批評家は世代交代しつつあるが――『いま批評は存在できるのか』
三宅香帆, 森脇透青, 松田樹, 大澤聡, 東浩紀, 植田将暉『いま批評は存在できるのか』(ゲンロンセレクト 007)を読む。
批評とは個々のコンテンツを通じて社会を論じるあり方とある。また「奇妙に思弁的な散文」ともある。フォーマットが定められた論文とは異なる自由な書き方が認められている執筆活動ともとれる。
メインコンテンツは座談会。三宅さんを男性陣が挑発したところ、苛立った三宅さんの反撃を喰らい、以降、三宅さんのペースで進む……といった感じか。
僕自身は、蓮見―柄谷―浅田というラインが好きではないので(※読み込んだ訳ではないが)、その系譜が先細っても別に……といったところではある。東氏はまたキャラが異なるが、第二次トランプ政権発足直後のSNSでの右往左往っぷりをみると「ひとり勝ち」と本当に言えるのだろうか。
令和の時代、文壇や論壇の重鎮に収まったところで、銀座の高級クラブでちやほやしてもらえる訳でもなかろう。批評の担い手は現在三十代の若手に世代交代しつつあるようだが、彼らが目指すところは何なのか。
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