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2020年12月31日 (木)

おすすめ記事:神楽

島根と広島の神楽

岩戸と天香具山
天照大神が天の岩戸に閉じこもって世界は闇に閉ざされてしまう。困り果てた神々は集まって会議をする。榊や勾玉、鏡など様々なアイテムを並べて、天鈿女命が神がかって舞う。神々がどっと湧くのを不審に思った天照大神は岩戸を少しだけ開けて外の様子を見る……という内容。

十柱の神々――誓約(うけい)
スサノオ命が高天原にやってくる。高天原を奪いに来たのではないかと疑った天照大神は男装してスサノオ命を迎え撃つ。邪心はないことを証明するため、スサノオ命と天照大神は天の安河で誓約(うけい)をする……という内容。神楽では演目化されていないが天岩戸神話の前段なため取り上げる。

コノハナサクヤヒメと桜狩
コノハナサクヤヒメと出逢ったニニギ命はサクヤヒメに求婚する。コノハナサクヤヒメの父の大山津見神は姉のイワナガヒメも添えて嫁に出すが、ニニギ命は見目のよくないイワナガヒメを送り返してしまう……という内容。

禁忌を破る――ウガヤフキアエズの誕生
海幸彦との争いに勝った山幸彦は豊玉姫と結ばれる。妊娠した豊玉姫は出産の様子を決して覗かないようにと言い置くが、待ちきれない山幸彦はこっそり覗いてしまい……という内容。


五神と五龍王――島根県石見地方の五郎王子譚
島根県石見地方の神楽で舞われる五郎王子譚である「五神」「五龍王」についての記事です。春夏秋冬・東西南北を司る四人の王子の許に末弟である五郎の王子が訪ねてきます。五郎の王子は末弟の自分にも所務が欲しいと訴えますが、四人の兄王子たちは断ってしまい……

謡曲「黒塚」と「殺生石」の合成作――石見神楽の「黒塚」
熊野の法印と剛力は那須野が原に住むという九尾の狐を調伏せんとやって来るが……謡曲「黒塚」と「殺生石」を題材にした石見神楽の演目「黒塚」について

貴船――謡曲「鉄輪」を元としつつ結末の解釈が異なる神楽の演目
離縁された夫への恨みを晴らさんが為、夜ごと貴船神社に通う女がいた。謡曲「鉄輪」を元にした石見神楽の演目「貴船」について

六調子石見神楽「山の大王」はメタ神楽か
山の大王が難しい山言葉でしゃべるのを祝詞司が一々曲解する……石見神楽の演目「山の大王」はメタ神楽ではないかという考察。

片脚の王子ときな粉の化粧の伝説――切目王子
石見神楽の演目「鞨鼓」「切目」について。熊野の伝説では切目王子は片脚の神である。それにまつわるきな粉の化粧伝説を紹介。

大江山と伊吹山――酒呑童子
丹波の国の大江山に酒呑童子が住み着いて、京の都に災いをなしていた。源頼光に童子討伐の勅令が下されて……。

反乱とは別の伝説も――滝夜叉姫と如蔵尼
広島県の芸北神楽の演目である滝夜叉姫について。平将門の娘である姫が妖術を授かって朝廷に反旗を翻す物語。

依然としてトリックスター 道返しの鬼と荒平
石見神楽の演目「道返し」のルーツに広島県の十二神祇神楽で舞われる「荒平」があるという論考。

幻の演目――広島十二神祇神楽の将軍舞
広島県に古くから伝わる十二神祇神楽。その中でも幻の演目と呼ばれる将軍舞について取り上げます。神がかる演目としても知られています。

紅葉狩と戸隠山絵巻
紅葉の戸隠山に来た平維茂が上臈に出会う。上臈の誘惑に負け酒を飲んで酔いつぶれた維茂だったが……謡曲「紅葉狩」を神楽化した芸北神楽の「紅葉狩」について。

快童丸と金太郎――坂田金時と嫗山姥
山姥の子である快童丸が源頼光の家臣となって坂田金時となる、芸北神楽の新舞「山姥」について。

神祇ではない――ぬえと頼政
頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎のぬえという怪物が夜な夜な帝を悩ませていた……石見神楽の演目「頼政」について。

