アフォーダンスについてはまあ何とか――小島寛之『数学でつまずくのはなぜか』
小島寛之『数学でつまずくのはなぜか』を読む。僕自身は高校数学でつまずいた口である。おそらく頑張れば式の展開くらいはできるようになるとは思うが、応用問題となると途端に設問の意味がとれなくなってしまう。参考書でたとえると黄チャートならなんとかだが、青赤チャートだと歯が立たない。そういう意味では高校でいわゆる「バカの壁」にぶつかったことになる。この「壁」はいったい何なのだろう?
アフォーダンスという概念についてはこの本でようやく得心がいったような気がした。埼玉県久喜市の鷲宮神社の神楽をみていた際、巫女さんの舞で、お祖父さんに抱かれた女児がよく見ようと字面通り舞台にかぶりつこうとした様を目撃したことがある。幼い子でおそらく年上のお姉さんがきれいな衣装を着て何かやっているくらいにしか認識できていないと想像されるのだけど、強い興味を覚え惹かれている訳である。「先天的な審美眼は確かにあるのだ」と感じた。その巫女舞には感性に訴えかける美学的なアフォーダンスがあるということなのだろう。
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