商業主義とNPO法人
「比較社会・入門 グローバル時代の<教養>」(苅谷剛彦/編)の第三章「芸術 アートはビジネスになりうるか」(佐藤郁哉)を読む。「商業主義」というキーワードに興味があったので。ここでは日米の演劇シーンを取り上げる。商業主義は芸術性/商業主義という二項対立概念で用いられることが多いだろうか。
実験的・前衛的な小劇団が経営の安定化を図ろうとすると、観客動員数の増大、つまりチケット収入を増やす方向に向く。しかし、それは演劇の実験性、前衛性を損なう方向に作用する。そういった小劇場のジレンマをいかに解決するかだが、米国ではNPO法人化して助成金を得るという方向で収入を多角化、解決しているとのこと。日本でもNPO法人の設立が盛んとなり、また文化芸術に関する助成金が増える傾向にある。ただ、日本の場合、欧米の様なノウハウがなく模倣するだけといった事態にもなっていると分析する。
前述した通り、商業主義というキーワードに興味があって買ったものだが、国会図書館で検索しても佐藤郁哉氏の論文しかヒットしない。案外、真面目に取り上げる人がいなかったのだろうか。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- アナーキー 上野千鶴子「近代家族の成立と終焉」(2023.03.27)
- 翻訳ものに比べれば――柄谷行人「マルクスその可能性の中心」(2023.03.18)
- 家事は不払い労働――上野千鶴子『家父長制と資本制――マルクス主義フェミニズムの地平』(2023.03.10)
- 推敲を終える(2023.03.04)
- Amazon Kindleストアで電子書籍の販売を開始しました。(2023.03.01)