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2022年7月18日 (月)

賀茂神社の三重の塔――モチーフ分析

◆あらすじ

 昔、石見町中野の賀茂神社の三重の塔を建てた時のこと。この塔は有名な左甚五郎に頼んで建てた。甚五郎は日本一の大工だから、どんな力を持っているかと思って原山の山姥が様子を見にやってきた。山姥が甚五郎にこの塔を一夜で建てることができるか尋ねた。甚五郎は一夜で建ててみせると請け負った。すると山姥が甚五郎が一夜で建てるなら自分も一夜で機を織ってその布で原山を包んでみせると言った。勝負をすることになった。夕方から仕事にかかった甚五郎は一生懸命細工をしたが夜明け近くなったので、ふと原山の方をみると、一面に白い布らしいものが山を包んでいる。負けてしまったと思った甚五郎は道具を片付けて早々に逃げ出した。日和を通って川戸越しの月の夜という所まで逃げたが、夜が明けたので原山の辺りを見回すとどうしたことか別に白い布らしいものは掛かっていない。よく考えてみると、どうも月の光で白く見えたのを布で包んであると勘違いしたのだと気がついた。しかし、今更帰る訳にもいかないので逃げていった。「月の夜」という地名は今でも残っている。

◆モチーフ分析

・賀茂神社の三重の塔を左甚五郎が建てた
・様子を見に原山の山姥がやって来た
・山姥、塔を一夜で建てることが出来るか甚五郎に尋ねる
・甚五郎、一夜で出来ると請け負う
・山姥、ならば自分は一夜で機を織って原山を包んでみせると言った
・甚五郎と山姥、勝負することになる
・夕方から仕事を始めた甚五郎、夜明け近くに原山の方を見ると、一面に白い布が包んである
・負けたと思った甚五郎、道具を片付けて逃げ出す
・月の夜まで逃げたが、夜明けに原山を見ると白い布は掛かっていない
・月の光で白く見えたのを勘違いしたらしい
・今更帰る訳にはいかないので逃げていった

 三重の塔を<建築>していた左甚五郎の許に山姥が<来訪>する。甚五郎と山姥は一夜で塔を建てられるか、一夜で原山を布で覆えるか<勝負>する。夜明け近く、原山が一面布で覆われていると<認識>した甚五郎は<逃走>する。夜が明け月の夜までやってくると、それは<錯覚>だったと<判明>する。今更引き返す訳にもいかないので甚五郎は<逃走>する。

 発想の飛躍は一夜で山を布で覆うというところでしょうか。勝負は一旦負けたかに見えますが、それは錯覚だったと判明するのです。

◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.97-98.

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