を頂く。神役は直面で演じる演目が多く、肖像権にはセンシティブにならざるを得ない。(女性も多いので)そういう写真は外しますと断りは一応入れておいた。


……頼政で猪早太、塵輪で帯中津日子(仲哀天皇)を演じた女学生さんが今回印象に残った。僕の座っていた席はホール下手中央の出入口に近かったのだけど、そこで猪早太がスタンバイしたのを見上げて、その凛々しさが印象づけられた。男装が凄くそれらしく見えるというか、女性客にきゃーきゃー言われそう。舞台に映える容姿の持ち主なのかもしれない。神楽に限らず、卒業後も舞台に関係した趣味を続ければいいのではないか。

カメラはパナソニックGX7mk2、前半は12-35mmF2.8、後半は35-100mmF2.8を使用。マイクロフォーサーズは軽く見られがちだけど、F2.8通しのズームレンズが360gと軽量なのが取り柄。APS-Cでも同じようなスペックだと700gくらいとなってしまい、長時間振り回すことは厳しくなる。

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2025年11月15日 (土)

6次産業ではマーケティングの実務家が不足している……らしい

矢上高生が農産品販売 産業祭で地域と交流 ダイコンやみそ豚丼も
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/896593

この記事を見て、6次産業という言葉を連想する。6次産業とは1次産業×2次産業×3次産業で、生産→加工→販売の一連の過程をカバーする経営形態らしい。

・大西千絵, 加藤弘祐, 森嶋輝也「6次産業化の課題と支援方策―テキストマイニングと自己組織化マップによる接近―」『農業経営研究』60(2)(日本農業経営学会/編, 日本農業経営学会, 2022)pp.1-14.

という論文を偶々読んでいた。この論文はおそらく関係者にヒアリングした内容(自然文)をテキストマイニングにかけ、自己組織化マップ(Self-Organizing Map: SOM)という手法で分析を行ったもの。近い内容のキーワードが周囲にマッピングされ(※マッピングされる位置に特定の意味はない)、またクラスタリングもされている。そこから大まかな傾向を読み取っていこうとするもの。

そこで挙げられていた課題は、第一にマーケティングであるという結果であった。僕はマーケティングは門外漢なのだけど、やはり量的分析と質的分析とに分かれるのだろうか。6次産業の商品企画・開発段階でそういった知識/スキルを持った人材が現状不足しているということだろう。

……まあ、実際難しいとは思う。浜田だと、ノドグロふりかけは定着したけど、ノドグロラーメンは定着しなかった。あれも出来は悪くはなかったけど。食品は定番化したもの以外の入れ替わりが速いとはコンビニやスーパーの棚などを見ていて思う。

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2025年11月14日 (金)

国際関係学部と地域政策学部とで県内就職率に開きが――島根県立大・浜田キャンパスの就職内定状況

就職内定率5ポイント減の73% 島根県立大、10月末時点
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/895532

島根県立大、浜田キャンパスには国際関係学部と地域政策学部がある。それぞれの県内就職率は国際関係学部で一割を切り、地域政策学部は三割近くあるといった具合でかなり差がみられる。地域政策学部は地方公務員志向の学生も多いだろうし、公務員でなくとも地元企業を志向する傾向にあるのかもしれない。国際関係学部は語学力を絡めたコミュニケーション能力を活かせる就職先が県内に少ないのかもしれない。あるいは、国際関係学部の方が多様な地域からの学生を多く集めているのかもしれない。

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2025年11月11日 (火)

論文集だった――M・パノフ『無文字民族の神話』

M・パノフ『無文字民族の神話』(大林太良, 宇野公一郎/著訳)を読む。オセアニア、東南アジア(大林)、ウラル諸族、シベリア、エスキモー、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ、アフリカの神話に関する論文が収録されている。

生成AIに無文字社会の神話が収録された本が無いか訊いたところこの本を勧められたのだけど、神話そのものではなく論文集だった。むしろレヴィ=ストロースの『神話論理』の方が個々の具体的なお話が収録されていた感がある。それらはどちらかというと民話寄りの内容だろうか。別の本を読む必要がある。

基本的には創世神話と文化英雄とを中心に論じられている。どちらもことの起源に深く関わる内容だからだろう。

印象に残ったのは中央アメリカのアステカ神話。アステカの宇宙観は太陽の勝利と敗北の繰り返しであり、その継続には血を要する血なまぐささのあるものとなっている。それがスペイン人に極めて野蛮と見なされ滅亡の要因ともなった。

