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2023年3月

2023年3月27日 (月)

アナーキー 上野千鶴子「近代家族の成立と終焉」

上野千鶴子「近代家族の成立と終焉」(新版)を読む。著者はファインマンに代弁させる形で婚姻制度の廃止、家族の解体を唱える。法的関係については市民法で代替させるというものである。しかし、そんなことをしたら、これまで100年以上に渡って蓄積されてきた法や判例が灰燼に帰す。もしそうなったら損をするのは女性の方の可能性も高いと思われる。そして婚姻関係に入る際に分厚い契約書を交わすということになる。全くの無駄である。

本書は1990年代に出版されたものに新しい論文を加えて出版した新版である。90年代から夫婦別姓は議論になっていたが、今だ決着をみていない。婚姻は未開部族にもあり、時代によってとる形は異なるが今日まで継続してきたものである。それを解体するというのはアナーキーである。ポルポトとどこが違うのか。これは著者に限った話ではなく著述家に見られる傾向だが、法に無知と言わざるを得ない。ちなみにファインマンは法学部教授だとのこと。

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2023年3月19日 (日)

釣り針をなくす

YouTubeで大宮住吉神楽「山海交易の座」を見る。釣り針を無くした山幸彦が神主に助力を求めるところまでで終わった。
https://www.youtube.com/watch?v=XXXp0Q-b-MA&t=3490s

四月二日(日)が例大祭だそうだが、6時間立ちっぱなしが今の健康状態では無理そうだ。

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2023年3月18日 (土)

翻訳ものに比べれば――柄谷行人「マルクスその可能性の中心」

柄谷行人「マルクスその可能性の中心」を読む。日本人が日本語で書いた本だから翻訳ものに比べれば読みやすいが、理解した訳ではない。

マルクスに関しては触れずに来た。単に資本論が長いということもあるが、変に影響されたくなかったのである。

本書ではソシュールの言語学を援用しつつ、価値は関係性の網の中に生じる……と書けば間違っていないだろうか。

それにしても「転倒」が好きだなと読んでいて思う。

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2023年3月13日 (月)

再生のヒント

NHKスペシャル「震災12年 復興の地図 ~“希望の芽”を探して~」を見る。東日本大震災の被災地は数十年後の未来の鏡となっているとしている。国勢調査を元にデータを詳細に分析、人口が増加している地域を取材している。

女川町では「還暦以上は口を出さず」60歳以上は口出しをしないとのスローガンで、若手に裁量を委ねる方針とのこと。更に起業家を支援している。また、石巻市では工場と保育所を隣接させた水産加工業者で若い女性の就職が増えたとのこと。人口が増加している地区では外国人技能実習生が増えているという。また、有望な若手社員に裁量を委ねて新商品開発などを担当させている。建設業では復興のノウハウとデジタル技術をかけあわせて他地域にも展開する。福島県では研究者や技術者の人口が増加している。また、南相馬市にロボット研究の施設を建設、地元企業とベンチャー企業との取引額が増えているとのこと。大槌町では小中学校を再編しつつも教育支援のNPOなどと連携し教育に力を入れている等が取り上げられた。一見ネガティブに見えても、そこには再生のヒントが隠されているとのこと。

口頭で言われたことがあるのだが、福島県は宮城県と栃木県に挟まれた地域で、他県との競争が激しいらしい。ただ、山陰に比べて製造業は比較的あるのではないかと思う。

僕ももはやシニアの世代なので新しい発想とかは生まれてこない。若い人の裁量を認めるとか、ベンチャー企業との取引を増やすとか、そういう地道な努力が各地方にも求められているのだろう。

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2023年3月10日 (金)

家事は不払い労働――上野千鶴子『家父長制と資本制――マルクス主義フェミニズムの地平』

上野千鶴子『家父長制と資本制――マルクス主義フェミニズムの地平』を読む。キンドル・アンリミテッドに含まれているので読んでみたが、読了まで時間が掛かった。

90年代初期に上梓された本である。90年代を「黄金の九〇年代」としているのは、その後のバブル崩壊が織り込まれていないということである。

家事を不払い労働と定義する。確かに介護では炊事・洗濯・掃除も仕事の一部なので家事のそれは報酬のない労働である。

日本人女性の生産性が低い理由はパートタイム労働にあると分かった。

男ということもあるが、マルクス主義の論法は嫌いである。

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2023年3月 5日 (日)