酒呑童子より前か後か――土蜘蛛(葛城山)
源頼政は病を得て苦しんでいた。侍女である胡蝶が薬といつわって毒を盛り……芸北神楽の新舞「葛城山」について。

俵藤太と大百足――三上山
平安時代の豪傑である俵藤太の大百足退治伝説を神楽化した創作演目「三上山」について。

オルタナティブ――戻橋/羅生門
源頼光の四天王の筆頭の渡辺綱が鬼の腕を斬り落とすも、綱の伯母に化けた鬼に腕を取り返されてしまうお話。「戻橋」と「羅生門」は代替関係にあるようです。

薄田兼相の分身――岩見重太郎と猿神退治
父の仇を追い求める戦国時代末期の武芸者である岩見重太郎の狒々退治について。猿神退治を元とする。

天神――菅原道真と伴大納言
石見神楽の演目「天神」について。菅原道真と伴大納言善男の関係について考察。

元々は二本の尾だった――玉藻前と悪狐伝
芸北神楽の新舞の演目「悪狐伝」。茶利の珍斉和尚と三浦介・上総介が登場する中編が人気が高いようです。出典の一つ「玉藻の草子」に漢字を当ててみました。

最も創作色が濃い「鈴鹿山」と田村三代の物語
芸北神楽の新舞の鈴鹿山について。坂上田村麻呂が鈴鹿山の鬼を成敗するお話。出典候補の「田村の草子」「鈴鹿の草子」「田村三代記」と粗筋を照合すると全くの不一致でした。

壇浦と船弁慶
芸北神楽の新舞「壇浦」について。追われる源義経と弁慶が平知盛の亡霊と遭遇する。謡曲「船弁慶」が出典と思われる。

橋弁慶――弁慶と牛若丸
芸北神楽の旧舞「橋弁慶」について。五条の大橋で牛若丸と弁慶が出会う物語を神楽化した演目。

鍾馗と神農
石見神楽の演目「鍾馗」について。中国の進士である鍾馗にまつわる疫神退治の伝説とスサノオ命の蘇民将来の伝説が融合している。

おこぜと山の神と手草祭文
広島県比婆郡の栃木家に所蔵されている能本に収録された手草祭文について。おこぜと山の神の昔話の影響が見られる。

大化改新と板蓋宮
芸北神楽の新舞に大化改新を題材としたものがある。中大兄皇子が蘇我入鹿を誅殺する事件である。また、中川戸神楽団は同じく大化改新を題材とした「板蓋宮」を創作している。

神武天皇と長髄彦、兄猾、弟猾
芸北神楽に神武天皇の東征神話を題材とした「神武」がある。神武天皇が葛城の長髄彦を誅殺する内容である。また、新舞にも神武天皇を題材とした演目があり、兄猾と弟猾とのエピソードが神楽化されている。

神功皇后と「武内」
仲哀天皇の后である神功皇后の神話は石見神楽では「武内」として演目化されている。神功皇后のいわゆる三韓征伐を題材としたものである。また、関東でも「八幡山黒尉」として演目化されている。

ヤマトタケル命/四道将軍
古事記、日本書紀に見られるヤマトタケル命の神話は神楽の題材として好んで取り上げられている。ここでは石見神楽「熊襲」や芸北神楽の新舞の「新編 伊吹山」などを取り上げる。

神楽では茶利だけど――八十神
石見神楽の演目「八十神」について。神楽では兄まあと弟まあは茶利でユーモラスな存在だが、原典の古事記では狡猾で残忍な存在として描かれている。他、関東の里神楽「根之堅州国」について。

菩比の上使と天之返矢
出雲神話の国譲りの前段としてある天穂日命と天若日子の神話について。いずれも大国主命に懐柔されて国譲りを果たせず終わる。関東の里神楽「菩比の上使」「天之返矢」について。

鹿島と国譲り
石見神楽の演目「鹿島」について。出雲の国譲りを描いた演目。経津主神が登場するので日本書紀を出典としていると思われる。国譲りは国作りを行った大国主命の英雄譚の最後の物語である。

顔力で勝負――八衢/天孫降臨
記紀の天孫降臨神話について。石見神楽では「八衢」という演目で神楽化されている。また、関東の里神楽でも神楽化されていて、モドキが猿田彦命とやり合うといった場面もある。

海幸山幸と神楽
記紀神話の海幸山幸神話について。ニニギ命の息子である山幸は兄の海幸と狩りの道具を交換するが、海で釣り針を無くしてしまって……というお話。

あら、いい男――イザナギ命とイザナミ命の国生み
夫婦となったイザナギ命とイザナミ命は天御柱を巡りながら国生みを行う。ところがイザナミ命が「あら、いい男」と先に声をかけてしまい……というお話

