八人の座頭――モチーフ分析
◆あらすじ
昔、八人の座頭が山路を歩いていた。すると、路の上へ木の切株がにょきっとのぞいていた。真っ先を歩いていた座頭がごつんと切株で頭を打った。座頭は痛いのをこらえて黙っていた。二番目の座頭もごつんと頭を打った。その座頭も痛いのをこらえて黙っていた。三番目の座頭も頭を打った。そして皆ごつんごつんと頭を打った。そのとき一番目の座頭が今何時(なんどき)じゃと言った。すると一番後ろの座頭が八つの頭(かしら)を今打ったと言った。
◆モチーフ分析
・八人の座頭が山路を歩いていた
・すると路の上へ木の切株がにょきっとのぞいていた
・真っ先を歩いていた座頭がごつんと切株で頭を打った
・座頭は痛いのをこらえて黙っていた
・二番目の座頭もごつんと頭を打った
・その座頭も痛いのをこらえて黙っていた
・三番目の座頭も頭を打った
・そして皆ごつんごつんと頭を打った
・一番目の座頭が今何時じゃと言った
・すると一番後ろの座頭が八つの頭を今打ったと言った
形態素解析すると、
名詞:座頭 頭 今 切株 一 三 八 一番後ろ 上 二番目 何時 八つ 山路 木 皆 真っ先 路
動詞:打つ こらえる 歩く 言う 黙る のぞく
形容詞:痛い
副詞:ごつんと きっと
連体詞:その
座頭/切株の構図です。抽象化すると、宗教家/植物です。座頭―切株―座頭の図式です。
八人の座頭が山路を歩いていた[行進]。一番目の座頭が切株でごつんと頭を打ったが[殴打]痛みをこらえていた[我慢]。続く七人の座頭も皆頭を打った[繰り返し]。一番目の座頭が今何時か訊くと一番後ろの座頭がが八つの頭を今打ったと言った[皮肉]。
痛いのを我慢していたら、八人とも頭を打ったので、八つの頭を今打ったと言った……という内容です。
発想の飛躍は座頭が八人とも頭を打ってしまうことでしょうか。座頭―切株―座頭/座頭/座頭/座頭/座頭/座頭/座頭の図式です。
不意に頭を打ったときはかなり痛いのですが、皆こらえていたというのも面白みがあります。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)p.467.
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