形と型を分ける――生田久美子『「わざ」から知る』
生田久美子『「わざ」から知る』を読む。主に日舞を中心とした芸事の習得過程について論じたもの。認知科学の本であるが、難しい語句は用いられていない。専門用語はハビトスくらいである。
本書では「形」と「型」が分けて論じられている。「型にはまった教育」という言葉に見られるように型はネガティブな印象を与える場面でも用いられるが、ここではそうではない。「形」の模倣を繰り返して身体的に習熟し「型」に到達するという風に使い分けている。「型」の習得は「間」の習得でもある。
芸事では師匠の技を見て模倣するの繰り返しである。その意味で体系的段階的な学習メニューを持つ教育とは異なっている。本書では心身二元論的な教育観から離れて心身合一的な認識で論じたものとなっている。
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