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2022年7月30日 (土)

ぶいが谷の酒――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔あるところに良い爺さんと悪い爺さんがいた。良い爺さんがあるとき山の中で木を伐っていると、木を伐るたびに「ぶいぶいぶいが谷に酒が湧く」という音がする。ぶいが谷に行ってみると谷から酒が湧き出ていた。爺さんが飲んでみると、とても旨いので、夢中になって飲むうちにすっかり酔って寝込んでしまった。すると、猿がたくさん出てきて、ここに地蔵さんが寝ている。どこかへ持っていってお祀りしようと言って爺さんをかついで走っていった。その内に爺さんの金玉がぶらりと下がった。猿たちはこれを見て、ぶらりと下がった。何だろうと言ったので、爺さんはお香の袋と言った。しばらく行くと爺さんが屁をひった。ぷうんと出たのは何だろう。爺さんはお香の匂いと言った。爺さんは山の中のどこかへ連れて行かれて地蔵にされた。猿たちは爺さんを座らせると供物をたくさん供え、拝んでどこかへ行ってしまった。爺さんは猿がいなくなると供物を持って帰って近所の人たちに配った。

 隣の悪い爺さんはそれを聞いて、自分もそんな目に遭おうと思って、ぶいぶい谷へ行って酒を飲んで寝ていた。すると猿がまた出てきて爺さんをかついで行った。その内に屁の方が先に出たので、爺さんがおかしくてくすくす笑うと、猿たちは怒ってまた昨日の様に地蔵さまの真似をして供物だけをとって行こうとするふとい奴だと言って、よってたかってかきむしったので爺さんは血だらけになってしまた。婆さんは夕方になっても爺さんが帰らないので山へ迎えに行くと遠くに爺さんが見えた。爺さんと同じ様に欲張りの婆さんは爺さんが赤いきれいな着物を着て帰ったと思って大喜びしたが、近寄ってみると、爺さんは血だらけになってうんうん苦しんでいた。

◆モチーフ分析

・良い爺さんと悪い爺さんがいた
・良い爺さんが山で木を伐っていると、ぶいが谷に酒が湧くという音がする
・谷に行ってみると酒が湧き出ていた
・夢中になって飲む内に酔って寝込んでしまう
・猿が出てくる
・猿、地蔵さんが寝ていると爺さんを担いでいった
・爺さんの金玉がぶらりと下がる。お香の袋と答える
・爺さん、屁をする。お香の匂いという
・爺さん、山の中のどこかで地蔵さんとして祀られる
・猿、たくさんの供物を供える
・猿が去った後で爺さんは供物を持って帰り、近所の人に配る
・隣の悪い爺さんは良い爺さんの話を聞いてぶいが谷に行く
・悪い爺さん、谷で酒を飲んで寝てしまう
・猿がまた出てきて悪い爺さんを担ぐ
・悪い爺さん、屁をする。爺さん、くすくす笑う
・猿たちは昨日のように地蔵さまの真似をして供物を取るといって、よってたかってかきむしる
・悪い爺さん、血だらけになる
・悪い婆さん、爺さんが赤い着物を着ていると思う
・近づくと、爺さんは血だらけになって苦しんでいる

 良い爺さんが木を<伐って>いると、谷に酒が<湧く>と<聞こえる>。谷で<飲酒>して<寝て>しまう。猿がやってきて爺さんを地蔵と<誤認>して<担いで>いく。金玉をお香と<誤魔化す>。屁をお香の匂いと<誤魔化す>。爺さん、地蔵として<祀ら>れて供物を<供え>られる。猿が<去った>後で爺さんは供物を持って帰る。悪い爺さん、良い爺さんの<真似>をする。悪い爺さん、谷で<飲酒>して<寝て>しまう。猿が<出現>して爺さんを<担いで>いく。爺さん、屁をしてくすくす<笑う>。地蔵でないと<露見>し、<かきむしられる>。爺さん、血だらけになって<帰還>する。

 隣の爺譚です。発想の飛躍は猿が爺さんを地蔵さまと勘違いするところでしょうか。余所の真似をするものではないという教訓話になっています。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.121-122.

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