宗丹――モチーフ分析
◆あらすじ
昔、宗丹という坊主が青野ヶ原を焼いたため津和野の殿さまに捕らえられた。取調べがあって、お仕置きを受けることになったが、何かこれについていい歌を詠んだら生命だけは助けてやろうと殿さまが言った。宗丹はそこで歌を詠んだ。「うるしももたん宗丹が 一夜のうちに 青野ヶ原を墨ぬりにした」。しかしこの歌は殿さまの気に入らなかったので、宗丹はやはりお仕置きを受けることになった。宗丹はいよいよ殺されるとき、殿さまに向かって糞を食らえと言った。
◆モチーフ分析
・宗丹という坊主が青野ヶ原を焼いたため、津和野の殿さまに捕らえられた
・取調べがあって、お仕置きを受けることになったが、何かこれについて歌を詠んだら生命だけは助けてやろうと殿さまが言った
・宗丹は「うるしももたん宗丹が 一夜のうちに 青野ヶ原を墨ぬりにした」と歌を詠んだ
・この歌は殿さまの気に入らなかったので、やはりお仕置きを受けることになった
・宗丹はいよいよ殺されるとき、殿さまに向かって糞を食らえと言った
形態素解析すると、
名詞:丹 宗 殿さま 歌 お仕置き こと 青野 うち うるし これ ため とき 一夜 坊主 墨 津和野 生命 糞
動詞:なる 受ける 言う 詠む ある いう する つく ぬる もつ 助ける 取調べる 向かう 捕らえる 殺す 気に入る 焼く 食らう
副詞:いよいよ やはり 何か
連体詞:この
宗丹/殿さまの構図です。抽象化すると、僧侶/領主です。宗丹―歌/お仕置き―殿さまの図式です。
青野ヶ原を焼いたため仕置きを受けることになった宗丹だが[仕置き]、これについて何か歌を詠めば助命しようと言われた[助命の提案]。そこで宗丹は歌を詠んだが殿さまの気にいらなかった[不受理]。仕置きをされることになった宗丹は殿さまに捨て台詞を吐いた[捨て台詞]。
助命の条件として歌を詠んだ宗丹だったが、殿さまの気にいらず、捨て台詞を吐いた……という内容です。
発想の飛躍は歌を詠むものの殿さまの気に入らなかったということでしょうか。宗丹―歌/お仕置き―殿さまの図式です。
青野ヶ原は青野山の周辺でしょうか。青野山には父が登ったことがあると言っていたのですが、体力が落ちた現在ではとても登ることは叶いません。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)p.406.
| 固定リンク
「昔話」カテゴリの記事
- 未来社『石見の民話』分析二周目、石西編が終わる。続いて三周目について(2024.11.30)
- 行為項分析――長い話(2024.11.29)
- 行為項分析――果てなしばなし(2024.11.29)
- 行為項分析――なさけない(2024.11.29)
- 行為項分析――八人の座頭(2024.11.28)