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2022年8月13日 (土)

葬式の使い――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔あるところに猟の好きな六兵衛という男がいた。毎日いろいろな鳥獣を獲ってくるので女房が嫌がって猟を止めるように頼んだが、六兵衛は猟が面白くて止めようとしない。いつも女房と口げんかをしていた。ある日のこと、また口げんかをして山へ鉄砲を担いでいった。そして山の中をあちこち獲物を探したが、その日に限って獲物が獲れない。山奥深く探していく内に道に迷ってしまった。六兵衛は大きな木に登って夜を明かすことにした。すると、夜中頃になってどんどん人の足音がしてきた。六兵衛を呼ぶ声がして、女房が腹痛で苦しがっている。帰るようにと告げた。六兵衛が黙っていると、そこにいるのは分かっているんだ。早く帰りなさいと告げた。それでも黙っていると、これほど言っても戻らんなら死んだって知らない。集落の者まで集まって相談しているのにと言ってぶつぶつ言いながら帰った。六兵衛は変な事を言ってきたと思っていた。すると提灯の火が見えてきた。また六兵衛に家に戻るように告げた。六兵衛が黙っていると、女房が死にそうなのに猟に憑かれた者は訳が分からないとぶつぶつ言って帰ってしまった。しばらくすると、また提灯の火が見えてきた。女房がとうとう死んだ。葬式のことがあるから早く戻るようにと告げた。それでも黙っていると、帰ってしまった。しばらくして夜が明けたら帰ろうと思っていると、今度はぞろぞろと人が棺を担いで来た。六兵衛が戻らないから死人を一人おく訳にもいかないから棺をこしらえてここまで持ってきたと告げた。六兵衛は一晩の内にこしらえて持ってくるはずはないから何かが化かそうとしているのだと思ってずっと動かずにいた。その内だんだん夜が更けてしんとしてきたら柩がバリバリと音をたてて裂けた。そして中から女房が出てきた。女房が六兵衛に呼びかけたが黙っていると木へ登りはじめた。だんだん近づいてきて手が届くかと思ったところで六兵衛は鉄砲を構え、足に手が触ったのでズドーンと撃つとドッタンと落ちた。その内に夜もしらじらと明けたので、やれやれ変なことがあったが何が化かしたのだろうかと思って下へ降りてみると、ずっと血の跡が続いているので、その跡をつけていくと自分の家へ帰っていた。おかしなことだ。本当に女房が死んだのだろうかと思って帰ってみると、女房が鉄砲で撃たれて死んでいた。これは仏さまが見せしめのためにやってくださったのだろうと思って、はじめて六兵衛も目が覚めて、それから猟をすっぱりと止めた。

◆モチーフ分析

・六兵衛という猟が好きな男がいて、殺生を諫める女房と喧嘩ばかりしていた
・ある日、山に入ったが獲物が一匹も撮れない
・その内に道に迷ってしまった
・大きな木に登り、一晩明かすことにする
・夜が更けると、足音がして女房が腹痛で苦しんでいると告げる
・六兵衛は黙ったままやりすごす
・今度は提灯の火が見え、女房が死にそうだと言い六兵衛に家に帰るように告げる
・六兵衛は黙ったままやり過ごす
・今度は女房が死んだ、葬式のことがあるから帰るようにと告げる
・六兵衛は黙ったままやり過ごす
・今度は棺を運んでくる
・六兵衛は黙ってやり過ごす
・棺から女房が出てくる
・女房、木に登ってくる。手が触れそうになる
・六兵衛、女房を鉄砲で撃つ
・六兵衛、血の跡を追うと自宅に戻る
・女房が鉄砲に撃たれて死んでいた
・六兵衛、改心する

 猟の途中で道に<迷った>六兵衛は木の上で一晩<明かす>ことにする。得体の知れない者がやってきて女房の身に不幸があったから戻るように<告知>する。六兵衛は<黙殺>する。それを何度か繰り返して、死んだはずの女房が<登場>する。六兵衛は近づいてきた女房を鉄砲で<撃つ>。血の跡を<追跡>すると、自宅で女房が撃たれて<死亡>していた。六兵衛は<改心>した。

 発想の飛躍は木の上に登った者に得体の知れない何ものかが引き返すように諭すところでしょうか。更に死んだはずの女房まで登場して物語はバッドエンドとなります。これはバッドエンドですが、実は狸が化かしていたのだというハッピーエンドのパターンもあります。私はこのバッドエンド版が何か得体の知れない感じがして好きです。

 また、六兵衛が日常→非日常→日常と巡る話でもあります。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.166-170.

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