発想法とWEBサービス
去年から今年にかけては発想法に関する本を多く読んだ。古典的なものも読んだが、パソコン登場以前の発想法に関しては、多くの人がカード形式で情報を整理・管理していた。フォルダで管理する手法もあった。
実際、僕が会社員となったとき渡された顧客データはカード形式で管理されていた。それから顧客データはホストコンピューターで一元管理されることになり、それが更に進化してクライアント・サーバーシステムに置き換えられ、パソコンの画面で見た目はカード状のレイアウトとなった(※紙のカードと違って、何画面もあり、そういう点で管理する項目が拡充されていた)。
有名な発想法にKJ法がある。詳細は関連本を読んで頂きたいが、大判の紙の上に断片化させた情報を紙の切れ端に記入して配置しグループ化、そうやってまとまった情報の関連性を見るという手法である(※孤立した情報が重要だそうだ)。社会学者の上野千鶴子は実際にKJ法を好み、自書で推奨している。
ただ、KJ法を実行しようと思ったら広いスペースが必要である。壁に大判の紙を張ってそれを土台にしていくイメージだろうか。個人で実行するのは難しいと思う。
質的研究で用いられるソフトとしてMAXQDAというソフトがある。ただ、これはアカデミックな世界や官公庁での使用を想定したもののようで、それら向けの製品の価格は抑えられているが、一般向けの価格は非常に高い。お試しで買える金額ではない。
極論すればEXCELでも代用はできる。
他、マインドマップも挙げられる。ただ、僕は上手く書けないのである。パソコン上で描画できるツールもあるが、展開されたそれを見ると、結局はツリー構造となるように見える。それだとアウトラインプロセッサでいいではないかと思ってしまう。
で、僕が実際に利用してみていいなと感じたのがScrapboxというWEBサービスである。これはWikiのシステムを簡略化したものである。Wikiでは様々なマークダウン記号が用いられるのだが、Scrapboxではマークダウン記号を[ ]に集約してしまう。キーワードを書いて[ ]の記号で括ると、そのキーワードがタイトルとなったページが生成され自動的にリンクが張られる。そうやって執筆を続けていくと、現代思想でいうリゾーム(根茎状)の構造をもったページ群が生成されていくのである。
これはKJ法と相通じるものがあると思う。KJ法の仕組みをパソコン上に移植させた製品もあるが、それほど普及していない様に思われる。実際使った訳ではないのでよく分からないが、KJ法の要件をソフトウェアに落とし込むのは難しそうである。
マークダウン記号を使用したエディタで、Obsidianというソフトも知られている。こちらはパソコンにインストールするタイプで、プラグインを使えばかなり高度なこともできるようである。が、僕自身はまだ試していない。
マークダウン記法は実際にWikipediaを編集してみれば分かりやすいだろう。HTMLのタグがマークアップ言語と呼ばれ、それに対して簡略化されたのがマークダウン記法である。
Scrapboxのページではアウトラインプロセッサ的な記述も可能である。シンプルな操作性で奥深い世界を実現した優れたサービスだと思う。
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