結婚するものの――日本古典文庫「源氏物語」「総角」
日本古典文庫「源氏物語」「総角」を読む。宇治の姫君たちは八の宮の一周忌の準備をしていた。大体の仕度は源中納言(薫)と阿闍梨の手でなされていた。薫は兵部卿の宮(匂宮)と中の君の縁談を取り結ぼうとする。大姫君は自分は結婚する意志が無い。中の君と結婚してはと薫に勧める。その夜薫は大姫君と話をしようとするが、大姫君は薫を恐れてしまう。薫は他の男が強引に結婚してしまうことを恐れる。大姫君は病を得た。九月に薫は宇治へ行く。大姫君は病を理由に会わない。中姫君と結婚してくれと伝えるが、それでは匂宮に申し訳が立たないとなる。薫は老女(弁の君)に手引きさせて大姫君の寝室に忍び入るが、気づいた大姫君は逃げてしまい、薫は中姫君と会話を交わす。六条院で薫は匂宮に面会する。薫は中姫君は匂宮に任せようと考え、宮を宇治へと案内する。薫と面会した大姫君は薫が中姫君に興味を移したと安心する。薫は安心した大姫君の裾を押さえて引き寄せる。総角(あげまき)の女王(大姫君)は口惜しがる。薫は残念に思いながら手を放す。兵部卿の宮(匂宮)は弁の君の手引きで中姫君の許に行き、想いを遂げる。姫君たちは思い乱れる。匂宮を婿として迎えなければならなくなった総角の姫君は第二の夜を待つ。三夜目、なかなか宮中から出られない匂宮の許へ源中納言(薫)が来る。匂宮は馬で宇治へ向かい、薫は宿直で残る。その後、匂宮は容易に宇治へ通えず手紙だけを送る日が続いた。大姫君は自分が当事者であるより心苦しいことだと思う。九月の十日、匂宮は薫と共に宇治へ出かけた。大姫君は中姫君が結婚して物思いに沈むことが多くなったので、愛をより一層厭わしく思う様になっていた。薫は一人臥する。六条院では左大臣(夕霧)が同じ邸内に住んでいて、六の君と匂宮を結婚させたいと願っていたので、八の宮の姫君を夫人として迎えることははばかられるところがあった。中納言(薫)は三条の宮が出来上がり次第、大姫君を迎えようと考えていた。十月になって兵部卿の宮(匂宮)は宇治で紅葉狩りを催す。が、薫の他、多くの官人が従ったため、宇治の姫君の山荘を訪ねることはできなかった。中の君は煩悶する。歓待の仕度をしていた女房たちは失望する。姉女王(大姫君)は健康を損ねる様になった。左大臣(夕霧)の息子の衛門督が中宮に告げ口したため匂宮は外出がままならなくなった。また、左大臣の六女との結婚も決められた。薫は大姫君が病気になったと聞いて見舞いに来た。薫は祈禱させるが、病人にその気がないので快癒しない。匂宮から手紙が来た。十一月になった。中宮(明石中宮)は譲歩して勢力のある後援者を結婚して得た上で、夫人の一人として八の宮の姫君を迎えればよいと言う。兵部卿の宮は正妻を持ちたくないと否み続ける。薫は宇治へ行き、大姫君を看病する。総角の姫君(大姫君)が亡くなった。薫は悲しみながらも葬儀を済ませる。兵部卿の宮(匂宮)からも慰問の品が届けられる。中納言(薫)は出家を考えるが、母君(女三の宮)の思召しもはばかられ、中の君の境遇は見捨てられないと煩悶する。雪の日、匂宮が山荘を訪ねて来た。中の君はもう遅いと思って否み続ける。匂宮は一夜を明かし、空しく帰った。総角の姫君の四十九日が行われた。薫は京へ戻ることにする。大姫君を失った中納言(薫)があれほどの悲しみを見せているのを思うに、優れた女性なのだろうと中宮は考え直して、中の姫君を二条院に迎えて通わせるように仰せがあった。薫は三条の宮に大姫君を迎えようとしており、形見にせめて我が家の人としておきたかったと考える。
……ここで大姫君が亡くなるとは思わなかった。意外な展開。
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