南アメリカだとインカは記録の類が焼き払われてしまったのだったか、二度と取り戻せない損失である。

東南アジアの神話には日本神話、特に海幸山幸神話と類似性をみせるものも多い。やはりワニは元は爬虫類のワニだったのではないか。

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2025年11月10日 (月)

安国寺の法要に行く 2025.11

家族と母方の叔母とで安国寺に行く。開山忌、千手観音の開眼式(※修復と聞こえたので色を塗り直したのだろうか、ピカピカだった)、お寺に所縁の和尚さんの五十回忌、百回忌が執り行われた。

終了後、錦町の山源というお店にいって昼食を摂る。お寿司はどれも地魚とのことだった。マグロが無いのが有難い。あれで一品枠を使ってしまうから。壁のメニューをみると、ウチワエビのフライが1200円だった。

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2025年11月 6日 (木)

アニメの構造主義的分析――川﨑瑞穂「百合の神話論理序説―アニメ『明日ちゃんのセーラー服』第9話の範列分析―」

・川﨑瑞穂「百合の神話論理序説―アニメ『明日ちゃんのセーラー服』第9話の範列分析―」『比較文化研究』149(日本比較文化学会, 2022)pp.123-136.
・川﨑瑞穂「百合と紫陽花―アニメ『やがて君になる』第8話の範列分析―」『比較文化研究』145(日本比較文化学会, 2021)pp.39-52.

という論文を読む。ここでいう範列は言語学の範列とは若干異なり「範列的」とした方が正確なようだ。双方の論文とも紫陽花が作中の重要なモチーフとして登場するが、それらの連鎖を範列的とみることで分析を進めていっている。その点で、(花言葉といった)象徴分析より一歩進んだとしている。

なお作中では、紫陽花といった象徴について、意味するものと意味されるものとで、象徴物が指し示すものがなく空虚であるとしている。

「神話論理」とはレヴィ=ストロースの同名の本からで、レヴィ=ストロースの分析手法が映像作品の分析に援用されている。

社会学者の橋爪大三郎氏はレヴィ=ストロースの分析を「名人芸的」と形容したが、本論文ではマトリクス形式に落とし込む形で自家薬籠中のものとしている。ただ、もう少しかみ砕いて分析手法を解説してくれれば……と思わないでもないが、それは論文の目的とするところではないので仕方ない。

百合は女性同士の恋愛感情を含んだ関係性を描いた作品を指す。「明日ちゃん」は女子校が舞台だけど主な登場人物は中学一年生で恋愛要素は無いに等しい。ちなみに、検索したところ、著者は男性だった。まあ、男性が百合作品を好むことは珍しくはない。BLを好むことは少ないだろうが。

読んでいて、コードという用語がピンと来ないなと思う。音楽だとコード進行、プログラミングだとソースコードといった風に用いられるが。

マトリクスでは心理的コード、社会的コード、身体的コード、植物的コード、気象的コード(明日ちゃん)、身体的コード、言語学的コード、社会学的コード、気象学的コード(やがて君)という風に列を設け、それぞれの項目を埋めていく(※空白になる行もある)。気象学とあるのは紫陽花が梅雨時に咲く花で雨と深い関わりがあるからだと推測される。

両作とも漫画からアニメ化されることとなったのだが、媒体の違いもあってアニメ化の際に改変が施されることはままある。本論文ではそれをヴァリアントと呼んでまさに神話的な異伝的なものとして比較考察の対象としている。

「明日ちゃん」の原作者は男性で監督はおそらく女性だが、こういった象徴的なモチーフの連鎖は自家薬籠中のものとして「こうすればこうなる」とほとんど無意識的に構成しているのではないか。そうした方が収まりがよくなるからそうするのだと思う。

余談。
去年の今頃、有楽町に「明日ちゃん」の原画展を見にいった。銀座から一駅歩く程度だったのだけど、それで息切れしてしまう有様だった。引っ越しの準備で疲弊していてそれがピークに達していた時期だった。

ちなみに、分析した図解(マトリクス)は『やがて君になる』論文の方が見易い。

<追記 2026.02>
『やがて君になる』をバンダイチャンネルで視聴する。視聴してストーリーを把握することでようやく論文が実感を伴ったものとなる。範列分析のマトリクスも何となく分かったような気がする。

論文で分析の対象となっている第8話はヒロインである侑と生徒会長である燈子との距離が縮まる、つまり作中での転調となっている回という印象。侑は受身な態度からわずかにだが能動的な態度をとりはじめる。

