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2022年5月

2022年5月28日 (土)

悪文解読法あり――千葉雅也「現代思想入門」

千葉雅也「現代思想入門」を読む。フランス現代思想(主にポスト構造主義)についての入門書。日本人学者が日本語で日本人に向けてかみ砕いて書いているので分かり易かった。

デリダ、ドゥルーズといった学者の名は知っているが、彼らがどのようなことを述べたのかは知らなかった。最先端の領域では観念論と実在論が交錯しているという解釈をしてもいいだろうか。

哲学書を読む際には翻訳文体が壁となる。文法が異なり言い回しも違うから頭にすっと入ってこないのだ。本書では悪文とも言える文章の読解法も記されている。弁論術、レトリックの技法が盛り込まれていることも原因の一つだとか。

哲学を本格的にやるにはIQ120くらい必要なのかなと考えている。僕自身は親に何も言われていないので、多分IQ100前後だろう。しかし、東大出の著者も一読では理解できないと書いているので、難解なのは誰にとっても難解なのかなと思わされる。

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2022年5月26日 (木)

一応、読めた――中井正一「美学入門」

中井正一「美学入門」を電子書籍版で読む。日本人学者が日本人向けに日本語で書いているので、読むことは読めた。美学も哲学と同じで、本格的にやるには多くの哲学者の膨大な書物を読む必要がある。無理。

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2022年5月23日 (月)

頭にすっと入らない――バウムガルテン「美学」

バウムガルテン「美学」を読む。800ページ以上ある大著。ギリシア・ローマ的教養に裏打ちされた本。頑張っても一日10%くらいしか読めない。決して難しいことを言っているのではない。むしろ懇切丁寧に論じているのだが、翻訳文体なので、元の言語と日本語では言い回しが異なることもあって、さっぱり頭に入らない。読み進めるのはかなり苦行であった。

訳者あとがきによると、晦渋なラテン語で書かれているとあるので、難解な本ではあるのだろう。訳者あとがきを読んでから本文を読んでもよかったかもしれない。

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2022年5月21日 (土)

オープンフォーラム合評会に参加する

オープンフォーラム合評会に参加する。僕自身、簡単な発表をしたが、「血が騒ぐ」の書き方が曖昧で広大の先生が余談で語ったことと伝わっていなかった。石見神楽の八調子と六調子の違いについて説明を求められた。確かに未見の人には意味が通じないかもしれない。なお、八藤後(やとうご)先生が笛を習っていて、調子とは一般に笛の調子を指すとのことであった。知らなかったので勉強になった。また、次号以降の課題として伝統の商業化、歴史的背景などを求められた。また、斉藤先生曰く、関東の方が文化行政に親和的で関西の方は自由にやっているとのことであった。

斉藤先生は芸能の観光化、学校教育化について論じられていた。武蔵小杉の御神輿について、従来のフィールドワークは実施せず、一人のインフォーマントに50問くらいの質問をすることで書き上げられたと(第三者の査読待ち)とのことであった。

司会の八藤後先生は抽象的な思考でも頭の回転が速く、学者の能力を実感できた。

ちなみに、僕の環境ではスペック不足でZoomの背景差し替えはできなかった。生ゴミじゃないけど汚部屋なのである。

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2022年5月19日 (木)

利用規約に同意が必要だった

今日、国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」がリリースされた。ログインしようとしたら弾かれた。なぜ? と思ったら利用規約に同意が必要だった。

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2022年5月14日 (土)

ひろしま神楽大阪公演をライブ動画配信で視聴する

ひろしま安芸高田神楽大阪公演をYouTubeのライブ配信でみる。「神降ろし」「戻り橋」「滝夜叉姫」「大蛇」の四演目が羽佐竹神楽団によって舞われる。司会は斉藤裕子さん。まず安芸高田市長と広島県副知事の挨拶から始まる。アンバサダー(大使)としてケミストリーの堂珍嘉邦氏が紹介される。堂珍氏は安芸高田市出身だが神楽を見るのは初めてとのこと。生まれて間もなく都会に引っ越しでもしたのだろうか……と思ったら違った。会場はメルパルクホールOSAKA。1010名収容。ひろしま神楽では毛利元就を題材にした新作神楽が創られているとのことであった。

幕間には堂珍氏が舞衣を試着する場面もあった。重いとのこと。

芸北神楽では神楽のライブ動画配信が定着した。動画を見ていて感じたのは音声レベルが高くて口上が聞き取れたこと。これができている動画は多くないと思う。高い技術水準を示した。

一演目40分ということもあってか「戻り橋」の傘売り善兵衛はあまりおしゃべりしなかった。「滝夜叉姫」の配下はコミカルな役柄ではなかった。「大蛇」は八頭登場した。そのため一頭あたりのバトルは短めだった。

なお、近年では夜神楽が減っているともコメントされていた。

視聴している人数については全画面表示で見ていたので見落とした。「大蛇」の上演が終わった後で380人くらいだったか。

ツイートしたらインプレッションが1890まで伸びた。自己最高記録。リツイートされると違うんだなと思わされる。

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2022年5月12日 (木)

グランドセオリー的スケール感――松村一男『神話学入門』

松村一男「神話学入門」を読む。神話学は言語学との関連性が大きくグランドセオリー的なスケール感がある。本書では19世紀と20世紀の神話学者、マックス・ミューラー、フレイザー、デュメジル、レヴィ=ストロース、エリアーデ、キャンベルの6人を取り上げる。19世紀の神話学の背景には比較言語学や進化論がある。一方で二十世紀に入ると、精神分析や構造言語学が理論的支柱となってくる。読みたかったのはバナナ型とかハイヌウェレ型といったタイプ別の分類だったのだけど、学説史という点で興味深かった。

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2022年5月 9日 (月)

具体的事例多し――澤渡貞男『ときめきの観光学 観光地の復権と地域活性化のために』

澤渡貞男『ときめきの観光学 観光地の復権と地域活性化のために』を電子書籍版で読む。観光学の教科書だが、具体的事例が多く分かり易かった。例えば、地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律、通称おまつり法については制定当初、民俗学者の猛反発があった。観光業者との思惑の違いという点で掘り下げてくれれば良かったと思う。

これらの行事、祭り、上演などは地域の人々にとって心のふるさと的な意味合いのものが多く、実施によって、地域の人々の思いは一応の完結を見るのであるが、それを広く紹介し、その心や、美しさを共有することも体験として意味あることと言わねばならない。そして、モノから精神的なものに国民の関心がシフトしつつある今日においては、このような体験を求める旅行者が多くなってきているのである。

民俗学者たちは芸能が本来の目的を離れて、ステージにおいて第二義的な文脈で演じられることに一様に反対の声を挙げたのである。

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