90年代初頭の本――神崎宣武「観光民俗学の旅」
神崎宣武「観光民俗学の旅」を読む。本書は学術書ではなく、台湾ツアーを通してみた日本人論という色彩が強い。
終章では日本における旅行業の発生を江戸時代の伊勢の御師にみる。
文化人類学には観光人類学というサブジャンルがあるのだけど、民俗学に観光民俗学というサブジャンルは無い。民俗学は真正性(オーセンティシティ)を重視するから、観光に対する視線は一段下に見るものとなっているのだ。
本書が出版されて30年以上が経過したが、有形無形の文化財にとって観光という文脈は欠かせないものとなってきている。
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