父宮亡くなる――日本古典文庫「源氏物語」「椎が本」
日本古典文庫「源氏物語」「椎が本」を読む。二月の二十日過ぎに兵部卿の宮(匂宮)は大和の初瀬寺へ参詣することになった。宇治に六条院(源氏)の遺産として右大臣(夕霧)の土地と別荘があった。薫の宰相中将が同行する。匂宮は八の宮との交渉も薫がいれば都合よく運ぶだろうと満足する。聖人(八の宮)の住居は別荘から船で渡って行ける場所に位置していた。薫の許に八の宮から手紙が届く。兵部卿の宮が返事を書く。薫は自分で赴く。兵部卿の宮は以前から宇治の姫君に関心を抱いていて、自由な行動のできないのを恨みに思っていたから、この機会に女王の消息を知りたいと手紙を出す。こんなときは軽く相手をしておくべきだと八の宮は中姫君に返事を書かせる。それから直接の手紙が八の宮へ届くことになった。中姫君が返事を書いた。八の宮は親として譲歩してもよいと思われる男が求婚してきたなら結婚を許そうと思っていた。源宰相中将(薫)は中納言になった。華やかな高官になったが、父の罪をあがなうため仏勤めしたいと願っていた。中納言(薫)は宇治の宮へ出かけた。迎えた八の宮は自分が亡くなった後も女王たちを時々訪ねてやって欲しいと心細さを話す。薫は承る。秋が更けていくにつれて八の宮は健康を損ね、山寺へ籠ることにした。八の宮は女王たちに自分が亡くなった後、軽率な結婚はしてはならないと言い置く。山寺で八の宮は病を得た。そして遂に亡くなる。せめて遺骸を見たいという女王たちを山寺の阿闍梨が執着心が生じるからと制する。薫も八の宮の訃報を受け取った。薫は弔問の品々を贈る。兵部卿の宮(匂宮)からも慰問の手紙が来たが女王たちは返事を書かなかった。匂宮はよそよそしく扱われると恨めしがる。八の宮の四十九日が済んだ。中姫君が匂宮の手紙に返事を書けないでいるので、姉の大姫君が代わりに手紙を書く。兵部卿の宮は軽薄な求婚者とは見られていなかった。忌中が過ぎてから薫が訪ねてきた。大姫君と会話した後で老女(弁の君)が応対する。兵部卿の宮(匂宮)が薫と会うときは必ず宇治の姫君の話題が出た。新年の前に雪の中、薫は宇治を訪ねた。兵部卿の宮は好色ではないと告げる。兵部卿の宮は手紙を送る。中姫君から返事が来る。兵部卿の宮は右大臣(夕霧)の六女には関心を抱いていなかった。その年に三条の宮は火事で焼けて入道の宮(女三の宮)が六条院に移った。そのため薫は繁忙だった。その夏、薫は宇治の山荘を訪ねた。女王たちを隙見する。薫は大姫君を恋しく思うのだった。
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