第8話では紫陽花のカットがしばしば挿入される。おそらく映像作家はモンタージュ論的にこのカットを捉えているのではないか。一つのカットで必ずしも完結した意味を持つとは限らないのである。

紫陽花から連想されるイメージ
・季節は六月。梅雨の時期
・株によっては同じ株に青い花とピンクの花との両方が咲くこともある
・青とピンクとのコントラスト
・濡れた紫陽花、ウェットなイメージ
・単なる場面の区切り

……といったところか。まあ、解釈に絶対はなくいかように解釈してもいいのだけど。

侑と副生徒会長である沙弥香との関係はリレーのバトンに象徴される。沙弥香も燈子を慕っており、三角関係のような構図なのだけど、ここでは生徒会委員同士として息が合う/合わないといったレベルの話。冒頭では上手くいかなかったバトンの受け渡しが終わりでは上手くいく。関係に進展が見られたことを象徴するシーンとみることができる。

<追記>
第8話、二度目の視聴。挿入される紫陽花のカット、いずれも同じ株に異なる色、青と黄、青と紫といった二色の花が咲くタイプの紫陽花だった。

<追記>
「明日ちゃんのセーラー服」第9話を視聴する。この回ではやはり紫陽花がモチーフとして多用される。ショッピングモールにクラスメイトたちと買い物に出かける回なのだけど、当初、紫陽花は押し花の栞として登場する。その栞の紛失に気付くのがAパート終わり。Bパートからは栞を探すシークエンスとなる。無事回収し終えた後、雨の中、今度は紫陽花が咲き誇っている中を明日ちゃんたちが濡れながら歩いていくシーンとなっている。

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いわみ文化振興センターで大学生の神楽が開催されます

11月16日(日)、浜田市下府町のいわみ文化振興センターの抱月会館で島根県立大学・石見神楽舞濱社中と比治山大学・神楽部の合同公演が開催されるとのことです。開場は10:00~、開演11:00-16:30の予定。入場料は無料。写真撮影可(※フラッシュ禁止)、動画撮影禁止。

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2025年11月 5日 (水)

合区では格差三倍がおおよその目安か

7月参院選「違憲状態」 高裁松江 1票の格差3.13倍 全国4例目
山陰
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/889924

7月に実施された参院選、一票の格差が3.13倍を松江高裁は違憲状態としたという報道。添付された図によると、島根鳥取が合区となって以降、合憲とされてきたが今回違憲とされた。格差三倍前後がおおよその目安となるようだ。

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浄土真宗の「神棚降ろし」運動と呪術的思考の排除について

市川訓敏「安芸門徒と『神棚降ろし』」という論文を読む。江戸時代末期に起きた浄土真宗を巡る宗教運動である。

神棚降ろし、具体的に神棚を降ろした後どう処分するのかまでは分からないが、他に大麻(天照大神の護符)を家から取り除く、加えて位牌までも取り除く、更には墓所すら軽視するものであったという。遂には神棚が安置されているか町役が一軒一軒見廻りを行う事態にまで発展した。

この運動は真宗が組織した講における説法で広まっていったものと考えられる。

真宗の主な指揮系統は、

西本願寺――光照寺(現福山市)/仏護寺(現広島市)・十二坊――各末寺

といった感じか。光照寺はおそらく福山藩領なので広島藩では仏護寺とその十二坊と呼ばれる寺院が中心となったと思われる。芸北だと現在三次市にある照林坊の末寺が多いはずだが、照林坊が当時どこにあったかまでは分からない。

広島藩から咎を蒙った(処罰された)とする記録が残されているが、それに屈することなく神棚降ろしは継続していく。

これに対しては神道関係者からの反発もあったようだ(神道講談事件)。広島藩自体が厳島信仰を奨励していたことも背景にあるとのこと。

運動は広島にとどまらず真宗地帯に広がったと推測されているが、本論文では広島県に限った考察となっている。

広島で神棚降ろしを主導していたのは十二坊の一つ報専坊の慧雲という学僧とされる。慧雲は芸轍(げいてつ)と呼ばれる安芸国が輩出した真宗の学僧の一派の祖とされる人物である。芸轍は本願寺の学林との論争に勝利する、つまり地方の学派が中央に勝利するといった華々しい実績も挙げている。

