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2022年11月23日 (水)

おばあさんと小僧――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、お婆さんがいた。毎日毎日お寺へ参っては、仏さまの前へ座って、仏さま、この世に自分のようなふ(運)の悪いものはいない。どうぞ早くあの世へ引き取ってくれと言ってお願いしていた。寺にいたずらな小僧がいた。毎日毎日お婆さんがやってきて、同じことをお願いするので、ひとつ悪戯(いたずら)をしてやろうと思った。ある日仏さまの後ろへ隠れて待っていると、お婆さんはいつもの様にやってきて、仏さまの前へ座ってお願いをした。すると小僧が後ろから、よし、お前は毎日きて熱心に頼むから、明日のこの頃には引き取ってやる。安心するがよいと言った。お婆さんはびっくりして、まあ、これの仏さまのような冗談(どうたん)も言えないと言って飛んで帰った。

◆モチーフ分析

・お婆さんがいた
・毎日お寺へ参っては、仏さまの前へ座って、この世に自分ほど運の悪いものはいないから、どうか早くあの世へ引き取ってくれとお願いしていた
・寺にいたずらな小僧がいた
・毎日お婆さんがやってきて同じことをお願いするので、ひとつ悪戯してやろうと思った
・ある日、仏さまの後ろへ隠れて待っていると、お婆さんがいつもの様にやってきて、仏様の前へ座ってお願いをした
・小僧が後ろから、よし、お前は毎日来て熱心に頼むから、明日のこの頃には引き取ってやる。安心するがよいと言った
・お婆さんはびっくりして、まあ、仏さまの様な冗談も言えないと言って飛んで帰った

 形態素解析すると、
名詞:お婆さん お願い 仏 毎日 前 小僧 後ろ あの世 お前 お寺 こと この世 ひとつ びっくり もの 仏様 冗談 安心 寺 悪戯 明日 自分 運 頃
動詞:いる 言う やる 座る 引き取る する 参る 帰る 待つ 思う 来る 隠れる 頼む 飛ぶ
形容詞:よい 悪い 早い
形容動詞:いたずら 同じ 熱心
副詞:ある日 いつも どう
連体詞:この

 お婆さん/仏/小僧の構図です。お婆さん―仏さま―小僧の図式です。

 自分ほど運の悪い者はいない[不幸自慢]から早くあの世へ引き取ってくれと毎日仏さまにお願いに来る婆さんがいた[祈念]。いたずら小僧が仏さまの後ろに隠れて、熱心だから明日には引き取ろうといったところ[ものまね]、婆さんは仏さまの様な冗談も言えないと飛んで帰った[驚愕]。

 願いを叶えてやると言われたところ、それは冗談だと婆さんは言った……という内容です。

 発想の飛躍は小僧が悪戯するところでしょうか。お婆さん―仏さま―小僧の図式です。

 お婆さんは小僧の声を真に受けてしまうところが魅力的です。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.465-466.

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