江戸里神楽を観る会を鑑賞 2024.03
新馬場の六行会ホールにて間宮社中の第二十一回江戸里神楽を観る会を鑑賞。六行会ホールで鑑賞するのは数年ぶりとなる。
「高天原神集評定(たかまがはらかみつどいひょうじょう)の場」
品川太太神楽「翁の舞」
「兄弟探湯(けいていたんとう)」
の三演目が上演された。
「高天原神集評定の場」は出雲に国譲りさせようとなって誰を使者に選ぶかくじ引きで選ぶという内容。高木神が天菩比命(天穂日命)、天若日子命、経津主神、建御雷之男神を集め(従者のもどきもいる)、もどきが四神に矢と思われるものを配り、それがくじとなって天菩比命が第一の使者として選ばれる。
この演目は続く「天菩比之上使」「天之返矢」「幽顕分界」の国譲り三部作の序段となる演目。通常の上演時は天菩比命のみの登場となるが、今回の上演では四神とも登場しくじ引きで選ぶ展開としているとのこと。「幽顕分界」は未見である。
品川太太神楽「翁の舞」は神前舞。神に向けて舞うので観客席からは後ろ向きで鑑賞することになると説明された。社伝によると元亀年間(1570~73)の発祥と伝えられているとのことだが、都心に古い神楽があまり変化せず残されていることが驚きである。
「兄弟探湯」は武内宿禰(たけのうちすくね)が異母弟の甘美内宿禰(うましのうちのすくね)から謀反の企てがあると讒訴されてしまう。それで応神天皇は盟神探湯(くがたち)という占いで真偽を決することにする。熱湯に手を入れ、火傷をしなかった方が正しいとするものである。武内宿禰は邪心がないので素直に熱湯に手を入れ何事もない。一方、甘美内宿禰は躊躇した挙句、剣を抜いて武内宿禰を襲うが反撃され、武内宿禰と随臣に取り押さえられてしまう。そして強制的に熱湯に手を突っ込まれ火傷をしてしまう。武内宿禰の潔白が証明された……という内容である。
こう書くとシリアスな展開に思えるが、実際には従者役のもどきの滑稽な演技もあったりで楽しい演目となっている。「兄弟探湯」は第七回で上演されたもののリメイクとのことである。
「兄弟探湯」においても剣劇はあるのだが、それで決着をつけるのではなく、あくまで盟神探湯(くがたち)で決着をつけるのである。そういう作劇の妙が感じられる。石見神楽や芸北神楽の神楽人たちに比較対象として見てもらいたい演目である。
ステージ上での上演なので民俗学者はフォークロリズムと呼んで軽視する。だが、ステージならではのメリットもある。照明できらびやかな衣装が映えるのである。神楽殿だと日中は自然光になるからそこまで映えないのである。
横浜駅で京急に乗り換える。新馬場駅が品川駅の先と勘違いしてしまい、品川駅で降りてしまう。そのまま日比谷線に乗り換えてしまい、途中で気づき引き返す。京急蒲田駅まで引き返す。各駅停車に乗るが、新馬場駅に着いたのは12時半頃になってしまった。それでもホールでは左端だが前の席に座ることはできた。
受付で住所氏名を書く。写真撮影はOKとのこと。フラッシュは禁止。客席は8~9割は埋まっていた。マスクは着用を推奨というスタンス。無料の催しなのだが、本来は3000円~4000円くらいの鑑賞料が必要な内容。
観客層については観察していない。若い人は見かけたが、多くは老人層だろう。子連れの若いカップルが来場するという姿はない。黙劇ということもあって観客に日本神話の知識を要求する。戦前の人なら普通に知っていた話も今の若い人たちが知っているとは限らない時代である。
パナソニックGX7mk2+35-100mmF2.8で撮影。望遠端でもF2.8なので失敗写真はあまりなかった。それでもExif情報を確認するとシャッタースピードは1/30秒ほどである。1/20秒になると手振れしていた。
35-100mmF2.8は360gと小型軽量なのが特徴。フォーサーズは高感度には強くないのでこういった明るいレンズでカバーする必要がある。ある意味マイクロフォーサーズらしい望遠ズームレンズである。舞台撮影にはぴったり。
最後にバッテリーが切れたのでパナソニックTX1ででも撮影してみたが、望遠にすると見事に手振れしていた。F値は5.1くらいまで上がってしまう。ISO800~1600まで上げてシャッタースピードは1/80秒くらいを確保しているのだが、手ぶれ補正能力に差があるのか手振れしてしまっている。
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