明快さの裏に潜む危うさ――宇野常寛「遅いインターネット」
宇野常寛「遅いインターネット」を読む。「遅い」とは雑誌に近いコンセプトでじっくりと記事に取り組むというスタンス。新聞やテレビだとニュースは刻一刻と移り変わっていくので、NHK解説委員みたいなサイトがあってもいいとは思う。
一方で次の様な問題も抱えている。例えば市民/大衆という二項対立を何の説明もなしに提示してくる。上院が市民、下院が大衆などといった喩えは初耳である。上院は英語では Senateだ。つまり元老に由来する。
宇野氏はしばしば独自の解釈を施すが、それが独自のものであることに無頓着である。いつ解釈を無言で変えて論じられるかも分からない。自分の主張したい図式に強引に当てはめて恣意的に論じる。そういう点で危うさを抱えているのである。
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