何かを捨てる覚悟――佐々木敦『「批評」とは何か? 批評家養成ギブス』
佐々木敦『「批評」とは何か? 批評家養成ギブス』を読む。著者による批評家養成講座の模様を収録したもの。「ギブス」とあるのは「巨人の星」の大リーグボール養成ギブスからだろう。今の若い人には既に理解不能であろう。
批評家を志すためには膨大なインプットが必要であることが語られる。例えば著者は若い頃一年に六百本の映画を見ていたという。一日ニ作品くらいのペースで消化しないと達成できない数字であり、一日の内四時間ほどを割かなければならない。著者はこの他に音楽や文芸も鑑賞していたのであり、普通の勤め人には到底無理となる。何かを犠牲にしてでもという覚悟がなければ批評家にはなれないということだろう。
僕自身、批評家になりたいのではない。ああいった文体の文章は書けない。読書の対象として批評が視界に入ってきたというところである。
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