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2020年7月21日 (火)

恋の板挟み――日本古典文庫「源氏物語」「浮舟」

日本古典文庫「源氏物語」「浮舟」を読む。兵部卿の宮(匂宮)は浮舟のことが忘れられなかった。中の君は匂宮が多情であり、事に及んだなら自分も恥ずかしい思いをすることになるだろうと、宇治の山荘に隠してあることは秘密にする。薫の大将は中々宇治へは通うことができなかったが、特に焦りはしなかった。一方で、京へ迎える家は作らせていた。正月のある日、二条院で匂宮は童女が手紙を運んできたのを目に留める。それで匂宮は宇治の山荘にいるのは浮舟だと悟る。確かに大将(薫)は宇治へ時折通っている。匂宮は薫が不在の日を見計らって宇治に出かける。薫と誤認させて山荘に入った匂宮は浮舟と密通する。浮舟は相手が薫でないことを悟ったが、時すでに遅しだった。姉の女王(中の君)がどう思うかと泣く。匂宮はその日一日山荘で過ごす。匂宮は中の君が浮舟のことを隠していたことに恨み言を漏らすが、中の君は薫のことと誤解する。薫は宇治へ出かけた。浮舟は罪の意識に悩まされるが、同時に匂宮のことも忘れ得ず煩悶する。雪の中、匂宮は宇治の山荘に出かける。匂宮は浮舟を連れて外へ出た。宇治川の対岸の別荘に二日間逗留する。薫の京へ迎える準備が整った。浮舟は安堵しつつ匂宮も忘れられない。薫は夫人の宮(女二の宮)に浮舟のことを打ち明ける。その話は匂宮へ筒抜けとなってしまう。匂宮も浮舟を宇治の山荘から連れ出す計画を立てる。薫は四月十日と日取りを決める。浮舟は何も知らない常陸の君(母)が会話をしているのを聞いて身も凍る思いをする。そして宇治川に身を投げてしまおうと思い始める。薫の随身は式部小輔の所で時々見かける男が山荘に来て手紙を渡そうとしているのに気づき、詰問する。その場は言い逃れたが、随身はよく気の付く男で薫に事の次第を報告する。その男は兵部卿の宮の邸へ入っていったといい、薫は匂宮と浮舟の関係を悟る。自身は中の君を想いつつも手を出していないのにと薫は思う。浮舟を捨てる気にもなれず、薫は手紙を書く。浮舟は誤聞であると返事を書くが、胸がふさがってしまう。女房にも秘密の知られたことを悟られてしまう。女房はどちらか一人に決めてしまえと進言する。薫は宇治の山荘を侍に警戒させる。浮舟は手紙を破り捨てる。そこに通ってきた匂宮だが、中に入れずに泣く泣く引き返す。母の常陸の君からは不吉な悪夢を見たと手紙が来る。

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