背景の一つとして大阪で大塩平八郎がキリシタンを摘発したが、実際には祈祷師でキリシタンではなかったことが判明したという事件が挙げられている。誤認捜査で本来なら幕府の失策であるが、振り上げた拳を降ろす訳にもいかず、関係者は断罪されたとのことである。加えて幕府は宗門改めを実施する寺院の怠慢と責任転嫁し、破戒僧の取り締まりも強化した(※真宗は肉食妻帯を許容している)。これは真宗にとって圧力となり本願寺は傘下の末寺に対する統制を強化していくことになったとしている。結果、備後国の光照寺では傘下の三百を超える末寺に対して神棚降ろしの運動を推進していくこととなった。それが王法に叶うこととしたのである。これは転倒したロジックと言えるかもしれない。

真宗は元々雑行雑修を排するという態度であり、余神・余仏を排除する姿勢が強化された。これが神棚降ろしを不敬であるとする広島藩の施政方針との食い違いの原因となったとしている。この点、幕府や朝廷に融和的な態度をとらざるを得なかった本願寺の抱える矛盾と指摘できなくもない。

本論文では安芸と備後の差、おそらく安芸の方が徹底していると推測されるが、なぜそうなるかまでは明らかとなっていないように思える。やはり芸轍の学僧という主導者が広島藩領で活発に活動していたとみられることが大きいのだろうか。

……で、感じるのだが、身近なところでは護符の類を否定する、つまり呪力の否定/呪術的思考の排除という姿勢が見受けられる。開祖親鸞の師である法然自身、祈祷による病の治療には否定的であったとされ(※雨乞いに関しては記述がなく不明)、当時としては(限界はあったものの)合理的な思考の持ち主であったとも考えられるが、時代が下って呪術的思考を排する傾向が強まっていったとも見ることができるように思われる。

余談。
論文中で引用された史料に関してはほとんど読み飛ばしてしまった。語彙自体は現代とさほど変わらないのだけど候文は読みづらく感じる。一度候文の読み方の本でも読むしかなさそうだ。

石見門徒という呼称もあったことを知る。浜田藩でも他宗に論争を仕掛けて最終的に幕府の裁決を仰ぐまでに至ったという事件があったそうだが、それが真宗の僧だったかまでは記憶していない。

◆参考文献
・市川訓敏「安芸門徒と「神棚降ろし」」『比較法史研究』3(比較法史学会/編, 1994)pp.85-112.

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2025年11月 4日 (火)

盆踊り、世界に広がる

「NHKスペシャル 新ジャポニズム 第5集 盆踊り 世界をつなぐ情熱の輪」をNHK ONEでみる。盆踊り、海外の人には物足りないのではないかと思ったら、振り付けが簡単であること、間違えてもいいといった緩さが受けているようだ。前の人を真似て適当にやっていればいいような感じだし。

マレーシアではイスラム教徒が6割を占めるとのことで、盆踊りは宗教行事か文化行事かの論争が定期的に起きるとのこと。まあ、元々お盆にやる踊りだし。しかし、祖先の霊を祀るというのはどちらかというと中国の道教由来だろうか。仏教だと本来は四十九日を過ぎたら輪廻転生してしまうという解釈のはずだから。いずれにせよ日本独特の緩さというか融通無碍さが幅広く受容されている要因のようだ。櫓を中心にグルグル巡る踊り、これは他国でも似たような事例があるのだろうか。番組中ではマレーシアのイスラム法学者が祖先の霊を招くと解釈していた。ブラジルのマツリダンスでは櫓はあるものの用いられず、皆ステージを向いて踊る形式だった。ちなみに、民俗学者の俵木悟教授のコメントもあった。

横浜時代、近所の小学校の校庭で盆踊りをやっていた。太鼓は叩く人がいるのだけど、唄はテープで東京音頭かアラレちゃん音頭だった。若い人はほとんど踊らず、おばちゃんばかりが踊っているのが現状だった。

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2025年11月 3日 (月)

雲伯地方(宍道湖中海圏)は案外IT技術者の集積地だった

山陰中央新報デジタルの購読を初めてしばらく、出雲地方はIT技術者の集積地であることが分かった。松江はRubyというプログラミング言語の開発拠点であったりするのだけど、出雲市にもIT技術者が多くいるそうだ。

海外からの人材も増えているとのこと。ウクライナ戦争のあおりで東欧からの技術者が訪日するケースもあるとか。雲伯地方ではインドとの交流を進めているそうで、その線もあるか。

石見地方に在住のIT技術者は少ないらしい。石見には大規模な事業所が少ないと思われるので情報システム化が遅れた、あるいは石見地方に本拠を置く会社が少ないという理由もあるだろう。

