みんみん蝉――モチーフ分析
◆あらすじ
昔、嫁と姑があった。あるとき針が無くなったので姑は嫁にお前は知らないかと言った。嫁は「見ん」と言った。それでも姑はお前が取ったのだろうといって、とうとう責め殺した。嫁は死んで蝉(せみ)になった。それで今でも、みん、みん、と言って鳴くのだそうである。
◆モチーフ分析
・嫁と姑がいた
・あるとき針が無くなったので、姑は嫁に知らないかと言った
・嫁は見んと言った
・姑は嫁が取ったのだろうと言って責め殺した
・嫁は死んで蝉になった
・それで今でも、みん、みんと言って鳴く
形態素解析すると、
名詞:嫁 姑 とき みん みんと 今 蝉 針
動詞:言う いる なる 取る 死ぬ 無くなる 知る 見る 責め殺す 鳴く
連体詞:ある
嫁/姑の構図です。家族同士の構図です。嫁―針―姑の図式です。
嫁と姑がいて、あるとき姑の針が無くなったので嫁に知らないかと尋ねたところ[質問]、嫁は見んと言った[回答]。それでも姑はお前が取ったのだろうと言って責め殺した[責任転嫁]。嫁は死んで蝉になり、みん、みん、と鳴く[転生]。
姑に針をとったと責め殺された嫁はミンミンゼミに転生した……という内容です。
発想の飛躍は嫁が蝉に転生するところでしょうか。嫁―(なる)―蝉の図式です。
亡くなった母方の祖母が呆けて疑り深くなりました。財布がないと言って叔母を責めたのだそうです。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)p.386.
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