アイロニーとユーモア――千葉雅也「勉強の哲学」
千葉雅也「勉強の哲学」を読む。原理編は言葉をボケとツッコミで解体していく試みと言えばいいか。
アイロニーは既存の物事を疑うこと。疑うことを繰り返していけばキリがなくなる。また、そうしたところで絶対的真理には辿り着けない。一方、ユーモアは斜め上の発想をするだろうか、意味をずらしていく訳である。すると次第に意味が発散し失われていくが、これは享楽的こだわりによってストップが掛けられるとしている。
勉強は始めたら限りなく発散していくが、どこかで有限化しなければならない。エイヤッで決めると決断主義になってしまって判断の根拠が失われる。
実践編では実際の勉強においては、まず入門書から入るといいとする。ここで大事なのは信頼できる著者を見つけることである。そしてある程度理解してから専門書に入っていくことを勧めている。
付記は難しくて分からなかった。
余談。
セカイ系の作者には、いわゆる氷河期世代が多い。氷河期世代が作品の発表の場を得たのがゼロ年代だったということではないだろうか。
僕は小説は読まない。特に私小説の類いは。柳田国男は弟子に小説を読むなと言ったそうである。だから……というのは冗談である。社会人になってからモノを知らないなと痛感することが多く、自然とノンフィクション寄りになったのである。
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