実は政治的――東浩紀「ゲンロン0 観光客の哲学」
東浩紀「ゲンロン0 観光客の哲学」を読む。観光客とあるので観光学の理論づけかと思って読み始めたが(民俗学と観光学の関係に興味があった)、次第に政治色を帯びていった。
現代の我々はグローバリズムとナショナリズムの狭間で人間性を失っている(動物化)とする。観光客とは郵便化されたマルチチュード(民衆、衆愚)であるとする。郵便的とは誤配にもとづく意図しないコミュニケーションである。
サイバーパンクの段に来ると饒舌になるので、根はやはりオタクなのかなと思う。
ルソー、カント、ヘーゲルまで遡って人間のあり方を再考する。ただ、近代西洋の人間観は有色人種をヒトとして見ないというものではなかったか。いずれにせよ、「動物化するポストモダン」に比べると格段の進化だ。
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