三把の藁を十八把――モチーフ分析
◆あらすじ
昔、爺さんと婆さんがいた。娘がいていい女房だった。多くの若者が我こそは聟にと思っていた。いい聟をとろうと思った爺さんと婆さんは門口に立て札をたてた。三把の藁を十八把に数えた者に娘をやると宣言した。若者が代わる代わるやってきて、どうにか十八把に数えようと思ったが、どうしてもできない。皆、諦めて帰った。そこへ村一番の頓知(とんち)の利く者が行って、「ちょいと来ると二把(庭)ござる。なかえの隅に九把(鍬)ござる。門に三把で十八把」と答えた。感心した婆さんはこの者が聟だといって娘をやった(十四把にしかならないが話はこのようになっている)。
◆モチーフ分析
・爺さんと婆さんにいい娘がいた
・多くの若者が娘を嫁に欲しがっていた
・爺さんは門に立て札をたてお題を出す
・誰も解けない
・村一番の頓知の利く者がお題を解く
・婆さんは娘を嫁にやった
形態素解析すると、
名詞:娘 婆さん 嫁 爺さん 題 多く 村一番 立て札 者 若者 誰 門 頓知
動詞:いる たてる やる 出す 利く 解く 解ける
形容詞:いい 欲しい
爺さん/婆さん/娘/頓知の利く者の構図です。抽象化すると、親/娘/知恵ものの図式です。難題―娘―頓知の図式です。
求婚のお題が出される[出題]。誰も解けない[不正解]。頓知の利く若者がお題を歌にかけて解く[解読]。若者、娘を嫁に貰う[獲得]。
頓知を利かせた者が難題を解く……という内容です。
発想の飛躍はお題とその答えでしょうか。難題―娘―頓知の図式です。歌で解くというのが気が利いています。
難題婿譚です。
◆参考文献
・『日本の民話 34 石見篇』(大庭良美/編, 未来社, 1978)pp.81-82.
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