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2021年9月

2021年9月28日 (火)

オンデマンド版予約受付開始

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09GXKMNZM

「石見の姫神伝説―乙子狭姫、胸鉏比売、天豊足柄姫命、櫛代賀姫命など―」のオンデマンド本が9月30日に発売開始となります。価格は税込み2178円。受注生産なので割高ですが、電子書籍版ともどもよろしくお願いします。

この本については、国会図書館に献本することが目的なので売れなくても仕方ないかなと思ってます。電子書籍は250円です。アンリミテッド会員なら無料。また、10月10日に電子書籍版の無料キャンペーンを予定しております。

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2021年9月27日 (月)

紙の本は修正できない

「石見の姫神伝説」狭姫の項に誤記があるのに気づく。「あどけない神話」は木村晩翠ではなく石村禎久だった。電子書籍の方は修正可能だが、紙の本は修正に5,000円掛かってしまう。事実上できない。

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2021年9月26日 (日)

西洋の東洋観――サイード「オリエンタリズム」

サイード「オリエンタリズム」上下巻を読む。800ページ以上もある大著なので読破するのに時間がかかった。幅広い事象を扱っており、一読で理解できる内容ではないので簡単に記す。著者のサイードの出自はパレスティナだとのこと。

オリエンタリズム、西洋の東洋観を扱った本である。主に中東からインドまでを対象としていて日本を含む東アジアは対象外となっている。中東でもトルコについては言及されていない。トルコに言及していないのは民族的に異なるとしても要注意点ではないか。

オリエントはユーラシア大陸とアフリカ大陸とを結ぶ交通の要衝でもあり、古代文明、イスラム文明が花開いた土地でもある。現在は石油を軸にしたエネルギー政策で世界に影響力を及ぼしている。

一口にオリエントと言っても、そこには「セム族」「アラブ」「イスラム」といったアイデンティティが錯綜しているのである。オリエンタリズムは原理的に反セム族、反アラブ、反イスラムの色を帯びている。

サイードは欧米が長年に渡って蓄積してきた東洋観についてドグマだと痛烈に批判する。例えばアラブは更生できない連中だと敵視する見方などである。該博な知識に裏づけされた論旨には説得力がある。

問題の根深さを感じさせるのは本書が欧米で英語で発表されたこと、著者が米国の大学に奉職していること。他のレビューにフーコーの影響を指摘したものがあるが、欧米に拠点を置いて欧米発の認識論に基づいて欧米の言語で発信せざるを得ないという状況自体が欧米社会の優越性を感じさせる。

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2021年9月25日 (土)

注文していた新書が届く

注文していた佐々木健一「美学への招待」カロル・タロン・ユゴン「美学への手引き」という二冊の新書が届く。美学に関しては全くの無知なのだけど、知っておいた方がいいかなと思って。

演劇の「商業性/芸術性」という二項対立についても知りたいのだけど、手がかりがない。

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2021年9月23日 (木)

本橋哲也「映画で入門 カルチュラル・スタディーズ」

本橋哲也「映画で入門 カルチュラル・スタディーズ」を読む。映画の鑑賞を通じてカルチュラルスタディーズについて学んでいくという趣向の本。

18本の映画が紹介される。
「千と千尋の神隠し」
「ハリー・ポッターと賢者の石」
「亀も空を飛ぶ」
「カンダハール」
「ヴェラ・ドレイク」
「さらば,わが愛 覇王別姫」
「恋におちたシェイクスピア」
「ミリオンダラー・ベイビー」
「耳に残るは君の歌声」
「エレニの旅」
「パッチギ!」
「息子のまなざし」
「シンドラーのリスト」
「アルジェの戦い」
「JSA」
「イン・ディス・ワールド」
「ブロスペローの本」
「鳥の歌」

正直に書くと熱心な映画ファンではない自分が観たことがあるのは「千と千尋の神隠し」「ハリー・ポッターと賢者の石」「ミリオンダラー・ベイビー」「シンドラーのリスト」だけである。4/18。

とりあえずカルチュラルスタディーズは置いといて、映画の分析が詳細になされていることに感心させられる。僕だとこれらの映画を見ても2~3行の感想しか書けないだろう。

しかし、一方で思うのである。カルチュラルスタディーズは政治的には明らかにリベラルの立ち位置なのである。歳をとって保守化した僕には理想論、机上の空論に思えてしまうのである。

大学で映画を学ぶ学生さん達は読んでおいた方がよい本だろう。

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2021年9月18日 (土)

仏花から神道花へ――中村茂子「奥三河の花祭り 明治以後の変遷と継承」

中村茂子「奥三河の花祭り 明治以後の変遷と継承」(岩田書院)を読む。タイトル通り、奥三河の花祭りの明治維新以後の変遷を取り上げた論考集。明治維新後の神仏判然令で花祭も多大な影響を受けたことが語られる。

