質的分析と量的分析の融合はなるか――内田諭, 大賀哲, 中藤哲也/編『知を再構築する 異分野融合研究のためのテキストマイニング』
内田諭, 大賀哲, 中藤哲也/編『知を再構築する 異分野融合研究のためのテキストマイニング』を読む。主として基礎編と実践編とに分かれていて、実践編では言語学、情報学、図書館情報学、政治学、教育学、社会学、看護学、社会調査、デジタル・ヒューマニティーの分野での活用事例がそれぞれの著者によって語られている。
特に難しい数式などは掲載されていない。実践編ではKH Corderを用いた事例が多い。使用頻度の高いキーワードを一覧化して、Jaccard係数を付記した表が案外分かりやすい印象だった。
「テキストマイニング」と「計量テキスト分析」は使い分けられる傾向にあった。計量テキスト分析は質的分析と量的分析の融合として期待されていることが分かった。ただ、表記ゆれの問題や、コンピュータは文脈を読めないという課題は残さていると指摘あり。
社会調査ではライフヒストリーが取り上げられるのだけど、人生のステージによって同じキーワードでも共起関係が異なってくることが指摘されていた。デジタル・ヒューマニティーは膨大な仏典のデータベース化の話で、漢字の場合、古典だと異体字に悩まされたりするけれど、まさにそういった内容であった。Unicodeになってかなり改善されたそうだが、それでもまだ改善点は残されているとのことである。
あまり関係ないのだけど、政治学は国際政治に関してのものだったのだけど、近年ではイズム論は忌避され折衷的な傾向にあるとされていた。イズム論は解釈の枠組みや行動規範といった形で実践されるので無くなることはないとは思うが、言ってしまえば「べき論」であり、つまり当為である。べき論ありきでモノを見てしまいがちになってしまうことが忌避される背景にあるのだと思う。
ただ、アンケートの質問事項を読んで、実際には状況に応じてそれぞれのイズムを使い分けている人が多いのではないかという印象を抱いた。リベラリズムは社会に余裕があることが背景にあるだろう。リアリズムは社会に余裕がなくなってきている証でもあるし、近隣諸国とはとかく利害が対立しがちである。
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