« 行為項分析――皿皿山 | トップページ | 橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 二日目 »

2024年6月 8日 (土)

橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 一日目

土日が横浜市保土ヶ谷区天王町の橘樹神社の例大祭で、加藤社中の奉納神楽を見学に行く。途中、横浜駅のホームを撮影しようと思って寄り道する。電子書籍の表紙に使えないかと思って。神社に到着したのは11時20分過ぎで最初の演目は終わっていた。「面を新調したのに」と家元に言われる。

合間に南京玉すだれや忍者ショーが催された。ただのすだれにしか見えないのに、あんなに変化するのが面白い。忍者ショーは園児くらいの年齢の子が男女問わず参加していた。

今日の演目は「神逐蓑笠(かみやらいみのかさ)」という演目で、天照大神に保食神(うけもちのかみ)から五穀の種を受け取ってくるよう命じられたスサノオ命だったが、保食神の差しだした種が臭いと怒りだし、保食神を斬ってしまう。保食神はスサノオ命の暴虐を天照大神に訴える(※なので死んでいない)。天照大神とスサノオ命は互いに武器を向け合う一触即発の事態となる。正気を取り戻したかに見えるスサノオ命だが、姉には敵わず、蓑笠を着せられて追放されてしまう……という筋立て。

神逐蓑笠:翁面の保食神
神逐蓑笠:保食神を斬るスサノオ命
神逐蓑笠:天照大神にスサノオ命の暴虐を訴える保食神
神逐蓑笠:天照大神と対峙するスサノオ命

スサノオ命と保食神との組み合わせなので、記紀神話とは微妙に異なったストーリーとなっている。違っていた方が解釈の余地が広がって面白かったりもする。他所の社中がビデオ撮影して自身の演目として取り入れることもあるのだとか。今回は「言いたての場」から見ることができた。

なお、「勘当の場」の前に大黒舞を挟んで飴を撒いていた。

最後の演目は「八雲神詠」。ヤマタノオロチ退治である。関東の神代神楽では蛇胴は用いず、ヒトの衣装を来たオロチが登場する。そういう観点からすると、蛇胴開発以前の上演形態が残されている貴重な演目と言える。

八雲神詠:ヤマタノオロチ
八雲神詠:眠るオロチとスサノオ命、背後に奇稲田姫
八雲神詠:スサノオ命とオロチとの大立ち回り
八雲神詠:倒したオロチから天村雲剣を取り出すスサノオ命

天王町→牛頭天王→蘇民将来→スサノオ命という流れで、橘樹神社のご祭神がスサノオ命なのだそうだ。それで今日はスサノオ命にちなんだ演目となったようだ。

上演の合間には楽屋に呼んで頂いて、ビールをご馳走してもらったりした。「土蜘蛛」をやるとのことだったので、謡曲の胡蝶さんが頼光さんを毒殺しようとするお話ですか? と訊いたところ、神武天皇の土蜘蛛とのことだった。家元によると、関東では「紅葉狩」など一部の例外を除いて古事記に載っていないお話はやらないとのこと。それで五郎王子もやらないのかと得心がいく。

おそらく、記紀神話以外をやらないというのは明治期の神楽改正の影響の名残ではないかという気がするが、それはそれとして現在までそういう見識で臨んでいるということである。

保食神の面は厳めしい翁面だったので質問してみる。関東では男ですとのこと。前回見たときは媼の面だったと記憶しているが。

家元はサンカ(山の漂泊民)にご興味がおありとのこと。裏日本史とでもいうか、敗者の側からの歴史も研究してみたいそうだ。『童の神』という小説を紹介していただく。とりあえず電子書籍版をAmazonで購入。積読がたまりにたまっているのでいつ消化できるかという状況だが、いつでも読めるようスタンバイ。

サンカについては語れることがないので、出雲の四隅突出型墳丘墓の話をする。大国主命のモデルとなったと思われる古代出雲の首長たちの墓が現存しているという話である。出雲神話には実体がないと考えられていた時期が長いそうで、そういう意味ではよく残っていたなという感じである(※隣の敷地は商業高校の校庭である)。

家元のご母堂と挨拶する。僕と同年齢くらいの女性と思ったので意外だった。非常に若く見える。

広島出身の人は他にもいた。浜田にはよく海水浴に行っていたそうだ。

天気は晴れ。気温はそこまで高くなかったが、日差しは強く。座っていると、ズボンの布が熱くなった。夕暮れを過ぎると気温は下がった。6月初旬だとまだ肌寒いときもある。帰宅して風呂に入ると、見事に日焼けしていた。

座って見ていただけなのだが、かなり疲労した。体力が落ちている。

|

« 行為項分析――皿皿山 | トップページ | 橘樹神社の奉納神楽を鑑賞 2024.06 二日目 »

関東」カテゴリの記事

神楽」カテゴリの記事