早川孝太郎が奥三河のフィールドワークをしていた時代には、明治期の変革について事情を記憶する人が残っていたらしいが、早川はそれについてはあまり書き残していないのだとか。

花祭は神道花と仏花とに二分されるとのこと。この内、神道花が神仏判然令以降に神道流の改訂が行われたものとなる。仏教的な段が天の岩戸神話や大蛇退治、また天孫降臨の猿田彦命に改変されたのである。地元の神職らによって改訂が進められたのだけど、中には改訂を拒否する地区もあったとのことである。

事例として「花のほんげん(本元)」「花のほんげ(本華)」「花の次第」が挙げられる。花のほんげんは大神楽や花祭の根本精神とでも呼ぶものであって、「この祭文の詞章内容は、一度でも大神楽や花祭りに参詣して、花の御串を寄進したことがあるすべての者は、恐ろしい三途の川を無事に渡り、閻魔大王や浄玻璃(じょうはり)の鏡を無事に通過して、極楽浄土の曼荼羅堂へ納まることができ、御仏の手にゆだねられるというものである。」(37P)という重要な祭文であった。この祭文が神仏判然令以降は読み上げられなくなっていった。昭和十年代まで読み上げていた地域もあったとのことである。仏花の地域では戦時中も戦死者の極楽往生を願って読み上げられていたとのことである。

また、花祭はしばしば警察の干渉を受けたが、呪術的儀礼を排除することで祭りの存続を保証したとのことである。呪術的とは神がかりになる段のことだろう。

奥三河は明治維新後、幾らかの曲折を経て林業を振興するようになっていたが、戦後、林業が衰え、またダム建設で集落が水没する等もあり、過疎化が進行、祭りが廃絶していったとしている。

興味深かったのは、マサカリを持った榊鬼の解釈について、山を切り開いた土地に住民が住み着くことを祭りの実行を条件に山見鬼が許すというものである。正確には「山見鬼の鉞(マサカリ)による呪法(山の神が支配する土地に人々が山を切り開いて暮らすことを、祭りの実行を条件に許可する意味を持つ)」(44P)というものである。

著者は花祭り研究者の武井正弘の死についても触れている。武井は東京大学法学部を卒業したが、法律には興味を抱けなかったらしく、編集者として活動後、四十代になってから花祭りの研究に身を投じている。武井は残された資料から花祭りや大神楽の全貌を描き出すことに専念していたが、志半ばで亡くなってしまった。武井の死で花祭り研究は打撃を受けた。

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2021年9月17日 (金)

2件目のレビューが付く

電子書籍「石見の姫神」レビューがついた。コメントは無いが星4。ありがたい。もう一件好評価が欲しいところである。どこで読んだか忘れたが、レビュー3件以上で星3.5以上だと販促の対象となるチャンスがあるのだとか。

考えようによっては売れ行きの割にレビューが付くとも見ることができるか。

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2021年9月15日 (水)

タイトル変更

電子書籍、「石見の姫神」から「石見の姫神伝説」にタイトルを変更してアップロードする。伝説と書かないと伝説の本だと分からないだろうと思って。タイトルを変更しただけなのど、あちこち修正箇所が発生した。

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2021年9月14日 (火)

久しぶりに横浜市中央図書館に行く

みなとみらい横浜ハンマーヘッドに行ってモデルナワクチンの二回目接種を受ける。帰りに鎌倉紅谷によってクルミっ子というお菓子を買う。

久しぶりに横浜市中央図書館に行く。調べてみると、前回行ったのは2019年12月だった。中村茂子「奥三河の花祭り」と久保田裕道「神楽の芸能民俗的研究」を借りて帰る。帰りに雨が降ってきたのでコンビニによってビニール袋を調達、その中に本を入れて濡れないようにした。

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2021年9月12日 (日)

儀式舞で入賞

今になって知ったのだが、和歌山県で八月上旬に催された全国総文、郷土芸能の部門で浜田商業高校が2位(優秀賞・文化庁長官賞)に入賞したとのことである。儀式舞「神迎」で入賞したことが特筆されるだろう。

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2021年9月 1日 (水)

低調なスタート

「石見の姫神」8月の販売数は一冊。515KENP。無料配布数13冊。

1KENPは四百字詰め原稿用紙1枚くらいに相当するそうです。読み放題で読まれたページ数。

低調なスタートとなりました。KDPで売れるのはハウツー本の類いで、口承文芸のジャンルは、それも島根県石見地方限定だと需要があまり無いようです。

内容には自信あるので、無料ダウンロードした方がレビュー書いてくれるといいんですけどね。

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