黄泉醜女とイザナギ命の逃走
妻であるイザナミ命を亡くしたイザナギ命は妻にもう一度会いたいと黄泉の国を尋ねるが……記紀神話に記されたイザナギ命の黄泉の国への訪問とその逃走劇について

禊祓:イザナギ命と三貴神誕生
黄泉の国から戻ったイザナギ命は川で汚れた身体を洗い清める。すると天照大神、月読命、スサノオ命の三貴神が生まれた……記紀神話の三貴神誕生と神楽について

大元の神――天地開闢
渾沌から秩序が生じた。あるいは葦の若芽が萌え出るようにして原初の神が生じた……記紀神話の天地開闢について。

現在では舞われていない過去の演目――竹生島
2019年に江津市で18世紀の神楽史料が発見された。その中に「竹生島」という演目が記載されていた。現在では舞われていないこの演目は謡曲「竹生島」が元ではないかと思われる。

新羅三郎義光と金沢の巻
源義光は兄の源義家が東北で苦戦しているのを知り、官職を辞して援軍に駆けつけるが、道中、義光を追ってくるものがいた……後三年の役を神楽化

大楠公こと楠木正成
太平記に描かれた忠臣・楠木正成の活躍は広島で神楽化されている。楠木正成最後の闘いとなった湊川の戦いを題材とした「大楠公」がそれである。

神の顕現――佐陀/大社
六調子石見神楽に「佐陀」という演目がある。現在では舞われていないようだが、口上台本を確認すると、謡曲「大社」との類似性が見えてくる。

六調子と八調子で出自が異なる――恵比須
石見神楽の演目「恵比須」について。奉納神楽の他、目出度い席でも舞われる目出度い舞だけど、八調子石見神楽と六調子石見神楽では恵比須の出自が異なる(事代主神と蛭子神)のである。

鬼が許されない結末――風宮
石見神楽の「風宮」は元寇を題材とした演目で、鬼が許されない結末である。現在ではあまり舞われない演目ではあるが、一部の社中が八調子神楽として再演しているようだ。

八幡と第六天の魔王
石見神楽の「八幡」は八幡神が第六天の大魔王を成敗する内容であるが、出典が存在しない演目でもある。関東には第六天神社が幾つか現存しており、第六天の魔王(他化自在天)が祀られていたとのことである。

資料がない――関山
六調子石見神楽「関山」は大天狗が仏教の外道の悪僧を成敗する内容だが、現在では舞われることの少ない演目である。この演目、資料の類が存在しないので書くことが限られる。

狂言から神楽へ――棒縛
加藤社中の新作「棒縛」を見る。狂言「棒縛」を神楽化したもの。酒をくすねて飲む奴がいて困っていた主人はある日太郎冠者と次郎冠者を呼びつける。次郎冠者に棒術を披露させた主人はその隙に次郎冠者を棒縛りにしてしまい……という内容。

神剣幽助と小鍛冶
横浜市港北区の八杉神社で加藤社中の「神剣幽助」を見る。謡曲「小鍛冶」を題材にした演目。勅命で剣を打つことになったが、相方がいない三條宗近が稲荷明神の助けを得て、名刀小狐丸を打つという内容。

黙劇でストーリーを知らない事例――稲荷山
関東の里神楽「稲荷山」について。千箭の鬼退治と副題がついている。記紀神話にないお話で黙劇だったので、初見時はストーリーが分からなかった。

備後東城荒神神楽能本――松の能
備後東城荒神神楽の「松の能」について。広島県備後地方では両部神道の時代には浄土神楽なるものが執行されていたとのこと。経帷子には六尋の布が必要なところ、嫁が四尋しか使わなかったから成仏できないと宇佐の神主の母が頼む……という内容。

備後荒神神楽能本――目蓮の能
木蓮尊者の一人息子が母を成仏させたいと訴えるが、母は八万劫の劫災を経なければならないところ未だ一万劫しか経ていないと断られる。それでも成仏を願い、その心が通じ、神殿を建てて祝うべしと教えられる……という様な内容。広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家に伝わる能本から。

備後東城荒神神楽能本――身ウリ能
父の菩提を弔い母を生かすため自らを千両で商人に売る姫がいた。ところが、商人の目的は奥州の池に住む大蛇が一年に一度人を取って喰うため、その生贄に姫を千両で買ったのだ……という内容。広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家に伝わる能本から。

