グラントワに行く 2025.09その2
午前10時過ぎに出て11時過ぎにグラントワに入る。森英恵展初日ということもあり駐車場の心配をしていたのだけど、無事確保できた。まず喫茶店で昼食を摂ってから森英恵展を見学する。
若くして頭角を現した人は違うなと感じさせられる。東京女子大卒業後、結婚したが洋裁を学んだとある。配偶者が繊維関係の仕事をしていたとのことで理解もあったのだろう。デザイン力だけでなく自己プロデュース力にも優れていたと思われる。新宿に開いた店で注目を集め映画の仕事を得て人脈を拡げていっている。渡欧、渡米してからの着眼点も優れていた。蝶のモチーフは出身地である吉賀町での記憶がベースにあるとのこと。
津和野藩所縁の絵画、主題は繊細、緻密に描き、背景の松の枝等は省略の意味合いもあるのか荒々しいタッチで描いている。写実一辺倒の西洋美術とは異なる魅力がある。
2時間ほど鑑賞してしばらく中庭で休憩する。水を張っているのだけど、トンボが産卵していた。あそこはビオトープではないのだけど、卵が孵化してヤゴになったとして生きていけるのだろうか。
夕方から小ホールで地元劇団による二本立ての演劇を鑑賞する。収容人数は462人。小ホールとはあるけど、実質的には中ホールである。客入りはよかった。どちらも一幕もので約一時間の上演時間。背景はプロジェクターで投影されているのだろうか。デジタルサイネージだとかなり大きなものになってしまうが。美術のコスト削減には繋がる。
まず益田の市民演劇集団ドリームカンパニーの「今宵、自販機コーナーで…」が上演される。調理師のおばちゃん的な登場人物が二名いるので道の駅的な施設だろうか、自販機コーナーに集まる常連客たちを描いた劇。口裂け女が出るという噂を聞きつけてやってきたルポライターの前で常連たちのドラマが繰り広げられる。
浜田の創作てんからっとは「LIFE goes on, bra!!」。物忘れが激しくなった舞台女優が浜田にUターンしてきて……といった形で始まる。僕は舞台はアリバイ程度にしか見ていないけど、NHK FMシアターは長年聴いていて、これがオーディオドラマならAIと人との交流に重点が置かれるかなと思った。
僕は演技力の類はよく分からない性質だけど、下北沢でみた劇団とさほど変わらないように思った。ある水準に達するとそこからは大きくは変化しないのかもしれない。
脚本は書式を憶えれば割と書けるようにはなると思う。それがドラマとなっているかは別として。だが、戯曲は脚本のように場面転換ができず、固定された舞台に人物の出入りでストーリーを展開していく形となるので途端に難易度があがる。経験者でないと書けないかもしれない。少なくとも僕には無理だ。
……地方小都市に必要なのはむしろ小ホール、中ホールなのかもしれない。政令指定都市だと区民ホールが中ホールくらいの規模である。
終わると外は大雨となっていた。雨の夜道は見づらく対向車がいない場面ではハイビームにして注意して走る。
<追記>
今回、メールで予約したのだけど、担当氏から返信が来る。公演ペースは団員の家庭の事情(仕事、子育て、介護etc)で年一回くらいが限界らしい。これはこれで書籍では得られない市民劇団特有の事情に関する貴重な情報ではある。
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