うぐいす――モチーフ分析
◆あらすじ
昔、娘がいた。何遍も婿をもらったが皆じきに帰ってしまう。ところが、また婿に来ようという男があった。娘は自分は月に一度ずつ町へ遊びに行くが、それが承知ならもらおうと言った。男はそれを承知で来た。娘は初めの話の様に毎月一度、町へ行くといって出ていったが、出る時、自分の留守に土蔵の二階を見てはいけないと言った。男は一体何があるのだろうと思うと見たくてたまらなくなった。そして壁に梯子(はしご)を立てかけ、そっと窓から覗いてみた。中には色々な木の花がいっぱい咲いていて、うぐいすが一羽、ほうほけきょう、ほうほけきょうと鳴きながら枝から枝へ飛んでいた。娘は町から帰ると、お前は自分があれだけ言っておいたのに、土蔵の二階を見てしまった。すぐ出ていけと言った。男は仕方なしに帰っていった。娘は町へ行くといって土蔵の二階へ上がって、うぐいすになって遊んでいたのだ。娘はやがてうぐいすになってしまった。うぐいすは元は娘であったそうだ。
◆モチーフ分析
・娘がいて何遍も婿をもらったが皆じきに帰ってしまう
・また嫁に来ようという男があった
・娘は月に一度町へ遊びに行くが、それを承知ならもらおうと言った
・男は承知で来た
・娘は初めの話の様に毎月一度、町へ行くといって出ていった
・出る時、自分の留守に土蔵の二階を見てはいけないと言った
・男は見たくてたまらなくなった
・壁に梯子を立てかけ、窓からそっと覗いた
・中には色々な木の花が咲いていて、うぐいすが一羽、ほうほけきょうと鳴きながら枝から枝へ飛んでいた
・娘は町から帰ると、あれだけ言っておいたのに土蔵の二階を見た。すぐ出ていけと言った
・男は仕方なしに帰った
・娘は町へ行くといって土蔵の二階へ上がって、うぐいすになって遊んでいた
・娘はやがてうぐいすになってしまった
・うぐいすは元は娘であった
形態素解析すると、
名詞:娘 うぐいす 男 町 二 土蔵 一度 承知 枝 一 きょう それ 中 何遍 元 初め 壁 婿 嫁 時 月 木の花 梯子 毎月 留守 皆 窓 自分 色々 話
動詞:言う 出る 帰る 行く 見る いく なる もらう 来る 遊ぶ ある いう いける いる ほる 上がる 咲く 立てかける 覗く 飛ぶ 鳴く
形容詞:たまらない
形容動詞:じき
副詞:あれだけ すぐ そっと また やがて 仕方なしに
娘/男の図式です。娘―うぐいす/土蔵―男の図式です。
娘が婿に町に出かけるときは土蔵の二階を見るなと言い置いたが[禁止]、婿は見たくてたまらなくなって覗いてしまった[侵犯]。土蔵の二階では娘がうぐいすになって遊んでいた[変化]。婿は家を追い出された[追放]。
見るなの禁止を破った婿は娘から追放された……という内容です。
発想の飛躍は娘がうぐいすになることでしょうか。娘―(なる)―うぐいすという図式です。
見るなの座敷型の話です。ここでは旅人ではなく婿が登場します。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.387-388.
| 固定リンク
「昔話」カテゴリの記事
- Amazon Kindleストアで電子書籍の販売を開始しました。(2023.03.01)
- 専門家でも難しい問題だと思うが(2023.02.26)
- 積むと天井まで届くか――『日本昔話通観 第28巻 昔話タイプ・インデックス』(2023.02.14)
- ロールバック完了(2022.12.15)
- 昔話の時空――近藤良樹「子供の昔話を哲学する(論文集)」(2022.12.08)