備後東城荒神神楽能本――金剛童子
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収録された「金剛童子」は謡曲「護法」と関係があった。謡曲「護法」は、陸奥国名取の老女の許を修験僧が訪ねる。名取の老女は紀国の熊野の御山に参詣したいが歳をとって叶わないので、熊野から勧請したと語る。それを見た僧と名取の老女の前に金剛童子が顕現する……という内容。

備後東城荒神神楽能本――皆サン、鹿嶋之能
備後東城荒神神楽能本「皆サン」「鹿嶋之能」を精読する。「皆サン」の能は荒神神楽の始まりの舞である。「鹿嶋之能」は鬼が日本に攻めて来たのを迎え撃つ内容で、中国地方に多く見られる鬼退治ものの原型かもしれない。

備後東城荒神神楽能本――天照大神之山ドリコエ
備後東城荒神神楽能本、戸宇の栃木家本に収録された「天照大神之山ドリコエ」では天照大神は登場せず、イザナギ命が誕生したばかりの日本国を巡って第六天の魔王に荒神、地神として祀ろうと言って自分の領分にしようとする……という内容。

備後東城荒神神楽能本――天神
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家の蔵本に収録された「天神」は、伴大納言の訴訟によって筑紫の国の大宰府に流されたが、上洛して仇を雪ごう……といった内容である。藤原時平ではなく応天門の変を起こした伴大納言が敵役となっている。

備後東城荒神神楽能本――正徳太子(聖徳太子)
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家の蔵本に収録された「正徳太子(聖徳太子)は仏法を広めて民を守護しようとした聖徳太子の前に物部守屋という悪逆の臣が立ちはだかる……という内容である。神道を保護しようとした物部氏が悪役となっている。

備後東城荒神神楽能本――天照皇大神岩戸出
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収録されている「天照皇大神岩戸出」はこの時代の岩戸神楽である。スサノオ命と争った天照大神は岩戸に籠り、神々が神楽を奏してお悦びになった天照大神が岩戸から出てくる……という内容である。

備後東城荒神神楽能本――八幡宮
備後比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収められた「八幡」だが、二人の法者に八幡の示現があって八幡の御座所を訪ねる、そこで尉(じょう)と会う……という内容である。

備後東城荒神神楽能本――クラマ天句
備後比婆郡戸宇栃木家蔵本の「クラマ天狗」は牛若が父義朝の敵を討つべく鞍馬の大天狗が持つ兵法の巻物から教えを乞い、大天狗に認められるという内容である。

備後東城荒神神楽能本――アダチガ原黒塚
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本の「アダチガ原黒塚」を読む。この時点ではまだ九尾の狐伝説とは接続されておらず、「黒塚」の古い形態だと言えよう。那須の安達ケ原で一夜の宿を求めた阿闍梨に宿の主は女は成仏できないと言うがと問いかける……という内容。

備後東城荒神神楽能本――やとが坂
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収録された「やとが坂」は出雲が舞台で八岐大蛇と同じモチーフである。やとが坂の池に住む八頭八尾の竜が毎年一人姫を食べるので、十二人いた姫も乙子(末子)の一人を残すのみとなった。嘆いた翁の前に須佐之男命の遣わしめの法者が日に行き暮れて訪れて……という内容。

備後東城荒神神楽能本――十羅切女
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本の「十羅切女」は、「十羅」「日御碕」「彦張」の古い台本と思われる。須弥山の隅が欠けて大社に流れ着き、それを搗き固めて浮浪山とした。それが黄金の山であるため、ムクリコクリが攻めて来たのを日御碕大明神が十羅刹女を率いて退散させた……という内容。

備後東城荒神神楽能本――豊後尾玉マキ、をだまきのあど
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵の「豊後苧環(おだまき)」は、昔九州は豊後の国に大名がいた。大名には一人姫君がいて西国一の美人だった。嫁にやるなら都の貴族かと思っていたところ、姫の許に夜な夜な通う者がいた。母の尼公が尋ねたところ、身なりは立派だが、どこから来るのか分からないと姫は答えた。それなら、苧環(おだまき)の糸を針に通して衣の下前に刺せばよいと教える…という内容。

