―で表記するか/で表記するか
竹野真帆、高田明典「コンピュータゲームの訴求構造分析――物語構造分析の応用として」という論文を読む。先日の高田論文と同系統の内容。高田本以降に執筆されたものか、高田本より分かりやすくなっているように感じる。
日本語訳された文献があるか不明だが、トドロフは物語を「属性の変化」と捉えたようだ。属性も二項対立の図式で記述できる場合が多々あり、昔話においては属性の変化のみならず「属性の転倒」がしばしば用いられると指摘できるか。
たとえばプログラミングではオブジェクトの属性は多数設定可能である。もしくはパソコンのファイルのプロパティでもいいか。
高田本/論文は対立の構図を「―」で結んで表記している(対立軸)。どう表記しようが決まったルールはないのだから構わないのだけど、それ故に転倒がもたらす動的な逆転の構図に思い至らなかったものと想像される。軸で表記することにはそれはそれで別のメリット(平面/立体として図式化できる)もあるのだが。
分析していけば対立軸は幾つか列挙されることになる。それらの内からどれをピックアップして分析するか選ぶ段階で主観が働くことになる。これを恣意的と捉えるかどうか。そういう批判もあるようだ。
……いや、あの難解な内容をよく使えるように落とし込んだものだと思いますよ。
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