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2024年2月 4日 (日)

元町中華街にて早池峰神楽(岳神楽)を鑑賞する 二日目

横浜市元町中華街のシルクロード舞踏館で催された早池峰神楽(岳神楽)の公演二日目を鑑賞に行く。今度は迷わずに行き帰りできた。今回も部屋の隅の椅子に陣取る。二日目だと椅子では尻が痛くなってしまった。余っていた座布団を借りる。

・鶏舞
・松迎え舞
・三番叟の舞
・岩戸開きの舞
・天女の舞
・天降りの舞
・諷踊の舞
・権現舞

が上演された。二日目も鶏舞から権現舞まで早池峰神楽の基本的な演目が上演された。演目は「天女の舞」と「天降りの舞」が前日とは異なる演目だった。幾つか演目が重なったが、小寺融吉は一つの神楽を最低二回は鑑賞するように言っていたのでよしとする。

ホール内・開演前
終演後のホール
シルクロード舞踏館のあるビル

上演前に演舞で用いられる剣は真剣とアナウンスがあった。真剣と知ると見方が変わってくる。一つ間違えば大怪我するのだ。たとえば島根県益田市の久城社中の「四剣」は今は真剣を使っていないそうだ。

衣装は新しく清潔であるが華美ではない。むしろ冠と側頭部の垂れというのか(しころ板)、そちらの方がきらびやかな印象がある。

しめ縄で囲われた結界の中で舞うのだが、舞台を東南西北と巡る足取りは見られない。基本的にはすり足だと思う。

扇を差して優雅に旋回するといった所作は見られない。神楽は旋回だと説明されるが、旋回する所作自体が少ないか。踊りではないので跳躍する所作もわずかであった。

「鶏舞」は直面の若い人が二人舞う。はじまりの演目である。鶏の冠が特徴的。「松迎え舞」は着面の二人舞。扇をもって舞う。舞手の一人はお年寄りだった。松の枝を腰に指して舞う。途中から採り物となった。「三番叟の舞」は片足で舞う場面がある。結構激しく舞っていてよく倒れないものだと感心する。身体能力が高いのだろう。「岩戸開きの舞」まず天児屋根命と思われる演者が舞う。袖をくるくるとめくる所作があった。関東の里神楽で三番叟がそうすると舞台を清める意味があるそうなのだが、早池峰神楽ではどうだろう。手力男命が登場する。鈿女命は長髪ではない。演者の後ろ髪が見えている。幕をめくって天照大神が登場する。鶏冠の舞手も舞台に登場する。

ここで休憩。トイレに行ったので振る舞い酒はもらわなかった。代表から挨拶があった。早池峰神楽は日本書記を題材としているとのこと。鶏舞から権現舞まで六曲を舞うと厄を払うことになる。子供は三番叟から習いはじめる。冠が軽いためである。昔は口でリズムをとって稽古していた。日本のチベットと自虐し、なまった芸能であると言う。本来は農家や商家でやる芸能である。式舞は必ず二時間かかる。最近は観客が飽きてしまうため四時間やる機会が少なくなってしまった……など。

「天女の舞」では女面で鶏冠を被った演者が舞う。鈿女と神楽歌にある。扇二枚の舞。「天降りの舞」は天孫降臨。鶏冠を被った赤い天狗面の演者が登場する。猿田彦命だろう。弓を腰に指している。また、剣を採り物としている。それから扇の舞。くるくると旋回する所作があった。弓矢をもった女神(鈿女)と男神二人と計三名が登場、四人舞になる。猿田彦役の演者は最後に面を外し、真剣を抜いて激しく舞う。「諷踊の舞」では演者が鈴を二つ持つ。鈴は小さい。跳躍する所作も見られた。最後に二本の真剣で激しく舞う。「権現舞」では舞の後、代表が歌いながら権現さまに酒や野菜を捧げる。それからくじで当たった人が結界内に入り権現さまの衣装の裾をくくったものの中をくぐる。それから頭を噛んでもらう。終わると座席に戻る。代表は桶を持って酒か、少し撒く。終わると代表は幕に下がる。

僕は石見神楽を見て育ったので生得的に神楽を田舎のエンタメとして見ている。そういう意味では早池峰神楽に霊的、スピリチュアルな印象は受けなかった。神社でなくホールで見たという点も考慮しなければならないが。むしろ太鼓や舞の力強さが印象に残った。激しい太鼓の鼓動、激しいビートとリズムに触れることで精神を年に一度リフレッシュさせるのではないかと思った。そう考えると鎮魂論からもそう外れていないはずである。

僕が辿ったルートは関内駅から横浜スタジアムの脇を抜けて中華街の門をくぐる。それから道なりに進み、関帝廟通りに入る。突き当り(横浜大世界がある)で左に曲がり、チャイハネという雑貨店を探すというもの。中華街の通りでも行けるとは思うが試していない。シルクロード舞踏館はインフォメーションセンターから角を左に曲がった通りにあるので、みなとみらい線方面から中華街に入った方が分かりやすいかもしれない。

横浜中華街・関帝廟
関帝廟。きらびやかさに日本と感覚が違うのだなと思わされる。

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