備後東城荒神神楽能本――地神能とナル神ノノウ
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家本に蔵書された「地神能」と「鳴神の能」が収録されていた。「地神能」は地神五代の神を取り上げた神楽能、「鳴神の能」は雷を取り上げた神楽能と思われる。台本の最後に記されているので、神楽を締めくくる意味合いがあるのではないか。

備後東城荒神神楽能本――橋弁慶云立(はしべんけいゆいたて)
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収録された「橋弁慶云立」は源義経と弁慶の伝説を元にしている。義経が千人切を志す点で古い内容を反映させている。父義朝の供養のため千人切を志す義経の前に弁慶が立ちはだかるが、敗れた弁慶は義経の配下となる……という内容。

備後東城荒神神楽能本――文殊菩薩能
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に所蔵された「文殊菩薩ノウ」では、文殊童子が竜女が蛇体の苦しみを逃れたいと訴えるのを聞き入れて法華経を読誦する……という内容。

備後東城荒神神楽能本――胡の云立(ゑびすのゆいたて)
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収録された「ゑびすのゆいたて」は胡(えびす)が釣りをして、次々と宝を釣り上げるので、これ以上は釣らせまいと竜王が姿を現す……といった内容。

備後東城荒神神楽能本――清盛之能
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本の「清盛之能」は平家の棟梁である平清盛が厳島神社など諸寺諸社を建立して篤く信仰したところ、厳島明神が現前して薙刀を与え天下を治めさせる……という内容。

備後東城荒神神楽能本――帝釈天の能
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本の「帝釈天の能」は帝釈天が現前し、天竺の長者に塔を建立されて本尊とされている由を語る。そして修羅が攻め上るも相戦い、神通の矢に方便の弓で修羅を易々と退治、三界の衆生を守護する……という内容。

備後東城荒神神楽能本――三宝荒神能
広島県比婆郡東城町の戸宇栃木家本の「三宝荒神」は三宝荒神に関するものの中でも古いものに属するのではないかと思われる。 「三宝荒神能」は日本の三宝荒神が天竺から六面八面の荒神が日本にやって来るのを防ぐ内容である。

備後東城荒神神楽能本――熊野の日高の鐘巻の子細
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に所蔵された「クマノノ日タカノ金マキノシサイ(熊野の日高の鐘巻の子細)」は道成寺に似た話で、ある長者の許に姫が一人いた。姫は成長するに従ってある山伏を自分の夫と思い込む。そのことに気づいた強力はその気がなく日高の川を超えて逃れる。蛇となって追ってきた姫だが、山伏は日高の寺の鐘の中に身を隠した。姫は蛇体で鐘を七重に巻き、鐘を砕いてしまった……という内容。

備後東城荒神神楽能本――鐘の供養(金ノクヨウ)
広島県比婆郡東城町戸宇の栃木家蔵本に収録された「金ノクヨウ(鐘の供養)」は、紀の国牟婁(むろ)軍日高の住持が鐘の供養を行おうとするが、そこに白拍子が現れ、強力に供養の聴聞に来たと告げる。強力は女人の結界が張ってあるからと断る。それでも白拍子はそれなら我が舞を見よと舞う。強力は断ることができないが、鐘は誇らしげな白拍子を打ち据える。その鐘はかつて蛇体となった姫を成仏させたものだった。白拍子は住持に説得されて都へ帰り、鐘の供養は成る……といった内容。

神道の知識を競い合う――荒神柴問答
本田安次「日本の伝統芸能」第三巻に宮崎県の銀鏡神楽の荒神柴問答が収録されていた。神主と荒神の神道の知識を競い合う問答が中心となるが、これが神道流になった三宝荒神の最も進んだ形態と言えるのではないか。

鷲宮神社土師一流催馬楽神楽――天照国照太祝詞神詠之舞
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の最初の舞として舞われるのが「天照国照太祝詞神詠之舞である。素面の一人による舞。中啓(扇)を持ち、その後、中啓を幣と鈴とに交換する。天照国照とは天と地をわけへだてなく照らす、太祝詞は立派な祝詞という意味で、天岩戸で天児屋根命が詠んだ祝詞に由来するという。

鷲宮神社土師一流催馬楽神楽――天心一貫神楽歌催馬楽之舞
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽で第二段に舞われるのが「天心一貫神楽歌催馬楽(てんしんいつかんかくらうたさいばら)之舞」である。この曲は建築にあたっての清めの舞と言われている。素面の二人による舞である。一人は山雷神(やまいかづちのかみ)で、もう一人は野槌神(のづちのかみ)である。山雷神は榊と鈴を持ち、野槌神は篠と鈴を持って舞う。

