NYではラーメン一杯3000円――ポール・クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』
ポール・クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』(山形浩生/訳)を読む。ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授による経済読み物。2008年のリーマンショックから数年後の経済について語られている。経済学は全くの門外漢だが分かりやすく書かれている。クルーグマン教授はケイジアンの立ち位置と知った。基本的には積極財政派と財政規律派との二項対立の図式となるようだ。基本的には積極財政派と財政規律派との二項対立の図式となるようだ。本書の刊行は2012年。それから十数年、「ニューヨークではラーメン一杯3000円」といったインフレ具合だそうだ。ハイパーインフレな訳ではないけれど、庶民には厳しいらしい。政権交代の一因となった。米国の国債発行額の対GDP比は100%台前半で日本の200%といった水準に比べればまだ安全圏にあるとは言えるかもしれないが、額が巨額で利払い費も巨額となるため長期金利を上げることに心理的なブレーキがかかっている状況だろうか。
……正直な話、生きてる内に米国が混迷期に突入するとは思ってなかったが。
過去の歴史に照らし合わせれば、勃興→成長→繁栄→停滞→混迷→衰退といった過程を辿ると推測されるが、米国の場合、イノベーションを起こしまくっているある意味絶好調な状況下で水面下で分断が進行しつつある……といったところか。
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