誤配は必要――東浩紀「ゲンロン戦記」
東浩紀「ゲンロン戦記」を読む。批評家の東浩紀がゲンロンという会社を立ち上げた顛末が記されている。経理を人任せにしていたら使い込みされていたとかそんな失敗話が多い。東氏は経営の専門家ではないから、脇の甘さにつけ込まれたというところか。それでも、放漫経営下のアイデアとして出されたゲンロンカフェが収益を生みだすようになっていく。
東氏は誤配という概念を多用する。あるメッセージが誤って本来伝えられるべきでない人に伝わってしまうという状態を指したものだが、誤配が着想の源になるとしている。
東氏はゲンロンの10年間で疲弊した。その時間を純粋な思考に当てるべきだったとも言えるかもしれない。が、東氏はそうは考えない。現状、コロナ禍でオンラインでの対面が増えているが、本来は顔を突き合わせて語るべきだと考えているのである。そこで誤配も生じる。
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