雀とけら――モチーフ分析
◆あらすじ
昔々、雀(すずめ)とけら(きつつき)は姉妹であった。親が病気で危篤になったので早く来いという知らせがあった。雀はそれを聞くと着の身着のまま飛んでいった。しかし、けらは自分は今着物がないから、着物をおってからでないといけないと言って着物をおってから行った。それで親の死に目にあうことができなかった。雀はすぐ飛んでいったので、親は喜んで、お前はよく早くきてくれたから、下の原に人がいれば上の原へ行って食え、上の原に人がいれば下の原へ行って食えと言った。それで雀は今でも地味な着物を着ているが、百姓の作ったつくり初穂を食っている。けらは派手な着物を着ているが、そういうことをした罰(ばち)で、枯れ木をコンコンコーンとつついて、虫をとって食べている。
◆モチーフ分析
・雀とけらは姉妹であった
・親が病気で危篤なので早く来いという知らせがあった
・雀は着の身着のままで飛んでいった
・けらは今着物がないから、着物をおってから行った
・それで親の死に目にあうことができなかった
・雀はすぐ飛んでいったので、親は喜んだ
・雀は地味な着物を着ているが、百姓の作った初穂を食べている
・けらは派手な着物を着ているが、枯れ木をコンコンつついて虫をとって食べている
形態素解析すると、
名詞:着物 雀 けら 親 こと コンコン 今 初穂 危篤 地味 姉妹 枯れ木 死に目 派手 病気 百姓 着の身着のまま 虫
動詞:着る 飛ぶ 食べる あう ある いう おる つつく できる とる 作る 喜ぶ 来る 知らせる 行く
形容詞:ない 早い
副詞:すぐ
雀/けらの構図です。動物同士です。雀―親の死に目―けらの図式です。
雀とけらは姉妹だった[血縁]。親が危篤という知らせが来たとき[一報]、雀は着の身着のままで飛んでいったので親の死に目にあえたが[即行]、けらは派手な着物を着てから行ったので親の死に目にあえなかった[遅参]。それで雀は地味な着物だが百姓の作った初穂を食べ[美食]、けらは枯れ木をつついて虫を食べている[粗食]。
雀とけらは姉妹だったが、親の死に目にあう/あわないでその後の食べ物が異なった……という内容です。
発想の飛躍はけらが着物を選ぶことでしょうか(おるという方言が適切に解釈できませんでした)。けら―着物―親という図式です。
私も二十代の頃、父が胃がんで倒れたのですが、病院に到着したときには既に脳死状態でした。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)p.382.
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