一度は体験したいKJ法――川喜田二郎「発想法」
川喜田二郎「発想法」(中公新書)を読む。KJ法は現在で言えば質的研究にあたるもので、収集した大量のデータを一行要約的に細かく分解、カード化して脱文脈化したものを、親近感のあるカード同士をまとめて小グループにし、更に中グループにまとめて……として図解化、データの傾向を読み取り、更に文章化して再文脈化する……という説明でいいだろうか。小から大へというところがミソだそうである。
中には孤立したカードも出てくるそうだが、それは必ずしも失敗ではなく、むしろ発想の元となる可能性が高いそうである。
発想とその統合は未開拓の分野であるとして取り組んだその結晶がKJ法である。
KJ法って一度体験してみたいのだが、経験したことがない。絵心がなくて描画ソフトも使えない。図解するのが苦手である。基本、紙ベースで行うものだが、現在はソフトウェア化されているようだ。
KJ法は理性による思考ではなく情念による思考だとしている。脳科学的なことは分からないが、脳内でバックグラウンド的に連想、アナロジー的な思考が働いており、それを可視化する手法というところだろうか。
<追記>
ScrapboxというWEBサービスがKJ法の理念に近いかなという印象。Scrapboxはカードをまとめることはできないが、ページ間にリンクを貼ってリゾーム状の構造にできるのである。
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