鷲宮神社土師一流催馬楽神楽――浦安四方国固之舞
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第三段「浦安四方国固(うらやすよものくにがため)之舞は国を堅固にするための舞である。五行神楽で素面の四人による舞である。四人はそれぞれ句々廼智(くくのち)命、軻遇突智(かぐつち)命、罔象女(みづはめ)命、金山彦命を指す。四人がそれぞれ青、赤、白、黒の幣を持って右手に鈴を持って舞う。天候不順のときにこの神楽を奏してその神を祭れば、天候が回復すると言われているとのこと。

鷲宮神社土師一流催馬楽神楽――降臨御先猿田彦鈿女之舞
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第四段は「降臨御先猿田彦鈿女(こうりんみさきさるたひこうずめ)之舞」である。五穀豊穣、国家安穏を祈る舞で、安産の祈願のために奉納したともいう。天孫降臨を題材とした舞で、猿田彦命と天鈿女命は後に夫婦となる。天孫である瓊瓊杵尊を迎える舞でもある。着面の二人による舞。猿田彦神は天狗面を着け、鉾と鈴を持ち、鈿女命は赤幣、鈴、扇を持って舞う。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――磐戸照開諸神大喜之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第五段「磐戸照開諸神大喜之段(いわとせうかいしよじんたいきのまい)」は巫女二人と翁の三人による舞。日神が岩戸に隠れて、その後岩戸から出てきて再び世の中が明るくなって、諸神、万民が大喜びしたという舞である。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――八洲起源浮橋事之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第六段「八洲起源浮橋事之段(やしまきげんうきはしわざのまい)」は舞台中央に橋を置き着面の二人による舞である。イザナギ命とイザナミ命を表わす。八洲とは日本の総称で、イザナギ命とイザナミ命の国生みの神話を題材としたものである。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――大道神宝三種神器事之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第七段「大道神宝三種神器事之段(たいどうじんほうさんじゅじんぎわざのまい)」はいわゆる三種の神器に題材をとった舞で、国を鎮護し守る神楽とされている。着面の三人による舞。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――祓除清浄杓大麻之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第八段「内外清浄杓身曾貴(ないげしやうぜうしやくみそぎ)之舞」は現在では「祓除清浄杓大麻之段(はつじょしょうじょうしゃくおおぬさのまい」と呼ばれており、天津神が地上に下って高天原に帰る際に川で身を清める舞だと説明されている。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――五穀最上国家経営之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第九段「五穀最上国家経営之段(ごこくさいしやうこくかけいえいのまい)」は五穀で稲を最上とする。五穀が実り、国が豊かに栄えることを表わしている。着面の二人による舞。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――翁三神舞楽之段
埼玉県鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第十段「翁三神舞楽之段(をきなさんじんぶがく)」は舞楽を武学と同音であり相通じるとしている。平和なときであってもどんな陰謀があるかもしれないから、平和なときこそ武学が大事であるとする舞。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――鎮悪神発弓靱負之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第十一段「鎮悪神発弓靱負之段(ちんあくじんはつきううつぼ)」は敵を退散、悪魔を降伏させる神楽で、疫病が流行したときにこの舞を舞ったとされている。着面の二人による舞。右大臣と左大臣が弓矢、鈴を持って舞う。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――天神地祇感応納受之段
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の第十二段「天神地祇感応納受之段(てんじんちぎかんおうのうじゆ)」は農民が耕作を怠らずに働いても年によって豊年のときもあれば凶作のときもある。しかし、一年中穀物の神を祭り豊作を祈念すれば天候はよく豊年が続くに違いないという内容。着面の二人が舞う。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――天津国津狐之舞
埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽の番外編「天津国津狐之舞(あまつくにつきつねのまい)」は、おどけた神狐が農民に種まきを教える舞で勧善懲悪を表わしている。着面の三人による舞。

鷲宮神社の土師一流催馬楽神楽――折紙の舞と端神楽
鷲宮神社の折紙の舞は江戸時代に土師一流催馬楽神楽が十二座に編成される以前の舞を受け継いでいるとされる。端神楽は演目と演目の間に回れる短い舞。一人による舞。白幣と鈴を持って舞う。現在は児童の巫女さんが舞うようだ。いわば神楽入門の曲とも言えようか。

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