モチーフ素の連鎖で民話を分析――アラン・ダンダス『民話の構造 アメリカ・インディアンの民話の形態論』
アラン・ダンダス『民話の構造 アメリカ・インディアンの民話の形態論』(池上嘉彦他/訳)を読む。
ダンダス(ダンデス)はアメリカ民俗学会の重鎮だそうだが、言語学にも通じていて、言語学の概念を民俗学に援用して解釈している。僕は言語学の知識はほとんど無いのでピンとこない箇所も多かった。イーミックとエティックといった区分の持つニュアンスは特にピンと来ない。
プロップが『昔話の形態学』で機能と名づけた概念をモチーフ素として、その連鎖で北米先住民の神話/民話の構造を分析している。レヴィ=ストロースに対しては批判的なスタンスだ。
モチーフ素の連鎖の事例としては、
・欠乏/欠乏の解消
・禁止/違反
・欺瞞/成功
これらが中核となる。そして、
・禁止/違反―結果―脱出の試み
・欠乏―欺瞞/成功―欠乏の解消
・欠乏/欠乏の解消―禁止/違反―結果―脱出の試み
といった組み合わせが挙げられている。
北米先住民の神話/民話は西欧の民話と比較して深み(depth)がないと分析されているとのこと。深みと訳すと誤読される怖れがなきにもしもあらずな気がする。深度とした方がいいような気もする。
<追記 2026.02>
欠乏あるいは禁止の侵犯が主要なモチーフとなっている。欠乏、たとえば食料の欠乏は生死に直結する。また、ヒトは集団で暮らす生き物なのでなんらかの規範に従って生きている。規範も社会的存在としての生死に直結する。ここから、こういったモチーフが基本中の基本であることが分かる。
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