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ローカル線の場合、そもそも利益が出ないし――JR西日本・山陰沿線の主要データ

木次線・出雲横田-備後落合、収支率0.2ポイント悪化2.7% JR西22~24年度
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/886367

山陰地方と関連する路線の主要なデータの一覧表が掲載されている。輸送密度、鳥取―浜坂間は益田―出雲間より若干下回るものの結構人の移動はあるのだなという印象。赤字額では益田―出雲間が最も大きいのであるが。木次線は出雲横田―備後落合間の輸送密度が非常に低い。芸備線も庄原―新見間の輸送密度はかなり低い。山口線は宮野駅がどこか分からないがそこそこといった印象。山陰本線も益田以西の輸送密度はかなり低い。

鉄道の場合、利益を出すのは特急列車で、というビジネスモデルだそうで、ローカル線の収益はどうしても厳しくなる。

……若い頃、新見駅から芸備線に乗ったことがあるが、確か備後落合までは山間を走っていたような記憶がある。そもそも人がそんなにいないし中国道もあるし、といった状況で、免許を持たない若い世代とお年寄りくらいしか利用者がいないのだろう。

兵庫県でも以前、小野市沿線の私鉄の存廃が話題になった。神戸市に繋がる路線なのだけど、それでもそんな話になる訳だから山陰の路線が厳しい状況なのは当然といえば当然の話である。

<追記>
輸送密度の定義は1日1キロあたりの平均利用者数で、採算ラインは2000人ほどとのこと。益田―出雲市間が800人台、鳥取―浜坂間が700人台なので厳しい数字ではある。ただ、特急の走る幹線とローカル線とで条件が異なるので、そこら辺の詳細までは分からない。

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ここが開通すれば益田―出雲間はほぼ全通のはずだが――山陰道・福光浅利道路の進捗状況

福光・浅利道路 事業費200億円増 山陰道、追加工事も
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/885626

山陰道、江津市の未開通区間である福光・浅利道路に関する記事。2025年度末の進捗率は40%ほどとの見通し。開通時期はまだ明らかにされていないが、2030年前後くらいな感じだろうか。ここが開通すれば益田から出雲までほぼ全通という形にはなるか。浅利IC以西は現道活用の方針らしいが。

……ここは割と大きめのガソリンスタンドと道の駅が国道9号線沿いにあるけど、そこに下りて給油するといったことは可能なのであろうか?

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2025年11月 2日 (日)

保護貿易の長期的弊害――野口悠紀雄『アメリカが壊れる!』

野口悠紀雄『アメリカが壊れる!』を読む。主に米国の第二次トランプ政権の関税政策について解説した本。保護貿易は長期的には競争力を削いでしまう結果に終わるはずだが、一次政権の頃はまだブレーキ役がいたのだなという感想。

テクノロジーの力でイノベーションを起こしまくっている最中に、それ故に格差が拡大して中流層が崩壊、政治的には混迷期に突入……といった様相。生きている内に目の当たりにするとは思わなかった。

まあ、敵の敵は味方理論で自陣営に引き込もうとした結果が今なのだから、今更な感はある。

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2025年11月 1日 (土)

引っ越しから約一年経過

11月になった。去年の11月に横浜からUターンして約一年が経過した。引っ越しのあれこれで疲弊しきっていて、その疲れが抜けるのに一年近くかかったという印象である。栄養ドリンクや養命酒などを飲んでみたりクエン酸のタブレットを舐めてみたりしたけど効果は特に感じられなかった。未だ完全には復調していない。引っ越しを契機に体調を崩してしまった感がある。定期的に通院はしていて血液検査での数値には特に異常は認められないのだけど。近距離でも(寒かったり酷暑だったりで)車で移動していることあって以前にも増して運動不足となり疲れやすくなった。今年は執筆の下準備を進めていたこともあって遠出しづらい状況にあった。下準備は年内には終わるペースで進んでいるけど、来年はその記事化と積読本の消化に注力しようと考えていて、やはり遠出はあまりしないかもしれない。それでもグラントワや石央文化ホールには割と通った方だとは思う。

今後、再度引っ越しするとしても市内だろうし、廃棄すべきものはあらかた処分済で再度段ボールに積み直せばいいだけではあるので前回のようなことにはならないだろう。とはいえ、しばらくはご免である。

……この一年ほどで体調を二度崩して「ひょっとして残りの寿命、少ないかも」と思ったりもしたので(※実際にはそこまで深刻ではないはずですが)今進めていることは何としても形にしたいというのが正直なところである。

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