思想は堂々巡り――佐々木敦「ニッポンの思想」
佐々木敦「ニッポンの思想」を読む。目次に挙げられているのは浅田彰、中沢新一、蓮実重彦、柄谷行人、福田和也、大塚英志、宮台真司、東浩紀といった面々である。八〇年代のいわゆるニューアカからゼロ年代までの日本の現代思想について触れられている。本自体は読了するのにさほど時間はかからなかったが、思想は極限まで思考を突き詰めるので、引用箇所を読んでもよく分からない部分が多かった。突き詰めると堂々巡りとなるというところだろうか。
僕自身、大学入学は八〇年代後半なのでニューアカの空気はあった。中沢新一の講演は聴いた記憶がある。何でも料亭政治の始まりは幕末の志士たちによるのだとか。ただ、就職してからは疲れてしまうので本を読まなくなってしまったが。
個人的な感想としては、ポストモダンというよりインターネット以前/以後の方が実感に近い。大きな物語というのはたまたま長く続いた社会通念でしかないのではないか。現代はある時代から次の時代への端境期にあるのではないかといったところである。
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