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2020年10月15日 (木)

紙数が足りない――足立重和、他「構築主義の可能性」

足立重和、他「構築主義の可能性」という論文を国会図書館の遠隔複写サービスで読む。社会学における社会構成主義について、それまでのラベリング理論との論争や理論的課題について論じられたもの。抽象的な議論である上に社会学の知識が無くてあまり理解できなかった。「存在論的ゲリマンダリング」って言われても何のことかピンと来ない。恣意的な存在論というところだろうか。ゲリマンダーについては高校で習った記憶があるが。元は政治学の用語である。難解だけど、それでも上野千鶴子/編「構築主義とは何か」よりはマシだったと思う。

社会構成主義の成り立ちについては限られた紙数に全てを盛り込むことは難しいようだ。僕の頭は高等教育を受け付けなかったから大学院レベルの議論にはついていけないのだけど、やはり具体例が欲しいところである。

ところでなぜこの論文を読んだかというと、著者の足立氏の論文を以前に読んだことがあったからである。それは岐阜の郡上おどりに関する論考だったが、そこでの氏は構築主義(文化構成主義)について醒めた眼差しであるように感じられたのである。「構築主義の可能性」は氏が大学院生のときのものだから、それ以降で心境の変化があったのかもしれない。

文化構成主義でネットをググっても、天理大学のPDFしかヒットしなかった。文化構成主義については社会構成主義ほど難しくない気がするが、この立場をとると伝統文化に本物も偽物もないという結論に至ってしまう。それも何か不自然な解釈の気がするのである。

なお、
社会構成主義(Social Constructionism)
というサイトのページでは

「社会構成主義とは、「社会の様々な事象は人々の頭の中で作り上げられたもの(認知)であり、そを離れて社会は存在しない」とする社会学の立場を表す。」

「こうした見方は極めて哲学的で、分析的アプローチとは合い入れないことから、社会構成主義は社会科学者の間で次第に廃れていくこととなった。」

とある。

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