垣澤社中の記念公演に行く 2023.03

「相模里神楽垣澤社中創設110周年厚木市指定無形民俗文化財指定50周年記念公演」に行く。

今回は撮影禁止だったので写真はなし。席は自由席で、前方三列目の真ん中に陣取る。前には関係者のビデオカメラが設置されていたので特等席になる。

・「イナリ」
・「七福神宝之入船」
・「IWATO」
・「八雲神詠~八岐大蛇退治~」
・「御祝儀三舞」

が演じられた。七福神宝之入船は数十年ぶりに演じられた演目とのこと。恵比須さんは石見神楽東京社中の団員さんが演じていたのだと思う。お菓子を撒いた。八雲神詠は石見神楽東京社中の蛇銅のオロチと垣澤社中のウロコ模様の衣装を着たオロチとの共闘が見られた。この組み合わせはおそらく今日このときでしかありえないだろう。

イナリは創作神楽。天狐が活躍する。多分みずき会の団員さんだろう、女性が活躍する演目だった。また、ソプラノ歌手の声量に驚いた。クラシックのコンサートは何度か行ったことがあるが、声楽は初めての体験。IWATOも創作神楽で岩戸を原型としつつ、創作色の強い神楽だった。天照役の方の舞いが往年のジュディ・オングを連想させた。御祝儀三舞は三番叟と獅子舞、両面舞、おかめ尽くし、神前舞が演じられた。

メモリアルイヤーということもあるが、コロナ禍の鬱憤を晴らすような熱量があった。公演のポスターには「古き新しき伝統」とある。創作神楽の制作に当たっては作曲、演奏の収録がされている訳で、その分コストが掛かっている。また、他社中とのコラボも行っており、通常の活動とは異なる準備段階だったと思わせる。

厚木市文化会館は規模の割にロビーの面積が狭く、またトイレのキャパも小さかった。舞台の照明はLEDだった。

厚木市文化会館

獅子に千円寄付しようかと思ったが、タイミングがずれたのでできなかった。

公演は盛況の内に終わったのだが、終わって外に出てみると雨が降っていた。傘を忘れていた。タクシー会社に電話すると(中々繋がらず焦る)、20~30分かかるとのことでずぶ濡れを覚悟したが、タクシー乗り場には屋根があったので助かる。が、湿度が高く、息でメガネのレンズが曇ってしまう。タクシーがようやく到着したが自分と同じ姓の人も予約していた。譲ってもらったので助かった。厚木市文化会館は本厚木駅からタクシーで700~800円かかり、歩かなくて正解だった。センター南駅に着いてからも帰宅はタクシーを使った。歩いていて、ちょっと疲労感があった。

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2023年3月 4日 (土)

推敲を終える

「昔話はなぜ面白いのか」上下巻の推敲(二回目)を終える。ミスを消し切れていなかった。全体で30万字くらいあるので、パソコン上で読む気になれず、一旦出版して、電子書籍をFireタブレットで読む作業を行った。無料キャンペーンでダウンロードした方たちには推敲前の版が渡ってしまうが、致命的なミスはないのでまあいいとしよう。

今回、でんでん2POD出版のサービス(EPUBファイルをPDFに変換してくれる)が三月末で終了ということもあり、出版を急いだという事情がある。あとはプリントオンデマンドで一旦紙に出力して最終チェックを行おうと思っている。

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2023年3月 1日 (水)

Amazon Kindleストアで電子書籍の販売を開始しました。

昔話はなぜ面白いか(上)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BX5JWSG5
昔話はなぜ面白いか(下)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BX5KC15V

がAmazon Kindleストアで販売開始されました。昔話の分析を試行した作業ノートのような内容です。キンドル・アンリミテッドに登録してありますので、会員の方は無料で読めます。

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