美学的観点から――マックス・リュティ『昔話 その美学と人間像』
マックス・リュティ『昔話 その美学と人間像』(小澤俊夫/訳)を読む。リュティの本は抽象的議論に終始しており、内容を要約しづらい。
メルヘンでは美を描写することは無い。それは語り手の資質に由来するものではなく、描写しないことで美を強調するのである。美はその程度を述べるにあたって、その美しさの及ぼす働き、言い換えれば美の作用を以て表現する。沈黙させたり、身動きできなくなるといった形でである……といった美学的な話が中心である。
昔話研究ではリュティが最も独自性のある研究者かもしれない。
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